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クラウドファンディング会社「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」の元社員、菅坂博史容疑者が9日、クラウドファンディングの支援者から集めた支援金など約2500万円を着服したとして、業務上横領の疑いで逮捕された。

クラウドファンディング業界で大型上場も期待されていた中で、支援金の横領という業界の信頼を揺るがす事件により、衝撃が広がった。

キャンプファイヤー代表の家入一真氏(同社HPより)

キャンプファイヤーは、数々のネットサービスを手掛けてきた起業家の家入一真氏が2011年に設立。「国内最大のクラウドファンディング 累計流通額600億円突破」をうたっており、クラウドファンディング会社のなかでも大手に位置付けられている。まだ上場はしていないものの、日本経済新聞は昨年1月、大型上場を見込む1社に挙げており、時価総額1000億円超えを見込む観測もある。

そうした中での横領事件の発覚。この日朝、菅坂容疑者逮捕のニュースがあってから、同社は10日、公式サイトに「当社元従業員による不正行為について」とのプレスリリースを公表し、次のように短く説明した。

当社元従業員(2020年末退職)が当社の銀行口座から自らの銀行口座に不正に送金を行っておりました。外部の専門家等を交え調査を行った結果、行為時期は2019年、総額は約2500万円である旨が判明しております。

支援者の皆様から調達した資金が起案者様に届けられていないケースは発生しておりません。

キャンプファイヤー広報担当に電話取材を行うと、次のように答えた。

プレスリリース以上の情報は公開しておりません。ご質問について、回答は控えさせて頂きます。

記者会見を行う予定はなく、メディア対応もしないとのことだった。また、起案者(=プロジェクトの発案者)には、プロジェクトのページ上で表示されている金額を渡しているため、支援金は正しく届けられているとの説明だった。また、質問に「回答しない」との方針は、家入一真代表を含めた社としての判断という。

仮に利用者の実害がなかったとしても、クラウドファンディングの信頼性を根幹から揺るがしかねない不祥事だ。

同社は上場前とはいえ、2年前には丸井グループなどから計36億円の出資を受けており、大手銀行からの融資と併せて42億円を調達している。上場企業であればなおさら、このような態度は許されないだろう。ツイッター上では、社内体制の問題を指摘する声が相次いだ。

社内緩そう。43歳経理担当が3ヶ月で2500万を4回に分けて自分の口座に振り込んだって、それできる組織体制もすごいけど、バレますよ。

家入氏は昨年、21年内の上場を目指していると語っていたが、投資家らの間では不安視する声が出ていた。

キャンプファイアの元経理が2,500万円の横領。
支援プロジェクトで集まったお金を4回にわたって自分の口座に振り込みギャンブルに使ってたという。監査法人の監査受けて、社内で会計士もいるっぽいのに内部管理体制ゆるゆるだな。IPOは数年先か。

クラウドファンディングは「ネット募金」とも呼ばれ、資金集めの新たな手法として注目されていたが、今回の件でショックを受けた支援者や起案者も多いのではないだろうか。家入氏には、真摯な説明が求められている。