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 2022年5月22日〜24日、アメリカのバイデン大統領が就任後初めて来日した。東京都内では検問が多く設置され、いたるところに警察官が立ち警戒にあたる厳戒態勢が敷かれた。

 アメリカ大統領といえばアメリカ本土から大統領専用車、通称「ビースト」を持ち込むことで有名だ。今回は、来日した大統領の乗り物にフォーカス。「世界最強」の大統領専用車や専用機を写真を中心にあらためてレポートする。

文/写真:成田颯一

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■車両は持参、総勢20台超えの車列

 アメリカ合衆国大統領が乗る車両は、防弾、耐爆の仕様はもちろん、化学兵器やバイオテロからも守れるよう密閉されており、まるで動くシェルターのような仕様だ。この重装備から、大統領専用車は「ビースト」と呼ばれている。

 また、大統領の移動は非常に警備が厳重であり、それを担うシークレットサービスや関係者の一向も含めると大所帯での移動となる。警備だけでなく、万が一のアクシデントや、テロ行為など、あらゆる事案を想定した大統領を守るための機材や車両も共に移動している。

2台目のビースト。車内の日差しが当たって見えるのはバイデン大統領?

 今回の来日でも、大統領専用車のビーストをはじめ、専用ヘリコプターもアメリカから輸送機で持参。日本のパトカーを含めると、総勢20台以上の車列での移動となった。移動中は上空からも警視庁と米軍のヘリコプターが旋回して常に警戒にあたっていた。

 ビーストを含めて、シークレットサービスの車両の詳細は、警備の都合上公開されていないが、衛星通信機能や緊急時の医療に備える車両が含まれているとされており、中には周辺の電波をシャットアウトできる機能の車両もあるようだ。

■前代未聞?友好祭開催中の横田基地にエアフォースワンが堂々着陸!

 バイデン大統領の来日のタイミングとちょうど時を同じくして、5月22日(日)の横田基地(東京都福生市)では、「横田基地日米友好祭2022」が、2019年以来3年ぶりに開催されていた。

 今回、イベントが開催されている中で、バイデン大統領を乗せたエアフォースワンが、横田基地に着陸するか、羽田空港へ着陸するのかは航空機ファンの間でも注目が集まっていた。そして、これまで何度か来日したエアフォースワンの非常に厳重な警備から考えると、横田基地でのイベントの最中に着陸するなど、まずありえないだろうと多くの人が思っていた。

 そんな中、エアフォースワンは17時頃横田基地へ飛来。多くの来場者が注目する中、大迫力のランディングで降り立った。本来、横田基地の展示エリアは17時までであったが、急遽18時までに変更のアナウンス。

友好祭開催中の横田基地に飛来したエアフォースワン

 エアフォースワンのスケジュールや飛来はいっさいアナウンスされていなかったものの、これが完全に用意されたシナリオであることは言うまでも無く明らかだった。

 横田基地では、入場に際して手荷物検査と、顔写真付き身分証明証の提示が実施されており、一定のセキュリティは担保されている。

 また、もともと4月後半で調整が進められていたものの延期となったクアッド(日豪印戦略対話)が5月となったことや、昨今の周辺国の情勢を踏まえての日米の同盟の強さや友好のアピールの狙いがあったのではないか?など、ともかく色々な偶然と関係者の尽力があってこのビックサプライズが実現したのではないかと推測できる。

 間近に降りたエアフォースワン。その大迫力に湧きあがる大歓声で、来日を迎えられたバイデン大統領はその後、都内に向けてヘリコプターの「マリーンワン」で移動し、滞在するホテルへと移動した。そして翌々日の24日は、官邸で会談後にアメリカ大使館を訪問したのち、再び横田基地経由でアメリカへと帰国していった。

■エアフォースワンの由来と今後

 エアフォースワンは、ジャンボジェットの愛称で知られる、ボーイング747-200Bをベースとした水色の機体で、「UNITED STATES OF AMERICA」と大きく表記され、ひと目でエアフォースワンと分かる。

 実は、「エアフォースワン」というのは大統領が乗っている場合に使われるコールサインであり、実際にはVC-25というのが機体の名前となっている。

着陸したエアフォースワンは西からの日差しを浴びながらゆっくりとスポットへ

 例外はあるが、アメリカでは大統領が乗っている車両や機体を識別するため、「〜ワン」と呼ぶことがほとんどで、移動に使用したヘリコプターも「マリーンワン」と呼ばれている。ちなみに、副大統領が乗っている場合は2番目を意味するエアフォースツー、マリーンツーとなってくる。

 現在のB747-400をベースにした機体は、ブッシュ大統領の時代から使用されており、間も無く交代を迎える時が近くなっている。B747をはじめとした大型機は、世界的に見ると数が少なくなってきており、日本政府も数年前にB747を退役させてB777を新たな政府専用機として導入した。

 一方のアメリカは、ボーイングがお膝元にあることもあるが、4発機である点や2階建ての構造などから、次期エアフォースワンに使用する機体に引き続きB747-8を選んだようだ。これらの機体が、通常の民間機と大きく異なるのは、ミサイル攻撃や核攻撃にも耐えうる装備が施されている点だ。

 他にも指令機能や通信機能も搭載されるため、改造にも膨大なコストがかかっている。トランプ政権時代には、この膨大な改造コストが指摘され話題となったが、現在はすでに後継機の改造に着手しており、後継機のボーイング747-8を改造した機体は今後完成したのち、試験飛行をクリアして着任する見込みとなっている。

 そんな中、来年G7の開催が広島で開催が決定。現在のエアフォースワンは再び日本に飛来するのか、それとも新たな機体が飛来するのか?今後の動向に注目したい。

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