2022年5月26日にルノーから5ドアクーペSUV「アルカナ」が販売開始となった。欧州ではルノー車の中でメガーヌの次に人気となっている、注目のモデルだ。
アルカナに搭載されたハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID」はF1のノウハウが使われ、なんとドッグクラッチが採用されている。「E-TECH HYBRID」って何? ドッグクラッチって何? という方はぜひ読んでみてほしい。自動車評論家 吉川賢一氏が解説・試乗チェック。
※本稿は2022年5月のものです
TEXT/吉川賢一、PHOTO/森山良雄
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
【画像ギャラリー】ルノーから登場のハイブリッドSUV!!! 注目の新鋭「アルカナ」をギャラリーでチェック(23枚)画像ギャラリー
■F1にも使われる「ドッグクラッチ」ってナニ? 公道でどうなの?
2022年5月26日より販売開始となるルノーの新型5ドアクーペSUV「アルカナ」。
2021年3月の欧州での発売以降、期待を上まわる人気で、ルノー車のなかではメガーヌに次ぐ人気の、今注目のクルマだ。
欧州では、1.3L直4ガソリンエンジンと補助モーターのマイルドハイブリッドも存在するアルカナだが、日本では429万円のR.S.ラインE-TECH HYBRIDの1グレードのみ。
駆動方式はFFのみで、エンジン側に4つ、モーター側に2つのギアを持ち、電子制御で「ドッグクラッチ」をコントロールするマルチモードATを搭載。
スタート時は100%モーターで発進、状況に応じてエンジンが始動し、モーターへの充電と駆動を行う。
高速の合流などでパワーが必要な時は、エンジンとモーターの両方が駆動力となる。
F1で実績のあるルノーが、F1のノウハウを盛り込んだというE-TECH HYBRID。
「F1のノウハウ」とは、メインモーターとハイボルテージスターター兼ジェネレーター用モーター(HSG)、そしてエンジンを繋ぐトランスミッションに、電子制御のドッグクラッチを採用したこと。
シフトチェンジの際の衝撃を吸収するクラッチやシンクロナイザーを持たないので小型軽量化が可能で、ダイレクト感に優れたフィーリングとなるが、衝撃や異音が出やすい。
しかし試乗してみると、異音もなく、滑らかに作動する。
国産ストロングハイブリッドと何ら変わりない水準で、緩加速から強めの加速まで、スムーズに変速していく。低いギアで引っ張ることも少なく、次々に変速していく様子は期待どおりだ。
シフトダウン時には、「カシャ」という音が聞こえるシーンもあったが(ドッグギアが噛みあう時に鳴る音と推測)、それもF1由来といわれれば許容できる。
メカが好きなドライバーであれば好きな音なんじゃないだろうか。
■ライバルを気にする必要なし! ルノーらしさを感じられる仕上がり
ハンドリングや直進性も良好で、視界もよく、運転はしやすい。
215/55R18サイズのKUMHOタイヤを装着していたが、段差の突き上げも少なく、後席でも快適な乗り心地だ。
後席は、頭上スペースコブシ1個未満と多少窮屈だが、多人数用途のSUVではないので、問題にはならないだろう。
E-TECHと同じストロングハイブリッドといえば、日本メーカーが現時点世界一の完成度を誇る。
アルカナが、強力ライバルひしめく日本で、欧州同様に人気車となるかは不透明だが、このアルカナで、国産ライバルたちとガチンコで戦う必要はないと思う。
既存のルノーファンへ確実にアルカナを届け、そのうえで、ルノー車ならではの「凄み」と「感動」を味わってもらうことが最優先だ。
ルーテシアやキャプチャー、メガーヌなど、本命のルノー車にE-TECHのプラグインハイブリッドを搭載し、日本導入された時こそ、ルノーの躍進が始まる時。
ルノーの今後に期待だ。
●ルノー アルカナ 主要諸元
・全長:4570mm
・全幅:1820mm
・全高:1580mm
・ホイールベース:2720mm
・車両重量:1470kg
・エンジン:直4DOHC+モーター
・排気量:1597cc
・最高出力:94ps/5600rpm
・最大トルク:15.1kgm/3600rpm
・モーター最高出力(メイン):49ps/20.9kgm
・モーター最高出力(サブ):20ps/5.1kgm
・WLTCモード燃費:22.8km/L
・価格:429万円
【画像ギャラリー】ルノーから登場のハイブリッドSUV!!! 注目の新鋭「アルカナ」をギャラリーでチェック(23枚)画像ギャラリー
投稿 F1技術搭載のハイブリッドSUV!! ルノー最注目SUV「アルカナ」 その出来や如何に? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。