マクラーレンのダニエル・リカルドの意見によると、F1でのキャリアを通して示してきた気質とスキルを考慮すると、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)はF1で最も過小評価されているドライバーだと言えるという。
ガスリーのF1における経歴はこれまでのところ、2019年にトロロッソ(現アルファタウリ)からレッドブル・レーシングへ昇格した時と、同じ年の後半にトロロッソに降格された時のふたつの部分に分かれている。レッドブルで最も優れた可能性の持ち主と称されていたガスリーは、レッドブルにいた2019年の半年の間にマックス・フェルスタッペンのレベルに近づくことができなかった。その後ガスリーは、アレクサンダー・アルボンと交代させられた。アルボンはガスリーより長い期間レッドブルにいたが、最終的に彼もチーム上層部を感心させることはできなかった。
2020年、新たなスタートを切ったガスリーはアルファタウリで態勢を立て直した。一貫性のある走りによって成績を上げていき、モンツァでのイタリアGPでF1初優勝という完全な結果を出した。
F1で最も過小評価されているドライバーを問われたリカルドは、「個人的には、ピエール・ガスリーが好きだよ」と答えた。
「正確を期するために言っておくと、僕が好きなドライバーは彼だけではない。人としての彼や、彼がやってきたことも好きだけれど、彼だけではない」
「レッドブルのトップに立つという大きなチャンスを掴んだが、かなり短命に終わってしまった。彼は頂点に立ったけれど、そこに着いた途端にノックダウンされた。いい気質を備えていることを見せているし、立ち直る力も申し分ない。彼は今も戦っているからね」
「そうしたことすべてを通して、2020年には実際にレースで優勝できたんだ。何度か表彰台にも上がっている。みんなが見捨てても、彼はさらに強くなって戻ってきたと思う」
「人として彼のために嬉しく思っているよ。彼のことが好きだし、ライバルとして尊敬しているからね。トップに立つのは難しいことだが、そこに留まることはさらに難しいものだ。彼はこの1年で巨大なジェットコースターに乗っていたようなものだが、切り捨てられたことからうまく立ち直ってみせたことを僕は知っている」
ガスリーには、アルファタウリとの2023年末までの契約がある。残念ながらトラブルや信頼性の問題がAT03のパフォーマンスに影響を与えており、今シーズンこれまでのところガスリーが入賞したのは3回だけだ。
しかしガスリーは、アルファタウリは開発努力によって、シーズン後半に状況を好転できると確信している。
「今年が開発レースになることは、シーズン開幕の時に分かっていた。新しいレギュレーションとマシンがあり、誰もが1年中それぞれのマシン開発を行うだろう」とガスリーはハンガリーで語った。
「スタートがどうだったかは関係ない。重要なのは、1年を通して進歩することだ。僕たちはそれなりの場所からスタートしたと思う。ポーパシングなどあらゆるトラブルがあったので、僕は少し遅くなった感じだ」
「でも今ではパフォーマンスが発揮されていることがはっきりしている。中団グループがどれだけ接戦かを考えても、僕たちは間違いなく戦いに戻れると思う。中団グループでは8位から16位の差がコンマ2秒だ。だから今年の残りの期間では、持っているもののポテンシャルすべてを最大限に引き出す必要がある」