こんにちは、ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタントの八木陽子です。
世代によって、「投資」のイメージがまったく違うことに、驚くことがあります。
若い世代は投資にポジティブだが…
私と同じ世代40~50代では、いまだ「投資は怖いもの」というネガティブなイメージを持つ方もいます。
先日も、「親から、株式投資はギャンブルと同じ。絶対にやるんじゃないと言われて育ちました。なので、投資はやったほうがいいかもしれないけど、気持ちが切り替わらなくて…」とおっしゃっている方に会いました。投資=ギャンブルとは、家庭での言葉の影響力は計り知れないものです。
一方で、20代は、「投資は当然やるべきもの」「資産運用できるってカッコイイ」とかなりポジティブにとらえています。その隔たりは、ジェネレーションギャップともいえるのではないかと思うぐらいです。
しかし、若者たちが、なんの問題なく投資を行っているかというと、今の若者は、金融の知識を学ぶ機会がないままに投資を始めている子も多いため、SNSなどで得た情報に飛びつくなどして、後からトラブルが起こり、詐欺被害にあうケースもあります。
私自身、実際に詐欺に勧誘された大学生と話したり、「学生だったときに騙されそうになった」という新入社員さんに出会ったり…と、被害と隣り合わせだった若者とかなりの確率で知り合っています。若者の「儲けたい」「投資したい」という気持ちが強くて、それが、詐欺被害に結びついているのです。
そして何が危惧される点かというと、多くの方がご存知なとおり、今年の4月から18歳が成年年齢となっています。成年になると、一人で有効な契約締結することができます。つまり親の同意を得ずに,金融商品を購入の契約ができます。自分自身の判断次第で契約できる一方で、未成年の頃より消費者トラブルに巻き込まれやすくなると言われています。未成年者の場合、親権者の同意がなく結んだ契約は、原則、未成年者取消法で取り消すことができますが、成人になるとそうした保護がないからです。今年からは、20歳よりも下、18歳といった社会経験が少ない成人になったばかりの若者が狙い撃ちにされやすいのです。実は、私自身も大学生の息子がいるため、本当に他人事ではありません。
トラブル急増、FXの手口
どのような詐欺にあっているのか、どんな手口があるのかを、消費生活センターの事例を調べてみました。相談件数の増加が著しいものの一つが、「外国為替証拠金取引」(FX)です。下記のように、近年増えています。
外国為替証拠金取引の相談件数
外国為替証拠金取引における詐欺トラブルの手口はというと、まず、ネット広告やクチコミで勧誘して、アプリやソフトの購入を促します。アプリやソフトがあり取引画面も見えるだけに、騙された人は本当に外国の口座で取引できる錯覚をして、入金をします。しかし、実際は、そのような口座は存在せず、海外で売買しているという事実もなく、取引口座から出金できない事態になって、初めて騙されていた事実に気づくのです。
大切なことは、海外業者との取引に伴うリスクを知ること、また、金融庁に登録していない業者との契約は行わないこと。
また、若者が騙された事例を調べていると、まずは親しい恋人のような関係になってから騙すという、時間も手間もかけたものがあります。どんなに恋人が言うことでも先輩の言うことでも、契約やお金が絡むことに関しては用心することです。
また、18歳以上になると借金も自分の判断でできるため、手元にお金がないなら、借金して投資アプリ購入という借金詐欺といわれるものも続々出てきています。どんな投資であれ、「借金してまで儲ける必要はない」と肝に銘じることです。
世知辛いことですが、シニアを狙ったオレオレ詐欺のみならず、あまりお金を持っていない若者も詐欺のターゲットになり始めています。
これから夏休み。アルバイトなどして、いろんな人と知り合ったり小銭を手にする若者は増えるでしょう。
でも、自分のお金は自分で守るという意識は持っておかないといけないと思っています。