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画・溝上幾久子 [PR] 手紙の下書きを書こうと鉛筆を握り、2Bの鉛筆の芯が黒くやわらかく紙に触れた。高校生の頃、それほど親しくないのに交換日記をしていた村田海子というクラスメートがいた。この人は祖父母がシャンハイから引き揚げてきたので「上海」に因(ちな)んで海子という名前にしたのだと言…