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 太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)認定量は2013年度の24・2ギガワットをピークに減少に転じ、20年度は1ギガワットを下回った。太陽光発電協会(JPEA)は、この状況が続けば「事業用太陽光の年間導入量は従来の5ギガワット程度から1ギガワットを下回るレベルになる」と分析する。

 カーボンニュートラルの実現に向け、比較的手軽に導入が可能な太陽光発電は、積極的に拡大すべき電源だ。日本における20年度末までの累計導入量は約61ギガワット。電源構成の7~8%に相当する。21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、この比率を14~16%にまで高める計画で、30年度末見通しを従来の64ギガワットから103・5~117・6ギガワットへと大幅に上方修正している。

 足元の低迷と将来の野心的な目標のかい離-。FIT施行の12年度からの3年間、高値に設定された買い取り価格を追い風に、全国で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が相次いだ。しかし現行の新規認定案件の買い取り価格は10円/キロワット時程度。事業採算の観点や用地不足もあり、メガソーラー需要は減少するとみられている。

 一方で太陽光発電に関する人々の心象も、しっかりと把握しなければならない。SNS上ではメガソーラーに関する懐疑的意見が目に付く。無知や偏見に基づくものも見受けられるが、森林破壊を嘆く声が多く、ずさんな太陽電池パネルの設置写真をアップする例も少なくない。

 JPEAによると、17年の改正FIT法の前に認定された太陽光発電所には「法令順守が疑われる案件もある」。そこで「地域共創エネルギー推進委員会」を立ち上げ、施工不良の是正などに取り組んでいる。ただ「法令の改正だけでは改善が難しく、地域との共生を推進する場合の最大のハードル」と指摘する。

 太陽光発電のさらなる普及には、この「地域との共生」がカギを握る。計画段階からのコミュニケーションはもちろん、除草作業で地元のシルバー人材センターを優先的に活用するなど、住民との関わりは稼働後こそ重視するべきだ。また事業者は、パネル数枚と蓄電池を組み合わせた非常用電源設備を無償提供し、地域の安全を第一に考える姿勢を鮮明に打ち出す必要があるだろう。さらにJPEAが提唱するように、自治体や地域住民がFIT買い取り期間終了後の太陽光発電所を継承できるよう、国に支援制度の検討を求めたい。

 地産地消の分散型電源を実現する太陽光発電は「わが町の財産」ともいえる。メガソーラーを決して地域分断の象徴にしてはならない。

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The post 【社説】地域と共に歩む太陽光発電めざして first appeared on 化学工業日報.