7月15日に千葉県の幕張メッセで行われたワールドプレミアで発表されたトヨタのフラッグシップモデル、新型クラウン・シリーズ。第16代目となる今回はこれまでのセダンのイメージを覆す、クロスオーバー、コンパクトSUVとも言えるハッチバックのスポーツ、そしてセダンにエステート(SUV)と4種類のラインアップで発表された。
デザインが異なる4種類のクルマの特徴や走りが気になるが、モータースポーツファンとして気になるのは、やはり、レースへの投入について。トヨタのフラッグシップでもあるクラウンもまた、GRブランドとして、そしてレース車両への転用はあるのだろうか。ワールドプレミア直後に行われた共同会見の場でトヨタの豊田章男社長が答えた。
「GRヤリス、GRカローラは(レーシングドライバー)モリゾウの顔が先になって出てきたクルマですが、私はご存知のように、4つの顔を持っています。自工会(日本自動車工業会)会長、トヨタ社長、モリゾウ、そして66歳の豊田章男、そのなかでこのクラウンはやはりトヨタのフラッグシップでございますので、トヨタの社長、66歳の豊田章男を優先させてもらいたいと思っています」と、会見でまずは自身の立場を説明した豊田社長。
「そういう意味で、まずはこのクルマに私はどうフィットするかというと、レーシングスーツ姿ではなくて、(ビジネス)スーツ、そして普段のカジュアルな姿がまずは似合うように、私はこのクルマを使っていきたいなと思っております」と、現在のところレースへの転用は考え得ていないようだが、可能性はまったくないわけではなさそうだ。
「当面はモータースポーツで使うことはない、とモリゾウはそう思っています。しかしながら、ご存知のようにトヨタという会社は社長の言うことは誰も聞かない会社でもありますので、そういう意味ではこういうクルマをどうしていくかというのは主査の専権事項でもありますし、カンパニープレジデントも権限を持っていますので、この先どうなるかはわかりませんが、モリゾウとしてはそういう意見を言い続けたいなと思っています」
近年はGRヤリスにGR86、そしてGRカローラとGRブランドで次々とレース車両が誕生し、プリウスも含めてスーパーGT300クラスやスーパー耐久などさまざまなレースカテゴリーに参戦しているトヨタの車両。15代目のクラウンも2020年にはスーパー耐久でデビューしているだけに、周囲の後押しがあれば実現も不可能ではなさそうだ。
16代目の新型クラウンは一見すると、キャビンが大きくで空力的には難しい面もあるかもしれないが、ハッチバックタイプのスポーツはサイズ的にマッチするカテゴリーがあるかもしれない。新型車両の登場はどんなクルマであれ、モータースポーツファンにはうれしいもの。トヨタのフラッグシップモデル、新型クラウンもまた、何かしらの形でレースに関わってくれる時を楽しみに待ちたい。
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