<p>ダーク三國死にゲー『Wo Long: Fallen Dynasty』Team NINJA 安田文彦氏&山際眞晃氏インタビュー。『Bloodborne』Pが『仁王』チームの新作づくりにもたらす影響 – AUTOMATON</p><p>【インタビュー】ダーク三國死にゲー『Wo Long: Fallen Dynasty』Team NINJA 安田文彦氏&山際眞晃氏インタビュー。『Bloodborne』Pが『仁王』チームの新作づくりにもたらす影響</p><p>Team NINJAが開発中の『Wo Long: Fallen Dynasty』。弊誌は本作の開発を務める安田文彦氏と、山際眞晃氏の両名に対し、『Wo Long: Fallen Dynasty』開発への思いや作品コンセプトに関する部分についてインタビューを敢行する運びとなった。</p><p>死にゲーの魅力はやはり「達成感」だと思います。難しさはあくまで乗り越えた先にある達成感のためにあるので、「困難」がどれだけフェアに感じられるか、理不尽で無いように感じられるかが大切です。そうでないともう一度挑戦しようとか、繰り返し遊んでみようと思わないですからね。『Bloodborne』でもこの点は制作やプロモーションにおいてかなり意識していました。その上で、より強い達成感をプレイヤーへいかにして与えるのかという部分が、タイトルごとのオリジナリティになっていくのだと思います。 安田氏: 『仁王』『仁王2』を作ってきた経験で言うと、開発者側とプレイヤーとの知恵比べのような部分があると思っています。プレイヤーがクリアできない難易度のゲームを作ることもできますが、それでは面白くない。よく例えで使うのですが「辛いラーメン」って美味しくないとまた食べたいとは思わないじゃないですか。辛くて腹を壊すだけでは二度と食べたくはならない。辛いだけではなくてちゃんと「旨味がある」「美味しい」っていうことが大事だと思いますし、「美味しい」と思ってもらえる前提が「フェアさ」だと考えています。それがきちんと実現できている作品が「良い死にゲー」ではないかなと。 ──その上で、『Wo Long: Fallen Dynasty』が死にゲーとして、他作品と差別化できる点や強調したい魅力を教えてください。 安田氏: Team NINJAは『NINJA GAIDEN』などの純粋なアクションゲームを作っていて、「ソウル」シリーズや『Bloodborne』のようなタイトルに影響を受けて、アクションRPG制作に挑戦したのが「仁王」開発の始まりでした。 『Wo Long: Fallen Dynasty』は、中国武術を軸にした中華アクションを描く意味でも、原点に立ち戻って「仁王」シリーズよりもアクション性が高いものにしたいと考えています。もちろん、RPG要素をなくすという意味ではなく、作品としての軸足を「仁王」シリーズよりもアクション要素に寄せるということです。よりプレイ感やバトルスピードを早め、プレイヤーがさらに没入できるような…先程のラーメンの例えで言うならば、トッピング全部盛りではなくシンプルで、辛いけれど美味しくてついつい手が止まらなくなる、そういったゲームにしたいです。 もともとTeam NINJAが得意としているのは、そういうゲームだと思います。かといってピュア過ぎるアクションゲームだと、アクション操作や素早い反応が苦手なプレイヤーには敬遠されがちなので、「仁王」シリーズで積み上げたノウハウを活かし、RPG要素だったり、オンライン要素で、幅広い攻略法やセーフティネットは構築しています。 ──「仁王」シリーズではハックアンドスラッシュ要素を活かし、ステージを周回するかたちでゲームの長期性、プレイボリュームを演出していましたが、本作ではいかがでしょう。アクションの違いなども教えてください。 安田氏: 完全に遊び方が変わるというわけではありません。本作も幅は広がっていますが、基本的にはリニアで、ちゃんと密度、強度の高いレベルデザインになっており、しっかり没入して遊んでもらうかたちですね。 山際氏: アクション面で目指したのは、死と隣り合わせのぎりぎりの戦いの中でも、中国武術らしい流れるようなアクションで華麗に舞う、自分のプレイに酔いしれるような感覚です。 プレイヤーの気持ちを高揚させるケレン味のある演出によって、難度による達成感とは別の価値をバトルに感じてもらいたいですね。 安田氏: 「仁王」シリーズでは、どんなアクションをするにしてもスタミナが必要でしたが、本作にはそういった制約が基本的にありません。自身と相対する敵の状況は強く意識しなければなりませんが、上手くやればずっと攻め続けることもできますし、それを上回ってくる敵との攻防を楽しんで貰えると思います。 ──Team NINJAが開発に協力し、発売された直近の作品である『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』では、難易度設定を設けるなど、高難易度作品であると共に、プレイヤーに対する間口を広くとる意図が見られました。今作を制作する上で何か影響はありましたか? 安田氏: 『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』に難易度を実装したのは、『FINAL FANTASY』とタイトルに付く以上、アクションゲームだけでなくRPGをよく遊ぶプレイヤーなど幅広いターゲットを意識しないといけない、とスクウェア・エニックスさんと協議してきたことが一番の理由でした。そこで、RPGらしい装備品のドロップ(ハックアンドスラッシュ)の要素が色濃い事もあって、難易度が髙いほど良いドロップが期待できる、という形で難易度を実装しました。 『Wo Long: Fallen Dynasty』では「難易度を切り替える」という設定を想定していません。オンラインプレイや、プレイヤーのレベルアップ要素はありますが、あくまで難易度は1つで、プレイヤーの方が「クリアしたぞ」という絶対的な達成感を誇れるようにしたかったためです。 ──ゲームを宣伝、販売する上で、ゲーム配信における、俗にいう「配信映え」を意識したことはありますか。 山際氏: ゲーム配信であれ、RTAであれ、我々の意図しないところも含めて、好きに遊んでくださっているのが楽しさを生み出しているのであって、開発側が狙うと面白くなくなると思うんですよね。なので、あまり意識したことはないです。個人的には作ったあとはお客様のものだと思っているので色々なかたちで楽しんでもらえるのは嬉しいです。 安田氏: ゲーム配信の文化に関しては、プレイした人も配信を見る方もそれぞれオンリーワンの体験をして頂けるように、とは考えています。キャラクターの外見などのエディットも幅広く設定できて、プレイヤーアクションも選択肢が多く、敵も完全に同じ動きをすることはほぼないので、プレイしていて絶対に同じ戦い方、同じ死に方、同じ勝ち方はないと思います。そういった幅の必要性に関しては、より意識しないといけない時代だと感じています。 ──ちなみに、ハードウェアの性能向上に伴って、新たな表現が可能になった実感はありますか。 たしかに新たな表現が可能になり、ビジュアルやゲームプレイは大幅に改善されています。ただ、本作のようなアクション要素の強いゲームでは、映像の表現力が上がるとフレームレートとのジレンマになる事が多いです。アクションをより緻密にしようとか、背景をよりリアルにしようとか、プレイヤーにより没入してもらおうとすると、何かしら制約が生じてしまう。その制約の上で、どこにプライオリティを置いていくかという悩みは、ハードウェアの性能が向上しても変わらない部分です。 ──お二方に関する質問に移ります。山際氏は安田氏と過去に対談などされていましたが、そもそもなぜTeam NINJAに合流することになったのでしょうか。 山際氏: SIE社では『Bloodborne』などでグローバル規模のタイトルのプロデュースを経験させてもらったので、次のステップとして、そうした経験を活かしたいと考えていました。当時Team NINJAが『仁王』『仁王2』などを通じて、世界に挑戦している段階にみえたので、そこからさらに上を目指していくなかで、自分のこれまでの経験を活かして何か一緒にできることがあるのではないかと安田に相談したことがきっかけです。 ──実際に山際氏がTeam NINJAに合流して、お互いの印象の変化や、強みを活かせているという実感はありますか? 山際氏: Team NINJAは、アクションに強く、手触りなどを大切にするチームという印象でしたが、妥協せずに作りこむ意識は想像以上でした。それが若いメンバーにまでにきちんと浸透しているのはチームとしての強みだと思います。 私のやるべきことは、そうした良さにプラスアルファを加えることで、これまで売るために客観視、言い換えるとお客様目線を意識してきたので、そうした経験をうまくチームにプラスしていきたいですね。 安田氏: チームへの関わり方については、山際が今言った通りだと思います。Team NINJA全体を統括する私の立場から見ると、山際のいるプロジェクトはあんまりブレないというか。もちろんディレクターの適性もあるので一概には言えませんが、客観的に物事を観ることが一番強みだということは彼が自負しているとおりだと思います。主観がないとゲームは作れませんが、客観性がないと誰も求めていないものになってしまいます。 私が『仁王2』でプロデューサーを担当した時に、作った面白いものをどう伝えていくか苦戦したことがあったんです。そういった部分で、彼は作品の大事にしているところを伝えるという部分に長けているので、大きな力になってくるのではないかと。本作においても宣伝やプロモーションが盛り上がってくるこれからのタイミングで、さらに彼の強みが活かせると思います。 彼が加入した当初、「めちゃめちゃ全員野球なんですね。Team NINJAって」と言われたことを覚えています(笑)絶対褒め言葉じゃなかった(笑) 山際氏: 安田氏: どんだけ全力投球やねん!みたいな(笑)いずれにせよ、客観性をもたらしてくれたという意味で良かったと思います。あと、彼がかつて担当した『Bloodborne』は、私を含め『仁王』を作っていたメンバーもそうだし、最近の新人にとってもそうですが、いまだにトップクラスの人気を誇るゲームですよね。そうしたタイトルに関わった人間が同じチームにいるというのはすごく心強いものだと思います。 ──ではゲームの内容について、まだ詳細な情報は出せない段階だと思いますが、可能な範囲でうかがっていこうと思います。本作は三国志の中でも序盤にあたる黄巾の乱から描かれますが、登場する武将とプレイヤーの関係性について教えてください。 山際氏:</p>