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<p><宇野沢デジタル委員が読み解く>衝撃スガイディノス 「札幌娯楽の聖地」の行方は:北海道新聞 どうしん電子版</p><p>スガイディノス再生法申請の衝撃 時代に翻弄され続けた「札幌娯楽の聖地」 映画館やゲームセンターなどを運営してきたスガイディノス。紆余曲折を経て民事再生法申請に至るまでに何が起きていたのでしょうか:北海道新聞 どうしん電子版 #宇野沢デジタル委員が読み解く</p><p>札幌市営地下鉄東豊線の豊水すすきの駅の一番出口を上って、西二丁目通りを少し北に向かったところに、時間貸し駐車場があります。飲食店などが密集する地域にあって、かなり広い駐車場です。 駐車場のあ…</p><p>この地のエンターテインメント施設としての歴史は古く、1918年(大正7年)に芝居小屋が開館しています。戦後は映画館「札幌劇場」になりますが、68年に札幌須貝ビル(当時)に建て替わると、複合娯楽施設となり、映画だけでなく、ボウリングやビリヤードのほか、サウナやディスコを展開していたこともあったそうです。 札幌に長く住む方ならば、一度は行ったことがあるはずの有名なビルだったのですが、2000年以降、運営企業の体制はめまぐるしく変容しました。創業家の須貝富安氏が2005年に施設を保有する企業の株式を譲渡し、ビデオレンタル業などを手掛けるゲオの所有になります。さらに2014年には健康コーポレーション(現RIZAP=ライザップ=グループ)の傘下に移ります。 ディノス札幌中央ビルの売却、解体の方針が決まったのは2018年末でした。当時、RIZAPグループは積極的なM&A(企業の合併・買収)が裏目に出て、巨額の赤字に陥っていました。「グループ内の資産整理の一環」として「娯楽の聖地」は売却対象となり、閉館を余儀なくされたのです。 このとき、ビルを購入したのは胆振管内安平町の「北海道クラシックゴルフクラブ」など道内で3カ所のゴルフ場を運営するクラシック(大阪府大東市)でした。クラシックは「ホテルや商業施設、オフィスなどが入る複合ビルの自社での建設を検討する」としていました。 ただ、2020年末に旧ビルが壊された後は、ずっと時間貸し駐車場になっています。開発が動きだす様子はみられません。 どうしたのかと思って、土地の不動産登記簿を確認すると、2月28日付で大手不動産会社、東急不動産(東京)に売却されていました。 クラシックの本沢隆行事業部長に売却の経緯を聞きました。「自社開発を前提に、旧ビルの解体は2019年末に決定しました。しかし、その後すぐに新型コロナウイルスの感染拡大が起こります。ホテル開発などを考える上で期待していた観光客が蒸発するように消えてしまいました。数カ月で元に戻る見通しも立たず、計画は保留せざるを得なくなってしまいました」。再開発が膠着(こうちゃく)状態になっていたところ、東急不動産への譲渡の話が進んだと説明しています。 購入した東急不動産は、近くのススキノラフィラ跡地(中央区南4西4)の開発も手掛けています。こちらは映画館「TOHOシネマズ」や東急ホテルズ系のホテル、商業店舗などが入居する新ビルを2023年秋ごろ開業する予定です。近くに同じようなビルをまた造るのでしょうか。「取得は事実ですが、現段階では計画についてお話しできることはありません」(広報室)。およそ2年にわたって、多くの人の動きを制約してきた新型コロナウイルスの影響から、「札幌の娯楽の聖地」の開発計画は再構築を余儀なくされていました。 そんな取材をしていた矢先、驚きのニュースが飛び込んできました。 2018年末のRIZAPグループの事業再構築の中で、旧札幌スガイビルとともに、映画館・ボウリング場・ゲームセンターを運営する部門は、会社分割によって誕生した新会社「スガイディノス」として、道内企業投資ファンド「北海道SOキャピタル」に売却されていました。スガイディノスは閉館したディノス札幌中央ビル内にあった映画館を狸小路商店街に「サツゲキ」として移転開館するなど、コロナ禍にあっても道内のエンターテインメント事業の再興へ積極的に動いていたはずだったのですが…。 ちょっと日を置いてから、スガイディノスを買収した北海道SOキャピタル代表の小笠原一郎さんに電話をかけてみました。着信履歴を残しておくと、先方から折り返しのコールがありました。 買収を打診された4年前、チャンスと感じてすぐさま資金集めに動いた40歳の若手経営者です。表面的には華やかなエンターテインメントの業界で、何が起こっていたのか、聞いてみました。 ■「コロナが来るよ」、当時の自分に伝えたい</p>