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次の愛車選びに役立つ究極の三択!! 新車購入三つ巴「鼎戦」対決

 古代中国で使われていた3本足の器を「鼎(かなえ)」という。三者で会談することを「鼎談(ていだん)」といったりなど、「三者が向かい合う形」にも鼎の文字は使われるが、同じ中国の「三国志」はまさにその形、三者の三つ巴の戦いだ。

 クルマ選びにも「三つ巴の戦い」はある。新車を買う際、2台のライバルを前に「どっちがいいか?」と悩むことはよくあるが、そこにもう1台が加わるとより楽しく、より悩ましいクルマ選びになることは必定。

 国産車&輸入車織り交ぜれば、「3台で迷う」ほどモデルが充実する今、全17の三つ巴、「鼎戦(かなえせん)」をお届けする。いろんなテーマを設け、絶妙な3台を用意し、自動車評論家がジャッジ。勝つのはどれだ!?

●「鼎戦」ラインナップ
・売れ筋CセグSUV対決…ハリアーvsCX-5vs3008
・約290万円ハイブリッドSUV対決…カローラクロスvsヴェゼルvsキックス
・プラグインハイブリッドSUV対決…RAV4vsアウトランダーPHEVvsC5エアクロスSUV PHEV

※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月26日号

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■鼎戦1:売れ筋CセグSUV対決……トヨタ ハリアー vs マツダ CX-5 vs プジョー 3008

トルクと燃費でリードするクリーンディーゼルターボのマツダ CX-5。弱点は質素なダッシュボード&インパネか?

 3モデルのWLTCモード燃費などのスペックが写真下にあるが、クリーンディーゼルターボのCX-5がパワー(特にトルク)も燃費も、リードしていることがわかる。さらに価格もCX-5は約384万円と、コストパフォーマンスが抜きんでている。

 そんなCX-5のマイナス点は何かというとダッシュボード&インパネ類。和風な印象で今風の大型タッチパネルディスプレイでもない。思わず南無阿弥陀仏と合掌しそうである。コレが好きな人もいるけれども(私)、コネクテッドを考えたらイマイチ垢抜けしていない。

 この点については、ハリアーも3008も素晴らしく、特に3008はワクワク感が高い。

 ハリアーはみんなが乗っている日本人特有安心感の塊だが、やはりハイブリッドでないと、どこか負い目を感じてしまう。なのでハリアーの3番手は決定的。残るは3008の脳内活性ホルモン。ドバッ! ドバッ! な刺激。昭和のディスコでめちゃイイ女を見つけた時のような興奮!

 さぁ、それなりにいいデザインでお財布に優しいCX-5か、3008か。推しはどっちにする?

 結果は、やっぱりディーゼルの気持ちよさでCX-5の勝ち。2番手は3008だね。

★結果:CX-5の勝ち……2番手/3008 3番手/ハリアー

■鼎戦2:約290万円ハイブリッドSUV対決……トヨタ カローラクロス vs ホンダ ヴェゼル vs 日産 キックス

走行時のロードノイズが静かなホンダ ヴェゼル。パフォーマンスは3車ほぼ同等の好勝負

 約290万円の価格以外にも、FFのハイブリッドモデルということが3台の共通点。そのなかで、キックスはエンジンで発電して走行はモーターのみ。ヴェゼルは基本キックスと同じで、高速域のモーターの効率(電費)が悪い領域では、エンジンが直結モードになってエンジンでも走る。

 そしてカローラクロスは定評あるトヨタのTHS IIで、エンジンとモーターのミックス走行。

 動力性能面は電動の駆動キャラクターによる違いはあるが、パフォーマンスそのものはほぼ同等とみてよい。走らせるとキックスは若干ロードノイズが気になる。ただしADASのプロパイロットは優秀。カローラクロスもロードノイズが若干気になる。ロードノイズについては、ヴェゼルは静か。

 ヴェゼルとキックスに共通するネガが、発電でエンジンが始動した時のノイズ。カローラクロスは、ほぼかかっているからそれほど気にならない。

 また、運転してSUVっぽさを感じるのはヴェゼルとキックス。カローラクロスは何となくワゴンなフィールだ。

 この3台、悩むところだが、勝ちはヴェゼルとしたい。カローラクロスとキックスの両者が2番手。ただし、どれも僅差です。

★結果:ヴェゼルの勝ち……2番手/カローラクロス&キックス

■鼎戦3:プラグインハイブリッドSUV対決……トヨタ RAV4 vs 三菱 アウトランダーPHEV vs シトロエン C5エアクロスSUV PHEV

三菱 アウトランダーPHEV。大容量のバッテリーと室内ユーティリティーの充実は魅力だが、大容量バッテリーゆえの車重の重さは玉にキズ

 トヨタRAV4 PHVと三菱アウトランダーPHEVは電動のリアモーターを装備する4WDなのに対して、シトロエンC5エアクロスSUV PHEVはFFである。SUVの本格派を考慮すると、ここはやはり4WDの国産2車にアドバンテージがある。

 と、言いたいところだが、考え方を変えると、国産2台はリアモーターを装備するためにいろいろな補器類も必要。片やC5エアクロスPHEVは1860kgと2台より40〜200kgも軽い。バッテリー容量も13.2kWhと最少だ(ちなみにトヨタRAV4=18.1kWh/三菱アウトランダー=20kWh)。

 リチウムイオンバッテリーの容量による重量差は激しいもので、大容量は航続距離を後押しするが、そのぶん、重量が大きいので頻繁に外部充電する必要がある。PHVでは大きければよいというものでもない。

 RAV4の重量は1900kg、アウトランダーは2090kg。アウトランダーはバッテリー容量が大きいだけに重量も重くなっている。

●オンロードならC5も魅力的

 このような重量差や、バッテリー容量の差を差し引きしながら走りを評価すると、C5の軽快感と都会的なデザイン性はグッと得点が高い。またC5はFFだがアドバンストグリップという路面状況に応じた駆動&ブレーキコントロール(ブレーキベクタリング)も行う。

 雪道など悪路面での4WDほどのアドバンテージはないが、オンロードに割り切ればFFで充分という考えも一理ある。

 3車ともにADAS(運転支援)のコントロールは横並びだが、C5はレーンキープで車線内の右寄り左寄りの微妙な位置を自由に選べるところがいい。

 総括しよう。RAV4の魅力はその総合出力。モーター出力は前が182ps、後ろが54ps。エンジン出力は177ps。素晴らしいレスポンスと加速力だ。

 アウトランダーは前後に出力の強力なモーターを採用。前が116psで後ろは136ps。エンジンは133psだ。

 そしてFFのC5は、走りも8速ATを備えてオンロードでの走りも侮れない。1.6Lターボの場合、モーター出力110.1ps、エンジン出力180psだ。

 では結論といこう。実用面では室内ユーティリティと100V/1500Wを使いきれる大きなバッテリー容量(20kWh)のアウトランダーはやはり魅力的。走りもかなりのもの。RAV4の走りもいいが、リアモーターのパワーがもう少し欲しい。アウトランダーの勝ちでRAV4、C5と続く評価としたい。

★結果:アウトランダーPHEVの勝ち……2番手/RAV4 PHV 3番手/C5エアクロスSUV PHEV

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