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 神戸製鋼所の低CO2高炉鋼材がトヨタ自動車のレース車「水素エンジンカローラ」に採用された。国内初の実用化となる。厳しい環境への対応が求められる競技車両への適用は、同社製品がCO2削減効果だけでなく、高い要求品質にも対応できることが認められた結果だろう。自動車以外の分野からも多くの引き合いがある。素材分野において品質(性能)、コストとともに今後、CO2低減という価値基準の重みが増していくことは確実だ。

 今年度から販売を始めた低CO2高炉鋼材「コベナブル・スチール」は、同社グループの製鉄工程におけるCO2低減ソリューションに基づくもの。天然ガスを使った還元鉄製鉄法(ミドレックス技術)により還元炉で排出された高温の還元鉄を、ある程度の大きさの塊にした熱間成形還元鉄(HBI)とし、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の高炉に多量に装入、高炉からのCO2排出量を大幅に削減する。

 CO2削減効果は、特定の鋼材に割り当てる「マスバランス方式」を用いてISO20915に準拠して計算、算出した。その計算方法および結果については、英国の認証サービス機関から第三者認証を取得している。販売に当たっては、第三者認証書および神戸製鋼の低CO2鋼材証明書を発行する。

 低CO2高炉鋼材といっても従来と同じ高炉プロセスで製造したもので、加古川製鉄所ならびに神戸線条工場(神戸市)で製造する全ての鋼材品種(薄板、厚板、線材・条鋼)での販売が可能なのが特徴。強みとする特殊鋼線材、超ハイテンなどの高品質材でも、従来と同等の品質を維持している。鋼材1トン当たりのCO2排出量の削減率が2018年度実績比100%削減の「コベナブル・プレミア」と、同50%削減の「コベナブル・ハーフ」の2品種を商品化した。水素エンジンカローラでは、コベナブル・プレミアがサスペンションメンバーに採用されている。

 近年、自動車分野では軽量化による低燃費化(CO2排出量削減)や電費向上を目的に金属部品の樹脂化が進んでいる。こうした流れに対して鉄鋼業界では、クローズドループリサイクルが可能な鋼材の特性を前面にリサイクルを含めた製品のLCAでの優位性を訴えてきた。今回の低CO2高炉鋼材は、このさらに上を行く取り組みとなる。製造工程におけるCO2排出量の削減を独自ブランドとしてどの程度普及・展開していけるのか。カーボンニュートラルの実現に向けた動きが本格化するなか、今後の動向が注目される。

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The post 【社説】低CO2製造プロセスのインパクト first appeared on 化学工業日報.