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<p>「カスハラ」自治体でも…居座り「税金下げろ」1年継続、「殺してやる」罵声に対応295時間 – ライブドアニュース</p><p>【深刻】「カスハラ」自治体でも、同じ住民から繰り返し被害も 「税金を下げるよう求めて一日中居座られる状態が1年ほど続いた」などの実態が明らかに。「『税金で給料をもらっているんだから、これぐらい応じろ』と要求がエスカレートしやすい」という。</p><p>顧客からの暴言や不当要求といった迷惑行為「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の被害が民間にとどまらず、自治体でも起きている。職員の約5割が被害を経験したとの調査結果があり、執拗(しつよう)に繰り返</p><p>顧客からの暴言や不当要求といった迷惑行為「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の被害が民間にとどまらず、自治体でも起きている。 職員の約5割が被害を経験したとの調査結果があり、執拗(しつよう)に繰り返されるのが特徴だ。業務への支障が大きいとして、訴訟など法的対応に踏み切る動きも出ている。(久米浩之、増田尚浩) ■休職・退職、追い込まれる職員 「税金を下げるよう求めて一日中居座られる状態が1年ほど続いた」「電話のクレームが1日10回以上ある」……。全日本自治団体労働組合(自治労)はこうした公務員への行為をカスハラとし、2020年に全国の自治体や病院の職員ら約1万4000人に実施した調査(設問によっては複数回答)では深刻な実態が明らかになった。 過去3年間にカスハラを受けたとの回答は「日常的に受けている」と「時々受けている」を合わせて46%に上り、「自分はないが、職場で受けた人がいる」も30%だった。「暴言や説教」が63%で最多。被害を受けた職員には「出勤が憂鬱(ゆううつ)になった」(57%)、「眠れなくなった」(21%)といった影響が出ていた。 同じ住民から繰り返し被害を受けていると答えたのは9割近くに上り、生活保護や保育所、幼稚園関係が目立った。対応について、「毅然(きぜん)と対応すべきだ」が54%で最も多いが、「業務なので我慢せざるを得ない」(44%)、「クレーム対応も業務の範囲」(36%)といった回答も多く、理不尽でも受け入れる公務員が少なくない現状が浮かぶ。 自治労の担当者は「休職や退職に追い込まれる職員もいる」と話す。関西のある自治体の担当者は「『税金で給料をもらっているんだから、これぐらい応じろ』と要求がエスカレートしやすい」と明かす。 人事院は公務員へのカスハラを問題視し、20年6月施行の人事院規則で、府省庁に「組織として対応し、迅速かつ適切に職員の救済を図ること」を求めた。総務省も同様の対応を、各自治体に求める通知を出している。 ■損害賠償請求 職員を守るために、自治体は対策を迫られている。 大阪市は今年3月、長年暴言や苦情を繰り返したとして、市内の男性を相手取り、面談の強要禁止や約70万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。 市や訴状によると、男性は13~21年度、生活保護の受給を巡ってトラブルになり、担当の職員らに「死んでほしい」「お前を殺してやる」と罵声を浴びせ、謝罪などを要求。対応は370回に上り、計295時間に達するとし、市はこの対応にかかる人件費を損害額として請求した。5月27日の第1回口頭弁論で、男性側は争う姿勢を示した。 市によると、不当要求を巡って訴訟や仮処分を申し立てたケースは、今回を除いて、12年度以降で9件ある。いずれも市側の請求が認められるか、相手方との和解が成立したという。市総務局監察課は「話し合いで解決できるのが望ましいが、頻度や内容を考慮し、判断している」とする。 ■悪質なケースは氏名公表も…難しい線引き 奈良市は07年に、悪質なケースでは対象者の氏名を市のホームページで公表する制度を設けた。市によると、これまでに1人を公表したという。警察OBを職員として雇用し、奈良県警との連携も強化する。 毅然とした対応は欠かせないが、住民サービスとの線引きが悩みだ。京都市は07年、「市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例」を制定し、仕事の支障になる行為の概要を公表しているが、20年度の公表は1件のみ。担当者は「不当な要求と決めるのは慎重な判断がいる」と話す。 近年はSNSやネットで職員個人が批判されることもある。都市部の自治体担当者は「具体的な業務への支障が出ていなければ、組織としての対応はとりにくい。しかし、実名を出して批判された職員は精神的に追い詰められることが危惧され、新たな課題になっている」と話した。 ■専門家へ相談体制を 自治体や企業の危機管理を支援する「エス・ピー・ネットワーク」の西尾晋執行役員の話「カスハラ対応に時間が割かれることで、本当に必要な人への住民サービスの機会が奪われ、大きな損失を生んでいる実態を重く見ないといけない。現場任せではなく、複数人での対応や記録の保存といったルールを定めることに加え、弁護士ら専門家への相談体制の整備も欠かせない」</p>