元フェラーリのF1ドライバーであるフェリペ・マッサは、シャルル・ルクレールのフェラーリに対する最近の不満を理解しているが、ルクレールはチームと争っているわけにはいかないと主張している。
先週末のF1第13戦ハンガリーGPでは、今シーズン初めてのことではないが、フェラーリの戦略ミスがルクレールに大きな代償を支払わせた。5度のグランプリ優勝経験を持つルクレールは、チームが彼を呼び戻してハードタイヤに交換させるという失策を冒すまでは、ハンガロリンクのレースを余裕を持ってリードしていた。この戦略でルクレールのレースは台無しになり、フェラーリの戦略部門のあまり芳しくない実績はさらに大きく下がった。
レース後、ルクレールはチームの決断に困惑し、落胆した様子だった。この日の午後も、大量ポイントを獲得して世界タイトル候補に留まるチャンスは無駄になった。その結果、ルクレールはドライバーズ選手権でレッドブルのマックス・フェルスタッペンに80ポイントという大差をつけられた。
マッサは『Sky F1』のポッドキャスト『Any Driven Monday』で話すなかで、ルクレールに対し不満を表に出さないでおくよう促した。
「もちろん彼はまったく満足していないだろう」とマッサは語った。マッサがF1で11勝を挙げたのは、すべてフェラーリに所属していた時のことだ。
「だが忍耐強くなる必要がある。もし今ケンカを始めたら、チームの助けにはならない」
「シャルル、直近のレースで忘れてはならないのは、ミスをして、レース優勝と大量ポイント獲得の最大のチャンスを逃してしまったことだ。だから忍耐が必要だ。戦略に不満であっても、ミスが起きようとも、君は適切にプロフェッショナルなやり方で戦わなければならない。表には見せないことだ。表に見せ始めると、双方のためにならない。たとえフェラーリが今年はより多くのミスをしていてもね。外での争いは彼らの助けにはならない」
フェラーリが戦略面の弱点を露呈し続けていることについて、マッサはチームが態勢を立て直し、判断について評価を行い、最終的に改善する必要があると述べた。また結局のところは、マッサも親交のあるフェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットが責任を負うことになると語った。
「僕は彼のことをとてもよく知っている。我々は長い間ともに仕事をしてきた。彼はエンジニアのなかのエンジニアだよ」
「彼はエンジン部門の責任者になった。そしてテクニカルディレクターになり、チーム代表になった。僕はもうチームにはいなかったけれどね」
「彼は非常に優れたエンジニアで、プロフェッショナルな人物だ。彼は技術面では多くのことを理解している。正直なところ、いい人でもある。人として彼のことを好ましく思っているよ」
「しかし結局は、結果は思うような形では出ないということを理解するようになるものだ。もちろん彼を責めることはできないが、彼も一端を担っていると言わなければならない」
「シーズン序盤に多くのミスが起き、戦略の面では今もそれが続いているのだから、判断を下すにあたってはもう少し冷静になり、何がうまくいっていないのか理解する必要がある」
「彼は状況を迅速に変えて好転させることが必要だ。さもなければ代償を支払うことになるだろう」
今シーズンのフェラーリにはマイナス面もあるものの、マッサは以前所属したチームがふたたび優勝争いの常連に戻っているのをようやく目にすることができてうれしく思っている。
「フェラーリが戦いに戻っているのを見るのは実際喜ばしいことだ。それは誰にとってもはっきりしている」
「F1は非常に興味深いと思う。特にシーズン序盤ではフェラーリがまたレースに勝ち始め、チャンピオンシップを争っていたからね」
「だが残念ながら今年起きた多くの判断ミスと信頼性の問題によって、フェラーリはタイトル争いから遠ざかってしまった。多くのレースと勝利を失った。残念でならない。少なくともチャンピオンシップの終盤までフェラーリがタイトルを争うところを見ることは、もうないんだからね」