<p>ウェッブ宇宙望遠鏡による写真をさらに公開=NASA – BBCニュース</p><p>BBCニュース – ウェッブ宇宙望遠鏡による写真をさらに公開=NASA</p><p>アメリカ航空宇宙局(NASA)は12日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した、「星の育つ場所」や「宇宙のダンス」の写真を公開した。</p><p>画像説明, カリーナ星雲 カリーナ星雲は、ハッブル宇宙望遠鏡が長らく観測してきた天体だが、ウェッブ宇宙望遠鏡の写真では全く違う様相を示している。カリーナ星雲は地球から約7600光年離れた、宇宙でも最大規模かつ最も明るい部類に入る星雲。星雲は、星が育つ場所と言われている。大量のガスやちりからなり、これが新しい星を形成する。ウェッブ宇宙望遠鏡の画像では、星だけでなく一面に広がるガスやちりにも目を奪われる。上側のガスと下側のちりの境界線から、天文学者はこの場所は「宇宙のサンゴ礁」や「宇宙の断崖」と呼んでいる。ウェッブ宇宙望遠鏡の主要な目標のひとつは星の形成を調査することだが、カリーナ星雲は絶好の場所だと言える。 SMACS 0723 「SMACS 0723」は巨大な銀河団。銀河が集まっているため、より遠方にある天体の光がゆがむことから、「重力レンズ」として知られている。赤い弧を描いている物体は、非常に遠く、非常に古い銀河が放った光だ。中には、ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえるまでに130億年かかっているものもあるという。さらに奇妙なことに、この画像の両端に見える弧は、実は同じ物体なのだという。「SMACS 0723」では、光は1回以上屈折している。 サザンリング星雲 画像提供, NASA/ESA/CSA/STScI ハッブル宇宙望遠鏡が写したこの天体の画像を、大型の豪華本で見たことがあるかもしれない。サザンリング星雲、あるいは「エイト・バースト」星雲とも呼ばれるこの天体では、中央にある死にそうな星の回りを、ガスとちりが大きく取り囲んでいる。星は年を取るとエネルギー生成の方向を変え、外側の層に放出する。その後、星が再び高温に達すると、それまでに放出した物質を動かし始める。サザンリング星雲は直径が0.5光年ほどあり、地球から約2000光年離れた場所に位置する。こうした構造は「惑星状星雲」と呼ばれるが、実際には惑星とは関係がない。望遠鏡が現在のような解像度を持たなかった初期のころの誤りが残った呼び名だ。ウェッブ宇宙望遠鏡は星の生まれる瞬間と同様、死ぬ様子も観察しようとしている。 ステファンの五つ子 ペガサス座にある銀河群「ステファンの五つ子」は、地球から約2億9000万光年離れたところにある。史上初めて発見された、小規模な銀河群として注目されている。この5つの銀河のうち4つは、接近遭遇を繰り返す宇宙のダンスに閉じ込められている。ぱっと見る限りでは、ハッブル宇宙望遠鏡とウェッブ宇宙望遠鏡の写真には大きな違いはない。しかしウェッブ宇宙望遠鏡の高い赤外線感度により、新たな研究対象が生まれた。これは、2つの望遠鏡のデータを組み合わせられるという点で大きな希望だ。2つの望遠鏡はそれぞれに長所があり、比較・対照することで研究に新しい局面が加わることになる。ハッブル宇宙望遠鏡がこの先どれくらい稼働できるかはわからない。運用期間はすでに32年となり、技術的な故障も多い。しかしNASAのハッブル宇宙望遠鏡担当部門は先に、5カ年の予算計画を提出している。あとは運を天に任せるしかない。 WASP-96b これは見栄えのする画像ではない。これは光の波長(スペクトル)を表している。ウェッブ宇宙望遠鏡の観測の約半分は、分光器を用いたものになる予定だ。分光器では、捕らえた光を「色」に分解することで対象物の構成要素や動く速度、温度といった性質を明らかにする。このグラフは太陽系の外側、地球から1150光年離れたところにある巨大な惑星「WASP-96b」の大気のスペクトラムをとらえたものだ。「WASP-96b」は大きなガスの覆いに覆われており、木星に似ている。そして、ウェッブ宇宙望遠鏡は大気中の分子を驚くほどの精度で識別することができる。グラフには、水蒸気の存在が明確に記されている。「WASP-96b」は恒星に近すぎて熱すぎるため、生命を育むには適さない惑星だ。しかしウェッブ宇宙望遠鏡は今後も、地球と同じような大気を持つ惑星を探していく。見つかった暁には「生命が住める惑星なのか?」という疑問が湧き上がってくるだろう。 ノーベル物理学賞受賞者のジョン・マザー博士は、1995年からNASAでウェッブ宇宙望遠鏡計画に携わっている。このプロジェクトの上級科学者として、予算オーバーや技術的な遅れで計画がキャンセルされそうになった時期には、その有用性を主張しなければならなかったという。 今回の写真公開に当たってマザー氏は、「興奮するとともに安心した。というのも、これだけ大きなことを始めると、うまくいかない可能性が常にある。でもうまくいった。とても誇りに思っている」と語った。 ウェッブ宇宙望遠鏡計画には欧州とカナダの宇宙機関も関わっている。欧州当局は、昨年12月25日に望遠鏡を打ち上げたロケットにも貢献した。非常に正確に打ち上げられたため、ウェッブ宇宙望遠鏡は向こう20年稼働できるだけの燃料を保持することができた。 欧州宇宙機関(ESA)のヨゼフ・アッシュバッハー事務局長はBBCの取材に、「あの打ち上げは、ロケット『アリアン』から人類へのクリスマスプレゼントだった」と話した。 「ウェッブ宇宙望遠鏡を安全に軌道に乗せ、その寿命をおそらく10年延ばした」</p>