今回は、「フォトリレー」についての説明です。
フォトリレーとは?
フォトボルカプラは発光素子と受光素子で構成されていて、素子間に絶縁物(※ 光を透過する)を介していました。
発光素子にはLED(発光ダイオード)が使用されていて、受光素子にはフォトダイオードを複数個整列させて使用しています。
その構成上、出力側に起電力を用意する必要がないというメリットがありますが、出力の信号は微弱というデメリットがあります。
では、信号が微弱な場合どのような用途があるのかというと、MOSFETのゲート信号としてなら普通に使用可能です。
なので、フォトボルカプラとMOSFETを組み合わせてワンパッケージ化した製品が一般普及しています。
それがフォトリレーです。
名前の由来は不明です。
光で動作してリレーと同じような動作が可能だからフォトリレー…かな?
フォトリレーの構造と原理
フォトリレーは、フォトボルカプラの出力側にMOSFETを組み合わせた構造になっています。
なので、原理自体はフォトダイオードとMOSFETについて理解していればなんら特別なことはありません。
ただ、AC用のリレーとして使用する場合とDC用のリレーとして使用する場合とでMOSFETの構成が異なります。
それぞれ、以下のような繋ぎになります。
AC用のリレーの場合は一見意味不明な繋ぎになったように感じますが、よくよく見ると右上と右下どちらから電流が供給されても普通に繋がるようにされているだけです。
AC(交流)に対応させているわけですからね。
右上から電流
⇒上のMOSFETのドレイン-ソース間を通過
⇒下のMOSFETを保護するダイオードを通過
⇒右下に電流が流れる。
右下から電流
⇒下のMOSFETのドレイン-ソース間を通過
⇒上のMOSFETを保護するダイオードを通過
⇒右上に電流が流れる。
フォトリレーのメリットとデメリット
フォトリレーはフォトボルカプラとMOSFETをワンパッケージ化してあるから省スペースで済むというメリットがあります。
ですが、構造としてはフォトボルカプラとMOSFETを使っているだけなので、やろうと思えば別個に購入して接続しても同じことはできます。
省スペース化と併せて性能も向上しているなら文句はないのですが、世の中そんなうまくできていません。
何かを得るためには何かを犠牲にしているものです。
フォトリレーはワンパッケージ化する為に組み込める部品サイズに制約ができるので、各定格の性能が限定されてしまいます。
フォトリレーを使用する場合は使用用途に対して充分に定格を満たしているか確認しましょう。
ダメだったら大人しくフォトボルカプラとMOSFETを選定して組み合わせましょうね。
以上、「フォトリレー」についての説明でした。
【基礎から学ぶ光電素子】
◎光電効果 ~物質に光を照射すると電子が飛び出す現象
◎暗電流 ~光が照射されていないにも関わらず流れる電流
◎LED ~発光ダイオードの基本
◎LEDと白熱電球の違い
◎蛍光灯の発行原理
◎フォトダイオード ~LEDとの違いについて
◎フォトトランジスタ ~フォトダイオードの電流を増幅する素子
◎フォトカプラ ~接地電位の異なる絶縁された回路間を光で繋ぐ素子
◎フォトボルカプラ ~起電力を生み出すフォトカプラ
◎フォトリレー ~フォトボルカプラとMOSFETをワンパッケージ化した製品