今週の15日(金)に発売されるM2チップ搭載MacBook Airは、実に10数年ぶりのフルモデルチェンジとなった。その一新されたデザインに注目が集まっているなか、アップルのインダストリアルデザイン担当副社長のエヴァンス・ハンキー(Evans Hankey)氏やハードウェア担当副社長のケイト・バージュロン(Kate Bergeron)氏が本製品の開発について語っている。
英メディアGQ Magazine UKの取材にて、ハンキー氏はMacBook Airの新色であるミッドナイトカラーをどう発想したかを明かしている。新色としてはスターライトも加わっているが、アップル公式オンラインストアでの納期を見るかぎり、ミッドナイトカラーが一番人気のようだ。
同取材によれば、この色は「火山岩の玄武岩に由来しているんです」とのこと。ハンキー氏の父は地質学者だったという。
ハンキー氏は、元デザイン最高責任者ジョニー・アイブ氏が2019年にアップルを去った後、iPhoneからAirPodsに至るまで、全製品のルック&フィール(見た目と操作感)につき責任を負っているという。それは「消防ホースから飲む」(莫大な作業が送り込まれる)と例えるほどの仕事量とのことだ。
その膨大な仕事の中でも、M2 MacBook Airの再デザインは独特の課題だったそうだ。ハンキー氏は「ファミリー製品を一緒に作ろうと思ったのは初めてです」「Airを単独で設計したのではなく、MacBook Proと連動してデザインしたのです」と語っている。つまりMacBookファミリーとしてのまとまりを意識した、ということだろう。
たしかに14インチ/16インチMacBook Pro(2021)とM2 MacBook Airのデザインには、共通言語的なものがうかがえる。新MacBook AirにはミニLEDディスプレイは搭載されていないが、Proと同じく1080pのFaceTime HDを収めるノッチ(画面上部の切り欠き)を備えている。またThunderbolt/USB-Cポートとは別に、磁力で着脱できるMagSafe充電端子を備えることも同じだ。
またハンキー氏は、2008年にスティーブ・ジョブズ氏が発表して以来、MacBook Airは常に「ちょっと挑発的な製品」だったと述べている。
そしてバージュロン氏も「あの製品(初代MacBook Air)は、形の概念としては世界を変えるものでしたが、全ての人のためのコンピュータにはなり得ませんでした」と振り返る。「 “絶対に携帯性が必要だ” という人たちのためのコンピュータだったんです」とのことだ。
これは、かつてのMacBook Airはモバイラーのための製品だったが、M2 MacBook Airは万人向けのコンピュータに成長を遂げた、と示唆しているようだ。実際、アップルは2021年度第4四半期にMacの売上高が過去最高を記録したと明かしたとき、M1 MacBook Airの貢献を強調していたことがある。
とはいえ、まだM2 MacBook Airは実際にユーザーが使っているわけではなく、単なるベンチマーク以上の「現場での使いやすさ」は未知数だ。M1 MacBook Airはそこそこの高性能とバッテリー持ちを両立した絶妙なバランスが好評だったが、M2 Airもその点を受け継いでいると期待したいところだ。