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雨が本降りになったのは、それからすぐだった。あっという間に渓谷の空が雨雲で覆われ、テントを叩(たた)く雨の音が耳を塞ぎたくなるほど強くなる。 「これ、やばいやつだね」 ムーさんと入れ替わりにテントから顔を出していた礼二が、その濡(ぬ)れた顔を引っ込める。 世之介は携帯をいじってみた…