F1ドライバーたちの協会グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)から、新世代F1マシンのデザインがもたらしたポーパシング現象(激しい縦揺れ)がドライバーの健康に及ぼす影響について調査するよう強い要請を受け、FIAはこれを解消、あるいは大幅に軽減するための解決策を見出そうとしていると明らかにした。しかし、ポーパシングの影響が比較的小さいレッドブルは、レギュレーション変更を行うなら不公平になるとして反発している。
GPDA理事を務めるメルセデスのジョージ・ラッセルとフェラーリのカルロス・サインツは、シーズン当初から、ポーパシングのドライバーの健康への影響に強い懸念を示し続けてきた。アゼルバイジャンGPの金曜夜には、ドライバーズブリーフィングにおいて、この問題が長い時間をかけて協議された。
各チームのマシンデザインにより影響の程度は異なり、影響をあまり受けていないチームは、規則変更に反対することは間違いない。従って、FIAは、この変更は安全上の理由から行うものであるという根拠を確実にする必要がある。そのプロセスをすでに開始していることが、バクーにおいてドライバーたちに伝えられた。
ラッセルは「重大なインシデントが起こるのは時間の問題だ。このレギュレーションが続く間、今後3年も、このまま続けていくことはできないと思う」と発言した。
しかし、ポーパシングの影響が比較的小さいレッドブルの代表クリスチャン・ホーナーは、ライバルチームは、ドライバーに無線を通してポーパシングについて文句を言わせて、FIAにプレッシャーをかけようとしていると主張した。ライバルチームは、それによってレギュレーション変更を認められれば、競争力を高めることができるというのだ。
「マシンにもっと厚いプランクを付ければいい。一番簡単なのは、車高を上げることだ。つまり彼らにはそういった選択肢があるのだ」とホーナーは言う。
「チームは安全でないマシンを走らせるべきではない。問題を抱えているマシンがいくつかある。一方で、それほど問題のないチームもある。目標を完璧には達成できなかったチームと、しっかり仕事をしたチームがある。しっかり仕事をした方に不利なことをするのは、不公平に思える」
ホーナーは、「(自分のチームのマシンに問題があれば)私なら、ドライバーたちに対し、無線で積極的に文句を言って、できるだけ大きな問題にするよう、指示するだろう。それがゲームの一部だ」と言い、メルセデスとフェラーリが実際そうしていると思うかと聞かれると「そのとおりだ」と答えた。
「全チームにとっての安全性に関わることであれば、検討するべきだ。だが、一部の人間やチームにしか影響がないのであれば、彼らは自分でそれに対処する可能性を探るべきだ」
ホーナーのこの発言に、ラッセルは強く反論した。
「アドバンテージを得ようとしてこういうことを言っているドライバーはひとりもいない」とラッセル。
「フェラーリのふたりや、マックス(・フェルスタッペン)だって、どれだけ大変かを話している」
「誰にとってもいいことではない。いずれ何かが起こる。それは間違いないよ」
メルセデスのルイス・ハミルトンは、アゼルバイジャンGP後、バウンシングの影響で背中を痛め、レース後、マシンからなかなか降りることができない状態だった。カナダGPに向けて身体へのダメージが心配されるが、その後、はり治療を受けるなどして、出場への準備を整えていると、ハミルトンはSNSで明かしている。