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上海電力による大阪市のメガソーラー事業を巡る騒動がくすぶる中、渦中の橋下徹氏が12日朝、レギュラー出演しているフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演しなかったことがネットの話題になっている。

2015年、大阪市長時代の橋下氏(写真:アフロ)

橋下氏が番組を休んだ理由は?

番組はこの日、ゲストに自民・高市早苗立民・小川淳也両政調会長を招き、橋下氏の代わりにジャーナリストの木村太郎氏が出演した。ネットでは数日前から橋下氏が「番組を降板するのではないか」との噂が取り沙汰されていたが、番組冒頭で出演者の紹介があった後、梅津弥英子アナウンサーから「橋下徹さんはお休みです」と一言だけ説明があった。

しかしツイッターでは保守系のネット民を中心に上海電力の疑惑と結びつけて論じたり、降板説を述べたりする人が続出。“橋下氏不在”で番組内容を伝える公式ツイッターには、

とうとう出演しなくなったか。

やっと橋下徹の顔を朝から見なくて済む。

橋下徹のいない爽やかな日曜日の朝。

などと嫌いの人たちが喜び勇んで続々とリプライを送り、中には、

上海にでもお出かけですか。

と皮肉まじりにツイートする人もいた。

ただ、橋下氏はこれまでも「大型選挙の季節」になると同番組の出演を見合わせた経緯がある。2015年に大阪市長を退任し、政治家を引退。その後はコメンテイターとして報道番組や情報番組に出演し続けているが、日本維新の会の創設者としてのイメージが強く、2019年11月の大阪都構想を巡る住民投票などの際には、放送局側や橋下氏自身が放送法で定める政治的公平性への配慮から、自主規制する形で出演を控えてきた。

今月2日には、今年の元日、毎日放送の大阪ローカルのバラエティ番組で、橋下氏が維新の松井代表(大阪市長)、吉村副代表(大阪府知事)と共演した際の内容が、他の政党関係者らの出演がなかったことなどから、BPO(放送倫理・番組向上機構)から政治的公平性を損なうと指摘される事態もあった。今回の出演見合わせについて、局側も橋下氏も12日18時現在、詳細な理由は明らかにしていないが、上海電力の問題が関連しているというよりも、参院選が22日にもスタートする見通しのため、先手を打っていち早く出演を控えた可能性が高そうだ。

泥沼化は参院選中も?

騒動の舞台、上海電力日本南港咲洲メガソーラー発電所(Googleストリートビューより)

上海電力の問題は、5月上旬の連休中にはツイッターで再三トレンドワード入りするなど過熱していたが、橋下氏らが問題の入札については「副市長案件だった」(松井氏)と「疑惑」を完全否定。それを裏付けるように、元大阪市職員を名乗る匿名の執筆者によるブログが5月下旬に公開され、「橋下市長へは一切上がっていない可能性が高い」「大阪市のような巨大自治体はめちゃくちゃに仕事の範囲が広く、市長が把握していることは氷山の海上に出ている部分にすぎない」などと投稿。橋下氏や維新関係者がこれを拡散し、さらに経済学者で大阪市特別顧問を務める高橋洋一氏も自らのYouTubeチャンネルで否定的に論じたあたりから、騒ぎはピークアウトしたかに見えた。

しかし、それでも当初から疑惑を追及してきた保守系論客らは安全保障の観点から問題があると断じ続け、維新の政敵である自民党の大阪市議も議会で追及の手を緩めない。一時は市議会に事実関係を調査する百条委員会を設置する話まで浮上した。

だが「百条委の設置は容易ではない」(維新幹部)。19年の市議選で維新が圧勝し、現在81人いる議会のうち半数近い38人を維新が占めているためだ。この維新幹部は早くから疑惑を意に介していなかったが、別の関係者は「橋下氏を追及する人たちの中には、安倍政権時代の“モリカケ”(森友・加計学園問題)の報道を厳しく批判していた者もいるのに橋下氏が不正を行なっていた証拠はあるのか」と呆れ気味に語る。

それでも、今月10日には、自民党の市議が一般質問で「事業主体者が落札したときの主体者と終わって事業が完成したときには事業者が変わっている」などと迫った模様を、毎日放送が報道。地上波放送では初めて「上海電力」の四文字が登場したこともあって、追及側は「ついにMBS(毎日放送)がテレビのニュースで報じました!」(百田尚樹氏ツイッター)などと気勢を上げており、参院選の最中も泥沼化が続く気配が漂う。