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この週末の政治トピックスでツイッターで話題になったのが、立民が「自衛隊員応援議連」を結成するとの動きだ。読売新聞オンラインが12日に独自記事として配信、党内有志が「自衛隊員の処遇改善策などを検討していく」(記事より)といい、14日に設立総会を開くと報じられた。

kscz58ynk /Photo AC

「選挙前パフォーマンス」不評の背景

同党は現実的な安全保障論者からゴリゴリの護憲論者の左派系までの“寄り合い所帯”という実相は旧民主党時代からの弱点。対する岸田政権の支持率が高止まりするの要因の一つに、ロシアのウクライナ侵攻が挙げられていることから、立民としてはここで安全保障に弱いというイメージを払拭する狙いが透けて見える。

しかしあまりにも露骨とあって、ツイッターではすこぶる不評だ。読売新聞の公式ツイッターには、

値下げ隊と一緒やろな

と民主党時代の“ガソリン値下げ隊”を想起する人や

ただのポーズでしょ

選挙向けの茶番

取ってつけた様な安全保障政策では支持されないから「自衛隊員応援議連」を作って私達立民は考えてますというアピール。中身の薄い国会議員の見え透いた選挙対策。

自衛隊票狙い?

などと参院選直前での議連結成にはパフォーマンスと受け取る向きが圧倒的だ。

議連の代表には枝野幸彦前代表が就くと報じられているが、その枝野氏は自衛隊や安保に関するスタンスがブレてきたことは公然の事実だ。

民主党時代の2013年には、“保守”を自称し、月刊「文藝春秋」で集団的自衛権行使や国連軍の参加を解禁する憲法私案を発表。当時の共産党には、「安倍晋三首相の狙う9条改定を後押しする」(「赤旗」2013年9月)と非難された。

枝野氏(衆院インターネット中継)

ところが2015年には民主党改め民進党が、集団的自衛権の限定行使を認める安倍政権の安保法制に猛反対。立民を立ち上げた後の枝野氏は、安保法制は違憲で、憲法に自衛隊を明記することに反対するなど護憲リベラル路線に舵を切ってしまい、過去の発言との整合性や立民の政権担当能力に疑問を残し、党勢が往年の民主党ほどには伸びなかった。

野田元首相、元隊員の父から学んだ教訓

一方、議連の呼びかけ人の1人として挙げられているのが野田佳彦元首相だ。富山県の農家出身の父は、戦後、自衛隊の前身である警察予備隊の創設時に応募し、陸自の習志野駐屯地に勤務していた。

2011年9月、首相時代、福島で活動する自衛隊を視察する野田氏(官邸サイト)

名高い空挺団ではなかったようだが、20年9月に父が逝去した際、野田氏はブログで小学生時代に成績が落ち込んだ際の父とのエピソードを披露。

ゲンコツを食らうかと、恐る恐る通知表を父に手渡しました。すると、予想に反してニッコリと笑い、頭をなでてくれました。日常生活の講評欄に「野田君は正直の上にバカがつく」と、担任の先生が書いていたからです。父がテストの点数や偏差値といった数字に一喜一憂するのではなく、数字で表せない大切なものを重視していることがよくわかりました。厳格な自衛官のせがれにとって、もっとも忘れがたい教訓です。

などと振り買った上で、

臭いものに蓋をしたり、説明責任から逃げ続けることが当たり前になってしまった時代だからこそ、愚直に説明責任を果たす誠実さが求められていると思います。父の逝去は、自分の青臭い原点を思い起こさせてくれました。

と思いを綴っている。

自衛隊員の処遇を巡っては、少子高齢化で隊員募集に苦戦が続く一方で、隊舎や宿舎の老朽化が進み、東日本大震災の被災者支援の折には、「温かい食事はすべて被災者たちに配るため、隊員たちは冷えた缶詰などを食べている」(SAPIO2011年5月4日・11日号)といった献身的な様子が伝えられるなど、切実な状況だ。

日本の安全保障環境が厳しさを増す中、立民が議連を発足して隊員の処遇改善を問題提起すること自体は重要だ。問題は、野田氏が父から学んだ教訓を胸に、参院選後も誠実かつ地道に処遇問題に取り組むかどうかが問われている。