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<p>「テロの連鎖」を繰り返すな 中島岳志・東工大教授</p><p>「テロの連鎖」を繰り返すな 中島岳志・東工大教授 今回のテロを受け、真っ先に連想したのは大正10年、安田財閥の祖、安田善次郎を暗殺した朝日平吾だ。安倍元首相を銃撃した容疑者も、家庭で深刻な問題を抱え、将来の展望も欠いていたようだ。境遇や行動は似通っている。</p><p>今回のテロを受け、真っ先に連想したのは大正10(1921)年9月、安田財閥の祖、安田善次郎を暗殺した朝日平吾だ。</p><p>佐賀県生まれの朝日は幼少期に母を失い、継母との関係が悪く家出した。上京して早稲田大に入学するも中退し、郷里・佐賀の帝国陸軍第18師団に入隊し、第一次世界大戦では山東半島に送られた。帰国後は再び上京するも不遇で、中国大陸に渡って「大陸浪人」的に振る舞ったかと思えば、政治、労働運動にも参画した。ただ、どれも大成しなかった。いわゆる「不遇な人生」を送っていた朝日は「なぜ自分はここまで不幸なのか」というナイーブな問いを抱え、そして自分の苦境をもたらす象徴として、安田を狙った。 安倍晋三元首相を銃撃した容疑者の男も、報道ベースの情報ではあるが、家庭で深刻な問題を抱え、さらに将来の展望も欠いていたようだ。2人を並べてみると、境遇や行動は似通っている。 特集・連載:</p>