しかしこの抗寄生虫薬を強力に推す本が売れ続けている。編者は薬の生みの親であり
その成果でノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏だ>
最初に断っておくと、私は大村智氏が2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した業績
については、称賛以外の見解を持たない。大村氏が静岡県伊東市内のゴルフ場の土から
見つけた新たな細菌、そしてこの細菌が出す化合物から生まれた画期的な抗寄生虫薬
「イベルメクチン」は、科学史に名前が刻まれるべき業績だ。だが偉大なイベルメク
チンの誕生秘話と、新型コロナ特効薬になるか否かは別の問題だ。
本書は大村氏の編著という形を取っており、執筆陣には科学者だけでなく、大村氏を
長年取材してきた科学ジャーナリストも名前を連ねている。一読して気になったのは
「被害者感情」とでも呼ぶべきものだ。本当なら新型コロナにも効果があるイベル
メクチンが積極的に使われないのは、何か裏の事情があるはずだ──そんな思いが
そこかしこに滲(にじ)み出ているように読める。実際に、件(くだん)のジャーナ
リストは終章でこう記している。
<<イベルメクチンをめぐる世界の動向はこの薬剤が新型コロナに有効かどうかという
医学的テーマだけでなく、薬剤開発を展開する医薬品企業の思惑、それを監督する
立場の政府機関、パンデミックの対応を迫られる国際機関と公衆衛生機関などの思惑
が複雑に絡んで、見方によっては政治問題の様相を見せ始めています。>>
本当にそうなのだろうか。イベルメクチンが新型コロナウイルスに効果があればどれ
だけ良かっただろう、とおそらく世界中の医療者が思ったはずだ。だからこそ、医学的
な知見からの検証が続けられてきた。最新の状況を知るために、今年3月にこんなニュ
ースが流れた事実を示しておこう。「新型コロナウイルスの患者に投与しても、入院
に至るリスクを下げる効果はなかったとする臨床試験の結果を、ブラジルなどの研究
グループが発表しました」(2022年3月31日、NHK)
本書に推薦コメントを寄せている東京都医師会の尾崎治夫会長は、イベルメクチンを
診療の場で使えるよう積極的に提言してきた1人である。私が取材していた範囲では
新型コロナ患者を診療してきた医療従事者には少なくとも21年に入ってからはイベル
メクチン使用に懐疑的な見方が定着していた。本書が出版された21年12月時点では
尾崎提言に冷ややかな反応のほうが多くなっていたように思う。そして、現時点に
おいては、正しかったのは現場で知見をためていた医師たちのほうだった。
<「権威」の言うことが常に正しいとは限らない>
もう1つ、本書で気になるのは編集の在り方だ。大村氏を前面に押し出すのは良かった
のだろうか。ノーベル賞は確かに権威であり、受賞者の発言は重く受け止められる。
普通の科学者やジャーナリストの発言とは社会的な影響力が違うのも事実だ。政府とも
医学界の主流とも異なる見解を述べる姿勢を痛快に思う人もいるだろう。なんといって
も、本書は全国学校図書館協議会選定図書だ。しかし、権威が「こう言っているから」
といっても、それが正しいとは限らない。
イベルメクチンは救世主候補だったことはあっても、救世主になり得る可能性は後退
している。現状を覆す論文が発表されるのなら、早く読みたいと心から思うのだが。
大村 智[著]
河出新書
(2021年11月30日)
引用元: ・【コラム】ノーベル賞受賞者が言ったから、イベルメクチンを「盲信」していいのか? [NAMAPO★]
この記事を書いた人間が反日左翼ってことだけはよくわかった
反論する論文が一つもないってとこでもう決まりっすね
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