参院選比例代表で初当選した、日本維新の会の新人で元東京都知事の猪瀬直樹氏。投開票が行われた10日、安倍晋三元首相の銃撃事件について見解を語った。
事件が起きた前日の7日には、妻の蜷川有紀氏と日本の治安について雑談をしていたという。
「道路公団民営化の時には『殺すぞ』と脅迫もされたけど、鉄砲の玉は飛んで来ないから、わりと安心していたんだ」という話をたまたま妻としていたんです。その翌日にあの事件が起きたから、びっくりした。
猪瀬氏はかつて、道路公団民営化委員として改革を進めた経験を持つ。その上で、現場での警備に問題があったと指摘した。
周囲が360度空いているのは、考えられない。どこからでも撃ててしまう。しかも、SP(セキュリティ・ポリス、警視庁所属の要人警護を専門とする警察官)は1人でしょ。少なくとも2人いないと。1人しかいないって、何考えてんの。まったく平和ボケなんだよ。
平和ボケという言葉を繰り返して、危機意識の欠如を問題視した。
後ろに容疑者が立っているの見えているじゃん。なんで「お前引っ込め」って言わなかったんだろうね。SPが2人いれば、1人は周囲を見ていたと思うよ。油断だよね、平和ボケだと思うよ。外国のテロリストがいてもおかしくないんだから。SPが2人いれば、守れた可能性もある。
猪瀬氏が都知事を務めた2012年〜2013年には、複数のSPが付いていたという。
都知事の時はSPが2人いて、毎月50キロ以上一緒にランニングしていたから。俺ランニングするとき、いつも2人いたよ。でも、外国行く時は1人だったな。
警察庁の責任問題についても述べた。
これは警察庁長官辞任じゃないか、間違いなく。あともちろん奈良県警本部長もね。責任は取らざるを得ないでしょう。元総理大臣が殺されるってことないからね。
警察庁の中村格長官は12日、臨時の記者会見を行い、
警察庁の関与のあり方にも問題があった。長官として慚愧にたえない。責任は誠に重いと考えている。
などと述べた。
アメリカの元大統領の場合でも、大統領警護隊(シークレットサービス)のSPの人数は1人。安倍元首相へのSPの人数は特別少ないわけではなかったかもしれないが、安倍元首相の背後がガラ空き状態で、山上徹也容疑者が接近しても「声かけ」をしなかった点などは、やはり悔やまれる。
地元では「まさか奈良でこんな事件が」と驚きの声があがったが、山上容疑者の供述などから考えると、むしろ奈良だから起きた事件とすら言えるのかもしれない。