アップルが長年かけて開発中と噂の自動運転EV、通称「Apple Car」は、製造パートナー(韓国のヒュンダイや傘下の起亜自動車が候補に上ったことも)や中央集中型OSなどの観測は伝わってくるものの、車体についての情報はほとんどない。
そんななか、有料ニュースメディアThe Informationがアップルの苦闘を振り返り、8年にわたる技術的な課題やリーダーの交代を総括。それとともに、Apple Carの物理的な外観について詳しく報告している。
The Informationによると、最新のデザインは内側に向いた4つのシートが採用され、乗客同士が対面して会話できるとともに、フォルクスワーゲン・ビートルのような曲面の天井が採用されるとのことだ。
またトランクルームは簡単に出し入れできるように上昇し、使わないときは自動的に下降するという。加えてApple Carのデザイナーは、背もたれに上昇・下降する大型ディスプレイを実装することも議論しているそうだ。
アップルの元デザイン最高責任者であるジョニー・アイブ氏も、本プロジェクトにコンサルタントとして関わり続けているとのこと。アイブ氏は2019年にアップルを退社し、独立系デザイン会社「LoveFrom」を設立しているが、Apple Carチームに「車両のデザインの奇妙さに寄り添って、センサーを隠そうとすべきではない」とアドバイスしたと伝えられている。
またApple carには「ハンドルもペダルもない」(ドライバー抜きの完全自動運転)ことは、Bloombergほか大手メディアが何度も報じていたことだ。The Informationもそれを再確認しつつ、アップルはそのためにNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)から許可を得ることを目指しているという。この構想は元々アイブ氏が提案していたことは、数年前に同誌が報じていた。
さらにアップル社内では、乗客が車内で横になって眠れるようにすることも検討していると伝えられている。また発売までにはプロトタイプの車両を公道でテストする必要があるが、どうやって偽装するかまで議論されているそうだ。
徹底した秘密主義で知られるアップルといえども、公道でのテストは絶対に避けることはできない。実際、同社は2017年に米カリフォルニア州で認可を取得しており、数年前にも徐行運転中での接触事故が報告されていた。乗客4人が向かい合ったり、横になって寝転んでいるテスト車両もそのうち目撃されるのかもしれない。