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Image: Joe Carrotta

ニューヨーク大学ランゴン移植研究所(NYU Langone)で、2人の脳死者に対するブタの心臓移植が実施され、その有効性を測る実験が行われた。

移植手術は数時間かけて行われ、それぞれ3日間にわたり拒絶反応もなく、薬物療法と追加の機械的サポートもなしに機能することが確認されたという。

この研究は、ブタから人間への異種移植に注目が集まる中で実施されたもの。ブタからヒトへの移植といえば、今年1月に米メリーランド大学で重度の心疾患の男性に行われたことが大きな話題となった。このときは回復の見込みがなく、移植しなければ命が危険な状態であったことから、米食品医薬品局(FDA)が特別な許可を出して移植が行われた。移植後、男性はリハビリに取り組むまでに回復し、経過は順調なように思われた。

ところが、手術後40日を経過した頃に心臓の調子が悪化しはじめ、2か月を経過した3月には亡くなってしまった。

その後の報告では、移植した心臓から豚サイトメガロウイルスと呼ばれるブタ特有のウイルスが見つかったとされていたが、後にこれが直接の原因ではなく、何らかの理由で心臓の内部が肥大化し、拡張期心不全に至ったことが明らかにされていた。

この肥大化の原因はわかっていないが、拒絶反応を防ぐために使用した薬物による副作用だった可能性があるとされているようだ。

この事例以来、医学界ではブタからヒトへの臓器移植についてもっと研究・検証を進め、安全性の高い方法を確立することが求められている。また、Wall Street Journalによると、FDAはブタの心臓をヒトに移植する臨床試験を認可することを検討しているとのことだ。

今回移植が行われた2人の脳死者は、いずれも手術後生命維持装置を外すまでの3日間、特に外部からのサポートを必要とすることもなく機能した。この結果を受け、研究者らは今後の研究にも期待が持てるとしている。とはいえ、ヒトからヒトへの移植に代わる実用的な心臓移植の代替手段として安心して行えるようになるには、まだまだ多くの研究が必要だとのこと。

NYUのロバート・モントゴメリ博士は、「この研究は1度の手術で終わるようなものではなく、何が重要で何がそうでないかを学ぶのにはまだ何年もかかるだろう」と述べている。