2022年7月15日、トヨタ自動車は新型クラウン(16代目)を発表した。発表会で、この新型クラウンには4タイプのボディバリエーションが用意され、今年秋に発売される「クロスオーバー」(この仕様については価格など詳細も公開)を皮切りに、今後1年半かけてスポーツ、セダン、エステート(ワゴン)が発売されてゆく。発表会見でトヨタの豊田章男社長は「新型クラウンは”型破り”。長いクラウンの歴史という”型”があったからこそ、それを破ることができた」と語った新型クラウン。本稿では本日発表となった新型クラウンクロスオーバーの詳細を紹介する。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA、三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY
■伝統のFRから革新のAWDへ進化したクラウン
まず気になるのは新型クラウンのパワーユニット。2タイプが用意されており、走行性能を高めた「RS」に搭載されるのは2.4Lターボ+モーターのハイブリッドユニット。
これは「デュアルブーストハイブリッドシステム」と名付けられたトヨタ初採用の機構で、直列4気筒2393ccターボエンジン(272ps/46.9kgm)にクラッチを介して82.9ps/29.8kgmのモーターを組み合わせている。これにトルコンレスの6速ATを組み合わせて前輪を駆動。
後輪はbZ4Xの後輪にも採用される「eAxle(79.7ps/17.2kgm)」を搭載し、前後輪の駆動力配分を100:0から20:80の間で制御する4WDシステム「E-Four Advance」 を採用した。なんかもうものすごく速そうであり、発表会見でも豊田社長から「自信あり」と語られていた。早く乗ってみたい。
もうひとつは2.5L直4、NAエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドE-Four。こちらは基本的にはカムリやハリアーなどに搭載されるTHSで、フロントモーターは119.7ps/20.6kgm、E-Fourのリアモーターは54.4ps/12.3kgmと、eAxleには及ばないが、充分にパワフルといえる。
燃費性能とボディサイズは以下のとおり。
■WLTCモード燃費:22.4km/L(クロスオーバーG)、15.7km/L(クロスオーバーRS)
■全長:4930mm(+20mm)
■全幅:1840mm(+40mm)
■全高:1540mm(+85mm)
■ホイールベース:2850mm(-70mm)
※( )内は先代型(15代目)クラウンのサイズ
最大のトピックスは、やはりこれまで歴代クラウンの伝統的な駆動方式であったFR(後輪駆動)ではなく、FF(前輪駆動)ベースの全車4WDを採用したこと。このことが、どれほど走行性能や「乗り味」といった部分に影響するか、これはぜひ実車で確かめてみたい。
■価格と販売戦略
新型クラウンクロスオーバーの車両本体価格は以下のとおり。
【2.5L+モーターのHV仕様/全車AWDで値引きはゼロ】
クロスオーバー「X」……435万円
クロスオーバー「G」……475万円
クロスオーバー「Gアドバンス」……510万円
クロスオーバー「Gレザーパッケージ」……540万円
クロスオーバー「Gアドバンスレザーパッケージ」……570万円
【2.4Lターボ+モーターのHV仕様】
クロスオーバー「RS」……605万円
クロスオーバー「RSアドバンス」……640万円
先代型(15代目)の4WD仕様と比較すると実質的な値下げとなっており、輸入車のライバル(メルセデスやBMW)と比較すると200万円程度割安の価格設定。あらゆるものが値上げしている昨今、これはかなり「勝負」に出ている価格戦略であり、トヨタにしか出来ない横綱相撲でもある。めっちゃ売れそう。
上述のとおり、新型クラウンはまず今回発表となった「クロスオーバー」が今秋より発売となる。今後1年半かけてスポーツ仕様、セダン仕様、エステート仕様(ワゴン)を発表する。
これまでクラウンはほぼ国内専売仕様であったが、この新型からグローバルで約40の国と地域に展開してゆくとのこと。欧州ではアウディやメルセデスと正面からぶつかるかたちになるだろう。豊田社長も会見で「世界中のトヨタ販売店で、フラッグシップカーとして売っていただくのにふさわしいクルマになった」と語っていた。
発表会場で実車を見たが、前評判のCGより何倍もボリューム感があり、シャープでカッコいい。イメージよりも車高が高く、クロスオーバーの名に恥じないデザインだ。初見で「これは売れそう」という感想を抱きました。昨今の物流不安定化により時間はかかるが、全国のトヨタ販売店に順次展示車や試乗車が配備されてゆくので、ぜひ実車を見てみてほしい。
【画像ギャラリー】新型クラウンは4つの仕様を用意!! 衝撃を受けた実車の迫力と喜ぶ豊田社長の全画像(13枚)画像ギャラリー投稿 新型クラウン正式発表!! これは…売れそう…思い切った価格、大胆なグレード構成とサイズでトヨタが超本気を見せてきた は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。