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 高速道路を走っていると頻繁に見かけるのがバス停である。使ったことのある人も多々いるだろうが、都心などに住んでいる人からすれば、どこから乗れるのか? なんてこともわからなかったりする。

 また、高速路線バスを降りた際、どうやって目的地にたどり着くことができるのだろうか? 今回は高速路線バスの知られざる正体を暴く!!

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


本線上バスストップの歴史

 高速道路(自動車専用道路を含む)本線上のバスストップは意外と多い。かつては都市間高速バスと言えども、数多く設置された本線上バスストップに停車しながら走った。国鉄バス(現在のJRバス各社)の名神高速線や東名高速線、中国高速線がその代表例だろう。

 そのため、各停便は「急行」種別を、通過便は「特急」を、そして後には最速達便は「超特急」と称して走っていた。現在の東名ライナーや新東名スーパーライナーがその流れをくむ。

 国鉄バスは鉄道の代替や補完または短絡や先行という「任務」があったため、高速道路本線上バスストップは駅扱いで鉄道に準ずる扱いがなされていた。周遊券(現在は廃止された周遊きっぷの前身)で往復の経路に含まれていた理由のひとつでもある。

 高速道路網が発達してくると純粋に都市間を結び、両都市周辺のみでの乗降に限定する高速バスが徐々に多くなる。もともと高速道路は郊外に建設されることが多く、人口が少ない上に高速道路ができれば周辺住民は自家用車で高速道路を利用するようになる。そうなると高速バスが停車しても「だれも乗り降りしない」バス停が多くなる。

大都市郊外以外は減少傾向

 高速道路本線上バスストップは文字通り本線上にバス停専用の施設を設置したものや、インターチェンジに併設したもの、パ-キングエリアやサービスエリアに併設したもの等がある。

 設置タイプにもよるが、乗降が少ないのと寄ると時間をロスする等の理由により、4-5割のバスストップが利用されていない。つまり停車するバスが1本もないということだ。

IC併設の例(高速甘木)

 首都圏周辺の東名高速や中央道のバスストップは周辺人口が多いことから比較的乗降は多いようだが、かつて多くのバスストップを設置していた東名・名神・中国の各道路では閉鎖されたバス停が多い。使用されなくなったバス停施設は道路管理施設に転用されたり、閉鎖されたまま野ざらしだったりとさまざまだ。

降りた後(乗るまで)どうする?

 本線上バスストップで降車した後は(乗車するまで)はどうするのかというと、沿線バス事業者が付近まで路線バスを走らせている場合はそれを利用するのだが、そんな便利なバスストップは多くないので自家用車で迎えに来てもらうことになるだろう。

 次の選択肢はパーク&ライドが整備されている場合の自家用車利用だ。これはバスストップ付近に有料や無料の駐車場が完備されており、そこまでは自家用車で行きバスに乗るまたは逆のパターンだ。

 いずれにせよローカルなバス路線や鉄道駅が付近になければ、自家用車がなければ利用は難しい。まさに沿線住民専用といった感がある。

高速バス乗り継ぎ利用も!

 本線上バスストップが積極的に乗り継ぎ利用される例もある。その代表例が九州自動車道の基山バスストップだ。営業案内上は「高速基山」バス停だ。すぐ南側に鳥栖ジャンクションがあり、福岡と大分・長崎・熊本・鹿児島方面を結ぶ路線のほとんどがここに停車する。

 いずれの路線も多くが福岡発着なので福岡以外の都市間利用で直行バスがない、または便が少ない場合は比較的便数の多い福岡発着のバスを高速基山で乗り継ぐことにより、福岡市内まで行かなくても便利に高速バスネットワークを利用できるようにしている。あらかじめ乗車券を購入すれば乗継割引が適用される路線もある。

 よって基山パーキングエリアに併設された高速基山バス停は多くの路線が停車するため、上り線・下り線ともに前後に2つのバス停がありホームが長く、行先により使い分けている。

 また上下線をまたいで乗り継ぐことも可能なので徒歩連絡道もある。さらに西日本鉄道(西鉄)が設置したパーク&ライドは高速バスを利用してサービス券を受けとれば無料で利用可能という至れり尽くせりの本線バスストップもある。

乗客が多くなりすぎて移設された例も

 同じ九州自動車道のパーキングエリア併設バスストップに「直方PA」がある。筑豊本線の筑前植木駅から徒歩圏内の距離だが、このPA併設バス停が曲者だった。上り線は直方PAなのだが、下り線は約2km離れた鞍手PAにバスストップがあった。

直方PAバス停は夜行の一部も停車する

 しかし周辺住民が福岡に直通できることから通勤・通学需要で乗降が多くなり、乗車地と降車地が2km離れているのは不便だという問題が発生した。

 とうとう上り線のみにある直方PAの向かい側、つまり何もない下り線に本線上バスストップを新設し鞍手PAバス停は廃止された。乗客が多いと利便性確保のために本線上バス停が移設されることもあるという例だ。

交通機関を確認したうえで降りてみるのも面白い

 このように、自家用車がないと何もできないバス停から、路線バスが充実しているバス停、タクシー乗り場があり駅まではタクシーが利用できるバス停とさまざまだが、周辺の交通機関を確認したうえで降りてみるのも面白い。

 最近はPAやSAが道の駅のように利用できるエリアも多く、バス停が設置されていれば地方産品のお買い物にも利用できるだろう。

高速皿倉山ケーブルバス停を通過する西鉄バス

 ただし、使用する路線がクローズドドアシステムを採用している場合、往復利用ならばダイヤさえ気を付ければ問題はない。

 しかし順方向に利用しようとした場合には「降りれるけどもう先には進めない」という場合があるので、単純往復ではなく都市間高速バスを途中で下車して、また順方向に移動しようとする場合は注意が必要だ。

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