Porsche Team EBI WAIMARAMA
Super Taikyu RACE REPORT
2022 Round.02 FUJI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第2戦 富士スピードウェイ
2022年6月3日(金)〜6月5日(日) 決勝レース結果:リタイア
専有走行
6月2日(木) 専有走行1回目/2回目/夜間走行 天候:晴れ 路面:ドライ
2022年第1戦を4位で終えたPorsche Team EBI WAIMARAMAは、シリーズのハイライトでありチャンピオン争いでも重要なラウンドとも言える、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースを迎えた。日本で唯一の24時間レースであり、さまざまな話題もあるレースだ。
Porsche Team EBI WAIMARAMAはこのレースに向け、レギュラーのKIZUNA、千代勝正、山野直也、大草りきの4名に加え、2021年もチームに加わったジュリアーノ・アレジ、そしてコロナ禍以降なかなか日本でのレースができなかったリ・ジョンウが加入。強力な体制で臨むことになった。
公式セッション初日の6月2日(木)は初夏の陽気のもと迎えた。途中赤旗中断もあったが、その再開後から走行を開始し、リ・ジョンウ、アレジの順に走行すると、アレジが1分50秒935というベストタイムをマークする。続く専有走行2回目では、晴天のもと山野、大草、アレジ、リ・ジョンウと交代しながら走行。大草が1分50秒422をマークする。第1戦の時点から、富士はポルシェ718ケイマンGT4 RS Clubsportにも適しているのではないかと予想していたが、戦える感触を得る。専有走行2回目では4番手という順位だが、ライバルと大きな差があるわけではない。
さらに、午後7時〜8時に行われた夜間走行でも山野とアレジ、リ・ジョンウがドライブ。アレジが1分49秒626をマークし、予選に向けた準備をしっかりと整え、3回の専有走行を締めくくった。
公式予選
6月3日(金) 公式予選 天候:曇り/雨 路面:ドライ/ウエット
走行2日目となる6月3日(金)は、午後0時からの公式予選のみというスケジュール。とはいえ6人のドライバーが参戦するチームにとっては、午後3時40分まで行われるE・Fドライバーのフリー走行まで長い予選日となる。
まずAドライバー予選に臨んだKIZUNAは、富士に備えて練習を積んだ経験を活かしつつ、4周目に1分50秒659をマークし4番手につける。続くBドライバー予選では千代が持ち前の速さをみせ、1分47秒405というタイムをマーク。僅差でトップではなかったが、合算で2番手につけてみせた。
続くCドライバー予選では強雨もあったが、山野はST-Zのトップタイムをマーク。大草、そしてE・Fドライバー走行ではアレジ、リ・ジョンウがタイムを刻み、予選を終えた。
決勝レース
6月4日(土)〜5日(日) 決勝 天候:曇り 路面:ドライ
いよいよ迎えた6月4日(土)午後3時からの決勝レース。Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4RSのスタートドライバーは千代が務めた。今回、チームは24時間制覇に向け、ある作戦を組んでいた。それは、スタートから朝を迎えるまでプロドライバーで繋ぎリードを築き、レースが落ち着いた朝になってからAドライバーのKIZUNAにステアリングを託すというものだ。
スタートから千代はいきなり1時間30分のスティントをこなすと、トップに浮上し山野に交代。その後もアレジ、大草、リ・ジョンウとほぼ1時間半に近いスティントを積み重ねていったPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4RSは、しっかりとリードを築き午後11時23分には、ふたたび千代がコクピットに戻る。夜間の走行も山野、アレジ、大草と一度目のドライブと同じサイクルを繰り返しながら、周回をこなしていった。周囲ではアクシデント等でフルコースイエローやセーフティカーも相次ぐが、ピットインのタイミングも悪いものではなく、パーフェクトとも言えるレース運びで勝利に向けひた走っていた。
この時季ともあり、日照時間は午前4時29分。午前4時を過ぎると、サーキットもかなり明るさを増していた。そんな状況のなか午前5時を前にして、いよいよKIZUNAが満を持してPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4RSのコクピットに乗り込む。視界もクリアななかで、しっかりと自身の義務周回をこなしはじめた。レース距離の20%を走らなければならないが、仲間たちが築いてくれたある程度のリード、そして接触すらしなかった完璧なマシンという安心がある。まずは午前6時過ぎまでの1時間を走行。ラップタイムも非常に良好で、チームメイトたちも大いに勇気づけられリ・ジョンウへバトンタッチ。午前7時20分には、千代が3回目のドライブに向かっていった。
まさにパーフェクトな展開で、レース終盤が見えはじめていたが、好事魔多し。午前8時11分、517周目に入っていた千代は、コカ・コーラ・コーナーで突如姿勢を乱してしまった。リヤから白煙が上がっており、急激にパワーを失っている。すぐさま千代はハザードランプを点け、コース外を走行しながらピットに戻る。クルーがすぐさまチェックしていくが、ウォーターポンプのベルト切れにともなう水温上昇により、エンジンにダメージが及んでしまっていた。なんらかの異物がウォーターポンプのベルトを切ってしまったようなのだが、チームもまったく想定していなかったトラブルだった。
スタートからこれ以上ないかたちで作戦を遂行し、まさに勝利をたぐり寄せつつあるなかでのまさかのトラブル。24時間レースではしばしばあることだが、Porsche Team EBI WAIMARAMAにとっては『悔しい』では片付けられない、やるせなさの残るレースとなってしまった。
DRIVER COMMENTS
KIZUNA キズナ
「今回の24時間はすごく狙っていて、私自身ももっとペースを上げるために、自分で練習用のクルマも買ってタイムを上げてきていました。またレースに向けて山野選手と千代選手がいろいろなことを考えてくれましたし、みんなが非常に良いペースでレースを進めてくれていました。それだけにこういう結果になってしまいすごく悔しいですね。すべてがうまくいっていましたし、最高のチーム、最高のクルマ、ドライバー、そして良いコンディションでしたが、こんなこともあるんですね。仕方がないです」
KATSUMASA CHIYO 千代 勝正
「スタートを担当させていただき、そのまま順調にリードを広げることができました。24時間レースでいろいろなことがありますし、最初の12時間はプロドライバーで繋ぎ、KIZUNA選手には朝からドライブしてもらうような作戦を組んでいましたが、そのときも1周のリードがありましたし、それを守って帰ってきてくれた。作戦もパーフェクトでしたし、運もあった展開で誰もミスをしなかったのですが、いきなりのトラブルでした。これもレースですね。ただ戦闘力が上がっているのは間違いないです。次戦こそ勝ちたいです」
NAOYA YAMANO 山野 直也
「今回は勝てるレースでしたね。途中までは夢を見られるレースでした。序盤からトラブルもなく、作戦面でも非常にうまくレースを進められており、多いときでは1周ほどのリードを築くこともできました。相手をラップダウンにさせることで優位に立つ作戦でしたが、接触もなくドライバーたちが良いレースを進めていてくれました。そんななか、現段階ではウォーターポンプのベルト切れと解析していますが、トラブルが起きリタイアという結果となってしまいました。戦えるクルマだっただけに、全員が悔しい思いです」
RIKI OKUSA 大草 りき
「今週はクルマのフィーリングがすごく良くて、何もなければ勝てるレースだっただけに、純粋に悔しいですね。チームの皆さんも本当に頑張ってくれていましたし、ペースも良かった。表彰台は十分に狙えるレースだったと思っています。他のシリーズになりますが、2週連続で不運に見舞われてしまったので何かイヤですね。今回落としてしまったのはシリーズを考えると大きいですが、残り全部勝つつもりで臨みたいですし、エンジンが変わってどれほどアドバンテージがあるのか、楽しみにしたいと思います」
GIULIANO ALESI ジュリアーノ・アレジ
「昨年に続いてこのチームに参加できましたが、悔しい終わり方になってしまいました。それまではドライバーもチームもまったくミステイクがなく、良いペースで走ることができていました。トラブルの原因は誰も妨げることができないものだったので、バッドラックそのものでしたね。昨年よりも良いペースで走れていたし、チームのエネルギーも最高のものでした。このストップ以外は素晴らしい週末でしたし、ファンの皆さんもたくさん来場して楽しいレースでした。来年も絶対に出場したいですね」
LEE JUNGWOO リ・ジョンウ
「コロナ禍もあり、2年間は韓国でレースを戦っていましたが、ひさびさに千代選手、KIZUNA選手にお声がけいただきチームに加えていただきました。クルマもタイヤも初めてで、皆さんに迷惑をかけないように慎重にドライブしていきましたが、最後はこういう結果になってしまいすごく悔しいですね。みんながノーミスですごく速いレースができていたのに、たったひとつのバッドラックでこうなってしまいました。こうしてチャンスをいただけたことはすごく嬉しかったですし、またチャンスがあれば一緒に戦いたいです」