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焔(ほむら) 九 〓燭(ろうそく)のかすかな光が端座した梅と、半身を起こしたこんを下からぼんやり照らしている。梅が無言で、こんの胸に飛び込んできた――。こんはふるえる娘の背をやわらかく撫(な)でる。梅は囁(ささや)くように、かすれた声で、「父上は……負けるのですか?」こんは長いこと黙ってい…