2022.07.09 - 全日本ラリー選手権 第6戦 2022 ARKラリー・カムイ Leg1
今季初のグラベルラリー初日を終えて、新井が2番手、鎌田が5番手
7月9日(土)、2022年全日本ラリー選手権第6戦『2022 ARKラリー・カムイ』の競技初日が行われました。スバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉はJN1クラスの2番手につけ、最終日での逆転優勝を狙います。また、鎌田卓麻/松本優一は同クラス5番手につけています。
■ベストタイムをマークした新井、鎌田は午後からペースアップ
全8戦で開催される2022年の全日本ラリー選手権。シーズン最初のグラベルラリーとなる第6戦は、北海道虻田郡ニセコ町を拠点に、隣接する磯谷郡蘭越町や寿都郡黒松内町などにスペシャルステージが設定されました。昨年に続き有観客での開催を実現し、9日(土)、10日(日)にそれぞれ観戦エリアが設定されました。
7月9日(土)に行われたラリーの初日は、2SSを2度走行する4SSの構成。SS1/3 “BEECH”は距離が7.28kmから3.64kmに短縮され、今大会の総ステージ走行距離は69.32kmに修正されました。前日に行われたレッキでは時おり雨が降る天候でしたが、この日はところどころで晴れ間が見られるドライコンディションのもとで競技が行われました。
スバル勢は、新井がSS1で2番手タイムを刻み、続くSS2ではベストタイムをたたき出して、首位に浮上。午後の2SSでは深くなった轍に苦しめられる場面もありながら、首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)に9.1秒差の2番手につけ、最終日の逆転を狙います。
一方の鎌田は、午前はセッティングが合わず6番手に留まりますが、昼のサービスでセッティングを変更したことでマシンの挙動が改善。順位をひとつ上げて5番手となりました。4番手ともわずか2.2秒の僅差に留めており、さらなる順位アップを目指します。
なお、スバルBRZが参戦するJN3クラスでは、加納武彦/横手聡志、竹内源樹/木村悟士がそれぞれクラス3番手、4番手につけており、最終日のポジションアップを目指します。
■新井敏弘「明日は最初のループでどこまで詰められるかが鍵」
JN1クラス2番手につける新井は、「これまでのグラベルラリー仕様からサスペンションを変えて、乗りやすくなりました。午後は轍がひどくて、少し抑えてしまったところもありました。明日は最初のループでどれくらい差を詰められるかが鍵になると思います」と、最終日への意気込みを語りました。
一方、クラス5番手でこの日を終えた鎌田は「午前中はセッティングが合わず、方向性が違ってしまったようでした。それを修正した午後は、だいぶクルマの動きも良くなってきました。まだ違和感はありますが、この方向が良かったようなので、これで進めていきます」と意欲を語りました。
競技最終日の7月10日(日)は、SS5~SS10の6SSで争われます。3SSを2度走行するかたちで構成され、SS6/9の“STREAM”はSS距離10.29kmのロングステージ。スバル勢の巻き返しにご期待ください。
■昨年に続き、新井敏弘が2位を獲得
2022.07.10 - 全日本ラリー選手権 第6戦 2022 ARKラリー・カムイ Leg2
7月10日(日)に最終日の競技が行われた全日本ラリー選手権第6戦『2022 ARKラリー・カムイ』は、スバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉がJN1クラス2位、鎌田卓麻/松本優一が5位でフィニッシュしました。
■新井は今季最上位、鎌田は手応えを感じた5位
ラリー最終日は、SS5~SS10の6SS、SS走行距離37.80kmで争われます。3SSを2度走る構成ですが、この日はスタート前に雨が降り、SS5では湿った路面コンディションに。前日をJN1クラス2番手で終えた新井は、逆転を目指し力走。SS6では今大会2度目のベストタイムをマークし、首位ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)まで1.3秒という僅差に迫ります。
新井は午後のSSもリヤバンパーを当てるほど攻めた走りで挑みましたが、差を詰めることは叶わず。それでも、今季自己最上位の2位でフィニッシュしました。
一方、5番手からの追い上げを目指す鎌田は、激しい4番手争いを展開。SS7では今シーズン初めてのベストタイムもたたき出し、4位との差を0.8秒にまで詰めました。最終ステージでは3番手タイムもマークしましたが、一歩及ばず5位でのフィニッシュとなりました。
なお、スバルBRZが参戦するJN3クラスでは、加納武彦/横手聡志、竹内源樹/木村悟士がそれぞれクラス2位、4位に入っています。
■新井敏弘「一時はトップに立ち、手応えはありました」
JN1クラス2位でフィニッシュした新井は「得意のグラベルラリーなので最初からプッシュしていましたし、一時はトップに立ったので速さを見せられた点は良かったかなと思います。次の北海道では、一発目でどれだけ離せるかが鍵になりますが、リスクも大きいので、クレバーに走るところと全開で走るところ、使い分けていきたいと思います」とマシンの手応えと次戦への意欲を語りました。
クラス5位で今季最初のグラベルラリーを終えた鎌田は「クルマは徐々に速くなってきて、安定して運転できたので、クルマのポテンシャルは高かったと思います。初日でセッティングが合わずに遅れてしまったのがすべてかな、と。2日目はベストタイムも獲れましたし、クルマのスピードも上がっていました。新井選手が見せたスピードも、WRX STIのポテンシャルがまだまだ上にあると示しているので、次のラリー北海道に向けてかなりいい材料だと思います」と期待を語りました。
■ディーラーメカニックコメント「安全確認の大切さをあらためて痛感しました」
・担当車両:(富士スバル AMS WRX STI)
・坂口寛弥
・南九州スバル株式会社隼人店 メカニック
学生時代に二輪でジムカーナをやっていたことはあるものの、四輪のモータースポーツは初めての経験という坂口。「一時期はフロント業務を担当し整備の現場を離れていたのですが、また現場に戻ってきたタイミングでしたので、いいチャンスかなと思いました」と参加を決めました。
短い制限時間の中で求められる作業をこなさなくてはならないラリーのサービス作業は「現場に来てみて、思ったよりも忙しく、バタバタとしているうちに作業時間の20分が終わってしまうような感じで。落ち着いて作業ができる余裕がなかったなという感じです」と語ります。
緊迫したラリーの現場で、安全確認の重要さをあらためて気付かされたと振り返る。
「今回、参加することで、安全確認の大切さを感じました。基本を大事にすることは普段の仕事でも言われていることですが、この現場ではそれが競技に出られるかどうかや、選手や自分自身の命にも直結してくるので、その大切さを今回あらためて実感しました」
こうした極限状態の中で作業を行うチームのメカニックを見て感じたことは、と聞くと「とにかく動きが早いです。正直、別世界すぎて。私は自分の作業をこなすをするので精いっぱいだったのですが、皆さんは、私や私の工具が邪魔になっていると思われるのに、それを避けて作業をしていただいたりしたことがありました。周りを見て安全確認をしながら、ゆとりを持って作業をしていらっしゃるんだなと思いました。一番驚いたのは、10分、15分という時間のなかで足まわりを交換したりだとか、作業速度や基準がまったく違うんです。寝ころんだ体制での作業も、こんなにも力が入らないものなのだと思いました」
今回、担当した新井敏弘は2位でフィニッシュ。「うれしいです。新井選手から、ラリー中も、水分を摂ってねとちょくちょく声をかけてくれたり、最後のサービスの時も、お疲れさまと労ってくれました。職場に戻ったら『ヘトヘトにはなるけど、行けば行っただけ自分の力になって自信につながるので、絶対行った方がいい』と勧めます」と清々しい笑顔を見せてくれました。
次戦は9月9日~11日に開催される第7戦『RALLY HOKKAIDO』です。北海道帯広市を拠点として行われる未舗装路(グラベル)ラリーは、選手権争いも佳境を迎える大一番のラリー。スバルWRX STIが見せる豪快な走りにご期待ください。