不本意な形で終わったF1第11戦オーストリアGP金曜日の予選Q2での最後のアタック。予選後、角田裕毅(アルファタウリ)は暗黙の了解となっているアウトラップでのオーバーテイクを破ったチームメイトについて、話し合いたいと言っていた。
「話し合いました。チームも(アウトラップでオーバーテイクがあったことは)わかってくれているし、ある程度は納得しました。いまは次に向けてチームとともに前に進みたいと思います」
しかし、スプリントのスタート前のグリッド上で、角田にはほとんど笑顔が見られなかった。それが前日の予選が影響していたのかはわからないが、この日、角田にはスプリントに向けて、気になることがあった。それはスプリント前に行われたフリー走行2回目でのマシンの調子だ。
この60分間の走行で、角田はなんと19番手だった。グリップ不足でマシンが滑りまくっていたという。同じような症状は、スペインGPが行われたバルセロナ-カタロニア・サーキットでも見られたが、「あのときはスライドするといっても、チームメイトとそんなに変わらなかったし、予想通りスライドしたが、今回は何かが変な感じでした」と言う。
マシンは金曜日の予選でコースインした瞬間にパルクフェルメ状態となっているため、フリー走行2回目の後、スプリントに向けて、セットアップを変更することはできない。つまり、角田は19番手に終わったフリー走行2回目と基本的に同じ状態でスプリントに臨まなくてはならない。
悪い予感は的中した。スタート直後から、角田はグリップ不足に悩まされる。1周目にマクラーレン勢ふたりとアストンマーティン勢ふたりにオーバーテイクされた角田は、その後も防戦一方。3周目にはニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)にもオーバーテイクを許して17番手まで落ちる。その後、ラティフィをかわしたものの、後方からチームメイトのピエール・ガスリーが接近すると、チームからポジションを譲るようにと指示が出る。
角田はその指示を受け入れた。もちろん、納得した上でだ。
「その指示は全然妥当でした。僕のペースが完全に遅すぎたので、ターン3でスワップしろと言われて、スワップしただけです」
それよりも、気になっていたのは、マシンの調子だ。
「とにかく、全体を通して、異次元に遅った。何が原因なのか、これからデータを見てみたいと思います。何が原因でこんなに遅かったのを突き止めたいと思います」