ベストカーWebでも大きな注目を集めている新型シエンタは、いよいよ2022年夏に発表・発売となりそうだ。トヨタはその1年前の2021年6月2日に2種類の特別仕様車 G“Safety Edition II”とFUNBASE G“Safety Edition II”に発売している。
新型は魅力的だが納期が長そうで、すぐに手に入るのは現行型の特別仕様車の在庫車となりそうだ。そこでそのお買い得さはいかほどのものかを渡辺陽一郎氏に分析してもらった。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
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■新型シエンタは5ナンバーサイズを維持して2022年8月登場?
今は少子高齢化の時代とされ、ミニバンの需要は下がりそうだが、2022年には新型車が続々と登場している。ミドルサイズミニバンでは、1月にノア&ヴォクシー、5月にはステップワゴンが新型になった。2022年の終盤から2023年には、セレナもフルモデルチェンジを行う可能性が高い。
Lサイズのミニバンは、販売面ではアルファードの1人勝ちだ。販売店では「6月26日にメーカーへの発注が終了した」と述べており、現行アルファードの発売は2015年だから、フルモデルチェンジを行う可能性が高い。
それなのに販売店は「今後の詳しい話は、メーカーから聞いていない」という。この背景には納期の遅延がある。次期アルファードの発売は2023年とされるが、今は納期が長い。半年から1年を要する車種も多く、2020年6月に契約しても、納車が2023年にズレ込む場合がある。
そうなると2023年の初頭にフルモデルチェンジを行う車種でも、タイミング的には、2022年の中頃から新型を注文せねばならない。さすがにそれは無理だから、受注を停止するわけだ。
トヨタの販売店では「フルモデルチェンジのほかに、マイナーチェンジも多く予定され、今は10車種以上の販売が滞っている」という。
コンパクトミニバンのシエンタも受注が停止している。販売店では「8月に入ると新型が正式発表される見込みで、7月中旬からは、価格を明らかにして予約受注を開始する」としている。
新型シエンタは、従来型と同じく、5ナンバーサイズを踏襲する。現行ノア&ヴォクシーは、標準ボディを含めて全車が3ナンバー車になったから、5ナンバーサイズのシエンタは、従来以上に貴重な存在になった。
新型シエンタのプラットフォームは、TNGAの考え方に基づくGA-Bと呼ばれるタイプだ。基本的にはヤリスやアクアと共通で、ノア&ヴォクシーのGA-Cよりも小さな車種に使われる。GA-Bであれば、5ナンバー車も成立させられる。
それでもシエンタはミニバンだから、プラットフォームについては、ヤリスやアクアと異なる点が多い。スライドドアを装着して、2列目シートのスライド量も長い。初代や2代目の現行型と同じく、床を低く抑える薄型燃料タンクも採用するから、プラットフォームの形状も独自性が強まる。
エンジンはヤリスと同じく、直列3気筒1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドだ。従来型の直列4気筒1.5Lに比べて、ノイズが粗くなる面はあるが、新世代のエンジンだから動力性能と燃費が両方ともバランス良く向上する。
また従来型シエンタの衝突被害軽減ブレーキは、基本的には右左折時の直進車や横断歩道上の歩行者には反応しない。それが新型なら検知が可能になる。夜間の歩行者や自転車の検知も同様だ。
車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの運転支援機能は、従来型には採用されなかったが、新型には装着される。ミニバンはコンパクトサイズでも長距離を移動する機会が多く、運転支援機能が採用されるメリットは大きい。
■あえてモデル末期の「現行型」をチョイスするのはアリなのか?
一方、現行型はどうか。2021年6月に、特別仕様車のGセーフティエディションII、ファンベースGセーフティエディションIIを加えた。
販売店によると「シエンタの従来型は、フルモデルチェンジを控えて販売を終了したが、特別仕様車のGセーフティエディションIIなら、一部の店舗に在庫が残っている場合がある」という。
気になるのは新型との比較だ。新型の価格は把握できていないが、シエンタは売れ筋車種で、実用的なコンパクトミニバンだからフリードとの競争も激しい。値上げは難しいが、今は原材料費から輸送費まで、すべてが高騰する異常事態だ。
フルモデルチェンジでは、安全装備の充実や燃費の向上によって商品力が大きく向上するから、値上げするなら絶好の機会になる。
仮に値上げすると従来型が割安になり、特にGセーフティエディションIIは、バックカメラやパーキングサポートブレーキなどを標準装着して価格の上乗せを4万4000円に抑えた。既存のグレードよりも少し買い得だ。
新型シエンタと従来型を比べると、前述の通り新型では、エンジン、プラットフォーム、安全装備など、さまざまな機能が一新される。その意味では新型を推奨するが、今の市場環境を考えると、前述の通り値上げされる可能性もある。
納期も気になる。今は新車の納期が遅延して、半年から1年を要する車種も多い。しかもシエンタは人気車で、従来型から乗り替えるユーザーも膨大だ。
7月中旬から開始される予約受注で、真っ先に注文を入れないと、納期が遅れて納車が2023年にズレ込むことも考えられる。ただし予約受注に真っ先に応じるには、実車を見る前に契約せねばならないから、不安な要素も多い。
その点で従来型なら、販売店の試乗車も整っているから試乗して選べる。レンタカーもあり、家族で丸1日試乗すれば、居住性、乗降性、荷室の広さや使い勝手、乗り心地などを入念に確認できる。このあたりは従来型のメリットだ。
さらに価格も割安になる。シエンタはミニバンでは低価格だから、多額の値引きは難しいが、新型シエンタに比べれば従来型は条件が緩い。ミニバンをなるべく安く買いたいユーザーは、従来型の在庫車を選ぶと良いだろう。
ちなみに販売会社が在庫を中古車市場に卸した登録済み未使用中古車になると、ノーマルエンジンを搭載するGセーフティエディションIIが180~190万円で販売されている。新車価格は215万1000円だから、特に安いわけではないが、在庫車の値引きと比べて選ぶ方法はある。
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以上のようにシエンタは、機能を幅広く刷新するから、一般的には新型を購入したい。しかし納期、購入予算の安さ、試乗による機能の確認などを重視するなら、在庫車を買う余地もある。
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