自動車ディーラーでは、日々新しい商品の取り扱いが始まり、営業マンの提案活動も、より幅広くなっている。
かつては、愛車セットにフロアマット、ナンバーフレーム、サイドバイザーが、営業マンから勧められるオプションやサービスの代名詞だった。しかし、現在ではオプションから車両代金の支払い方法、保険やメンテナンスに至るまで、多岐にわたる。
そこで本稿では、元自動車ディーラー営業マンの筆者が、ユーザーにお勧めするが営業マンが自分では付けない商品と、ユーザーにお勧めし、もちろん自分でも必ず付ける商品を、それぞれ紹介していく。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、Adobe Stock(トップ画像=dusanpetkovic1@Adobe Stock)
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■強く勧めるが、営業マンが自分では選ぶことが少ない商品
まず前段としてお話しておきたいのは、ディーラーで取り扱う商品、用品、サービスの質は、十年前と比べて大きく向上している。カー用品店や専門店にも負けないような、強い商品を扱うようになり、純正品にもこだわることが少なくなったことから、ユーザーの選択肢は大きく広がった。
ただ、それでも筆者が利用しなかった商品がある。「ボディコーティング」と「ガラスコーティング」だ。その理由は、価格が高いということと、アフターケアにある。
社内用の割引制度を利用しても、ディーラーで施工するボディコーティングは高い。一般的なコーティング専門店で行う、3年耐久のコーティングはミドルサイズセダンで6万円前後だが、ディーラーでは8万~10万円ほどかかるだろう。
コーティングのメンテナンスも、専門店であれば、年に1度1万円程度で、しっかりと行われるわけだが、ディーラーのコーティングでは、ユーザー自らが付属のメンテナンスキットを使用して、手入れすることも多い。
筆者自身は、新車購入から2年たったのを機に、コーティング専門店でボディコーティングとガラスコーティングを施工してもらった。
費用は安く、その仕上がりも新車に施工されたコーティングと同等か、それ以上にも見えたのだ。2年使ったクルマが、ここまで美しく仕上がるのかと驚いたのを覚えている。
それからというもの、仕事としてボディコーティングは販売していたが、自分では専門店に施工してもらっていた。現在も、ボディコーティングに関しては、ディーラーのお世話にはなっていない。
■電装品は乗せ換える
ナビ・ETC・ドライブレコーダーなどの電装品に関しては、新車に乗り換える度に新しいものへ買い替えることは少なく、筆者は前保有車に取り付けられていたものを移植していた。
取り外しや取り付けは、自分の勤めるお店ではなく、別のパーツショップなどを利用する。自社の整備工場は、下取り車からパーツを一つ一つ外せるほど暇ではないからだ。
ナビは、よほど機能が大きく進化していれば買い替えるが、差が感じられない場合には、地図データだけを更新して乗せ換える。現在保有しているクルマに取り付けられたナビは、約11年前のもの。3台の筆者の愛車を乗り継いできたものだ。
乗せ換えをするためには、工賃が安く取り外しと取り付けを行ってくれるお店をみつけること。ドラレコやETCに関しては、取り付けと取り外しの工賃を払えば、新品が買えてしまう言うこともあり得るから、こうした場合は黙って新品を取り付けたほうが満足度は高くなる。
■ローン支払いやメンテナンスはディーラーのモノを選ぶ
モノとしての実態が見える商品は、社外のものを選ぶこともあるが、金融商品やサービスといった目に見えない商品は、自社の強みを生かせる商品であり、営業マンも積極的に選ぶ。
例えばローンの残価設定プラン。金利が高いと言われ続けてきたが、銀行などの一般的なマイカーローン金利には追いついてきたと思う(まだキャンペーン金利などには負けると思うが。)フルローン使えない銀行系マイカーローンに対して、ディーラーローンでは残価が残せるのもメリットだ。
愛車の使用期間(代替サイクル)が決まっているなら、残価を一定条件で保証してもらえるディーラーローンの方が使い勝手は良い。変則2回払いといった、金利負担を少なくする方法も登場し、支払い方法のバリエーションは増え、より使いやすくなった印象も受ける。
また、メンテナンスパックもディーラー商品を積極的に利用している。元々が前払いすることにより、整備代を安くできる商品だ。整備のタイミングを間違うこともないし、その分クルマも良い状態で長持ちさせることができる。
社員時代から会社を離れた現在まで、メンテナンスパックは常に利用し続け、約10年間愛車はノントラブルだ。
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ディーラーが様々な商品を扱うようになり、利便性は高まったが、同時に分野による得手不得手も大きく見えるようになってきた。
今後は、商品ラインナップを増やすのと同時に、専門ショップに近いクオリティを確保することも重要になる。特にコーティングに関しては、社員からも積極的に選ばれる商品力とアフターサービスの質を高めてほしいものだ。
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