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 UDトラックス・クオンがベースとなっているこちらの平ボディは、日本全国で特殊な産業廃棄物の収集/運搬業を行なう富士炉材(東京都大田区)が導入したもの。

 産業廃棄物に含まれる有害物質の影響でボディが錆びたり腐ったりするのを防ぐため、腐食に強いステンレスを活用しているのが特徴で、架装を行なった美川ボデーのノウハウによる軽量化などもポイントだ。

 見た目は地味でも中身はスンゴイ、フルオーダーメイドの平ボディの実力に迫る!!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


有害物質の影響を防ぐため腐食に強いステンレスを活用

富士炉材が導入した深アオリ平ボディ。ベース車両はUDトラックス・クオンCW系。ボディ架装は美川ボデーが行なった

 富士炉材は全国47都道府県の産業廃棄物/特別管理産業廃棄物の収集/運搬業許可を取得し、国内全域でさまざまな環境事業を展開している会社。メインの産業廃棄物/特別管理産業廃棄物の収集/運搬業は、関東をメインに、中部、関西、東北、北陸など本州全域をカバー。北海道や九州、沖縄でも事業を行なっている。

 収集/運搬する産業廃棄物は多岐にわたるが、メインは全国各地の清掃工場(ゴミ焼却施設)の煙突の補修工事などで発生する使用済みの耐熱レンガ、およびそれに付随する鉄くず、廃プラスチック、紙くず、木枠など。

 これらを全国各地で収集し、国内に数カ所しか存在しない産業廃棄物処分場に運搬している。ちなみに特別管理産業廃棄物とは、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれのある性状を有する廃棄物」のこと。

 雨や湿気の影響などで液体化した有害物質が、輸送中の振動などで荷台内にこぼれ、鉄や木の部分に触れてしまうと、すぐに腐食(サビ/腐り)してしまう。そこで同社は長年、腐食に強いステンレスを活用した平ボディを運用してきた。

 関東営業所で運用するステンレス平ボディの製作を任されてきたのが、フルオーダーメイドの平ボディを専門とする美川ボデー(神奈川県平塚市)で、今回の車両は長年リピートされてきたステンレス平ボディの最新バージョンとなる。

 最大の特徴は、美川ボデーが長年研究を重ねてきたボディ軽量化技術を惜しみなく投入している点で、これにより重量面で不利なステンレスでも充分な積載量を確保しているという。

積載量や収納スペース確保もしっかり考慮

 ベース車両はUDトラックス・クオンCW系3軸高床6×4リアエアサスシャシーのフルキャブ/ハイルーフ仕様で、シャシーフレームとボディを繋ぐサブフレームは、軽量かつ腐食に強いアルミ製の縦根太/横根太を採用。

 鉄製に比べ200〜300kgの軽量化を実現し、最大積載量は目標の1万2000〜1万3000kgを上回る1万3400kgを確保。また、ホイールハウス周辺部など要所要所に鉄製横根太を配すことで堅牢性も確保しているという。なお、横根太のピッチ(間隔)は美川ボデーの標準仕様の300mm。

 ボディは収納ラック付鳥居と5方開のアルミブロック製アオリ(高さ1000mm)を備え、荷台内寸は内法長9200mm、内法幅2350mm。前壁と床は有害な液体による腐食を防ぐためステンレス仕様となっている。

 このうち床は木(アピトン)の床板の上に厚さ3.0mmのステンレスの床板を被せた特殊な構造となっており、アオリの内側には荷台外に有害な液体がこぼれることを防ぐためのバリケード(ステンレス角棒を溶接したもの)を搭載。

 このほか荷台内の前、真ん中、後ろの合計6カ所に、業務終了後などに有害な液体を排出するためのドレンバルブ付水抜き穴を備える。このほかアオリ開閉補助装置やリアフェンダーなどもステンレス製となっている。

 収納スペースはたっぷりで、右側ホイールベース間の排ガス浄化装置後方にステンレス製の工具箱を1つと、黒板&筆記用具用の箱を搭載。黒板と筆記用具は、現場の様子を撮影する際に使うものという。

 また、左側ホイールベース間は燃料タンク(200L+200L)の後方にステンレス製の工具箱を搭載。リアオーバーハングにも2段式の工具箱を搭載するほか、鳥居前方に手袋などを仕舞う小物入れも備わる。

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