<p>DeepMindのAIが赤ちゃんと同じように初歩的な物理法則を学習することに成功</p><p>DeepMindのAIが赤ちゃんと同じように初歩的な物理法則を学習することに成功</p><p>Google傘下のAI企業・DeepMindのコンピューター科学者であるルイス・ピロト氏らの研究チームが、赤ちゃんの学習方法の研究からヒントを得て、人工知能(AI)に物体の振る舞いから簡単な物理法則を学習させた上で、そのルールに反した現象をAIに確認させて驚かさせることに成功したと発表しました。</p><p>例えば、赤ちゃんの目の前でボールを何度も転がすと、赤ちゃんは「ボールが床を転がって移動する」という簡単な物理法則を学習します。その上で、突然ボールが転がっている途中にぱっと消えてしまうような映像を見せると、赤ちゃんはびっくりしてしまいます。この「驚き」は、本来ボールが転がっていた方向を長く見つめることで測定されます。 この赤ちゃんの実験は発達心理学の研究で行われたものですが、ピロト氏らの研究チームは、Physics Learning through Auto-encoding and Tracking Objects(PLATO)というAIモデルに同様のテストを行いました。このPLATOは、物体の位置や速度などの物理的特性を内部表現できるように設計されているとのこと。 研究チームは、ボールが坂道を転がる様子や、2つのボールが跳ね返る映像などをおよそ30時間かけて、PLATOに学習させました。さらに、映像だけでなく、映像内に映っている物体をより強調したバージョンも入力しました。 この結果、PLATOは物体が途切れることなく軌道をたどる「連続性」、2つの物体が互いに貫通しない「固さ」、物体の形が変わらずにあり続ける「持続性」などを学習しました。ピロト氏は「要するにPLATOは映像を見ることで、次に何が起こるかを予測するわけです。映像を見れば見るほど、その予測はどんどん正確なものとなります」と述べています。 そして、赤ちゃんのように初歩的な物理法則を学習したPLATOに、今度はボールが突然消えてしまうようなあり得ない現象の映像を見せると、PLATOは動画と自分の予測の差を比較するという「驚き」の反応を見せたとのこと。 研究チームは、PLATOはそもそも幼児の行動モデルとして設計されたわけではないことから、AIが人間の赤ちゃんがどのように学習するのかという仮説を検証できる可能性を示唆しています。ピロト氏は「私たちは、認知科学者がAIを幼児の行動を真剣にモデル化するために使うことを期待しています」とコメントしました。 ブリティッシュ・コロンビア大学のコンピューター科学者であるジェフ・クルーン氏は「AIと赤ちゃんの学習方法を比較するという研究の方向性は重要です。ピロト氏の研究は、AIモデルに優位性を与える事前知識の多くを手作業で設計するものなのです」と評価しました。 この記事のタイトルとURLをコピーする</p>