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フィアット500Xハイブリッドはハイブリッドシステムを持ち、燃費が向上。フィアット初の内燃機と電動モーターを切り離して走行できるハイブリッド車だ。他に何ができるのかテストする。

販売には苦戦しそう?フィアットは新型の「500Xハイブリッド」に28,990ユーロ(約405万円)のプライスタグをつけて発表した。顧客がフィアットのホームページから、クリックして、競合他社に流れることがないよう、オンライン価格を5,000ユーロ(約70万円)引き下げたのだ。これだけ値引きしたことにより、果たして販売倍台数は伸びるだろうか?

こういったクルマの場合は、ヨーグルトと同じで、賞味期限が切れそうになったら、値段をどうにかしないといけないのだ。「フィアット500X」は、2014年に登場し、2018年に改良された。そして、もうひとつの重要な変更点は、ハイブリッドのみで、他のエンジンはすべて廃止されたことだ。そこで我々はその1.5リッター4気筒、130馬力の「500Xハイブリッド」で何ができるのかを試してみた。

3,000ユーロ(約42万円)の追加で選択できるフォールディングルーフは、身長1.80メートルのエディターの心をくすぐる。

まずフォールディングルーフを格納し、太陽の光を取り込む。我々は、「甘い生活(ドルチェヴィータ)」というグレードを選択したのだった。新鮮な空気の喜びは、3,000ユーロ(約42万円)の追加、すなわち、我々のテスト車は31,990ユーロ(約447万円)というコストとなった。第一印象は、全高1.80mのテスターにとっては、フォールディングルーフを閉じている限り、少し窮屈なものだった。しかし、着座位置は適切で、太ももは表皮に残り、小さなSUV(全長4.26m)に快適に乗り込むことができる。

【車両データ】

モデル フィアット500Xハイブリッド1.5 GSE
エンジン 4気筒ターボ、フロント横置き
排気量 1469cc
最高出力 130PS@5250rpm
最大トルク 240Nm@1500rpm
駆動方式 前輪駆動、7速デュアルクラッチ
全長/全幅/全高 4264/1796/1595mm
ラゲッジルーム容量 350~1000リットル
0-100km/h加速 9.4秒
最高速度 194km/h
平均燃費 17.2km/ℓ
CO2排出量 133g/km
基本価格 28,990ユーロ(約405万円)より

マルチメディアに関しては、フロントに2つ、リアに1つのUSBポートが備わるところは普通だが、あまりにも小さな、スマートフォンのような小さすぎる画面、しかも非接触充電もできないというところは、登場してから8年という歳月を感じさせる。

電動モーターでターボラグが消える

1.5リッターの130馬力4気筒は、ベルトスターター式発電機を介して20馬力の48ボルト電動モーターに接続されている。電動モーターは発進直後からトルクを発揮し、内燃機関をサポートするため、ターボラグがなく、停止状態から素早く発進することができる。また、4気筒エンジンと電動モーターを切り離して走行することが可能だ。

ゆったりとした滑走が切り札。新色「RED」はいい色だ。

500Xハイブリッドを落ち着いて運転すれば、リッターあたり17.2kmというなかなかな好燃費で報われる。しかしその一方で7速デュアルクラッチトランスミッションの挙動が優柔不断で、アクセルを踏み込んだときに内燃機関が大きく吠え、すべてのトルクを使い切ったときには、煩わしさを感じるだけだ。

記載されている燃費は現実的なものだ

そのため、「500Xハイブリッド」の運転は、快適性を追求したステアリングと同じように、落ち着いて、焦らず、ゆったりと滑るように運転することが大切だ。そして、その通りにしたため、オンボードコンピューターでの燃料消費量はリッターあたり17.2kmとなり、まさに約束された数値となった。

結論:
8歳を迎えた「フィアット500X」は、ハイブリッドモデルとして新たなスタートを切った。車がかわいい、大きさがちょうどいい、走りが経済的。しかし価格にも性能にもまだまだ改善の余地がある。
AUTO BILDテストスコア: 3

【ABJのコメント】
申し訳ないけれど、ちょっとその存在を忘れてしまっていた「500X」。「ジープ レネゲード」の兄弟車として発表され、「デカチンク」という、なんともビミョーなキャッチコピーで広告されていたことを思い出した。乗ってみればなんとも乗り心地が落ち着かないことと(レネゲードははるかに洗練されて落ち着いた乗り心地で、その差に驚いたほどだった)、普通の「500」との大きさのギャップに違和感を覚えることが多く、自分で選ぶとしたら迷うことなくジープのほう、と失礼な感想を持って試乗を終えたことを思い出す。

その「500X」に延命措置が取られ、ハイブリッドシステムを搭載したことと、様々なエレクトロニクスデバイスのアップデートが施されたことが今回のニュースである。これで「500X」も人気を回復して販売好調・・・、といくかどうか、そこまで世の中が甘いかどうかはわからない。でもSUVの中では、この威圧感の少ない、かわいいディテールや、素敵なカラーバリエーションなどは好きな部分である。そんないい感じのエクステリアに見合わなかった内容のアップデートが功をそうして、売れるようになるだろうか。「デカチンク」というキャッチコピーだけは継続してほしくない、と願っている。(KO)

Text: Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: Stellantis N.V.