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 プレミアムトラックとして、このところ日本のトラック業界でも存在感が高まっているスカニアだが、2022年6月10日、欧州で地場~長距離輸送用のバッテリーEV(BEV)ソリューションを導入すると発表した。

 「R」や「S」シリーズの大型キャブと組み合わせるBEV大型トラック・トラクタで、馬力や航続距離、バッテリー容量など、日常業務に充分耐える車両を2023年の第4四半期より製造開始する計画だ。

 スカニアはディーゼルからハイブリッド、BEVまで多面的に商用車を展開するいっぽう、充電インフラの整備も含めて、ソリューションとしてのトラックの提供にも注力する。

 CO2削減目標を達成するために、伝統メーカーらしい顧客との緊密なパートナーシップのもと、堅実に電動化のロードマップを進めているスカニア……。日本市場での展開はどうなる!?

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/Scania AB


大型トラックの「R」および「S」シリーズを電動化

 スウェーデンのトラックメーカーで、フォルクスワーゲン(VW)グループの商用車部門・トレイトンに属するスカニアは、2022年6月10日、次世代のバッテリーEV(BEV)トラックソリューションを導入すると発表した。

 新世代のBEVは、キャブシリーズで言うと「R」および「S」のスリーパーキャブで入手可能となる。モデル名は「45R」「45S」などになるようだ。

 日本のトラックドライバーにとっては憧れの存在であるスカニア車だが、ドライバー不足の影響などもあり、国内で見かけることも多くなってきた。なお、Rはプレミアムセグメントに属する大型トラック、2016年に導入されたSはその上位にあたる最上級グレードの大型トラックだ。

 R/SシリーズへのBEVの設定によりスカニアの電動ソリューション全体が大きく拡充された。多くの顧客ニーズや架装に応えることで、BEVトラックによる輸送の電動化が様々な現場で可能になる。

 スカニアの新世代BEV大型トラックは624kWh容量のバッテリーを備え、地場~長距離の輸送において電動トラックの運用性に新しい水準をもたらすという。

 同社のCEOを務める、クリスチャン・レビン氏は次のように話している。

 「新世代BEVトラックの導入は、私たちとにとっても、弊社のパートナーにとっても大きなマイルストーンです。すべての次元で製品レンジを拡大することで、幅広いお客様と輸送エコシステム全体に新たな機会を提供します。このトラックは電動化を切望する輸送業界が求める機能を備えたソリューションの一部なのです」。

ディーゼル、ハイブリッドからBEVまで多面的なオファー

 スカニアの新世代BEVトラックは、モジュール化、持続可能性、実運用における経済性など、スカニアの伝統的な基礎技術の上に成立するものだが、従来のディーゼル車と同等か、それを超えるポテンシャルを秘めている。

 BEVトラックが「ソリューション」として完成するということは、充電、ファイナンス、保険、メンテナンスなど、トラックの運行に必要なすべての要素と、しかるべきサービスが新型BEVトラックでサポートされるということだ。

 電動化を担当する上級副社長のフレドリック・アラード氏は次のようにコメントする。

 「電動化で主導権を握りたいお客様にとって、スカニアのポートフォリオに新たなソリューションが加わったことは、大きな一歩になります。緊密なパートナーシップやゼロエミッションといった重要な顧客価値を盛り込むことで、私たちはお客様のBEVトラックへの移行を促して参ります」。

 新型トラックは、リジッド(単車)と、トラクタ・トレーラ(連結車)で提供し、最適な使用例としては、食品輸送に使う温度管理車などを挙げている。

 航続距離は積載量、コンフィギュレーション(リジッド/トラクタ、車軸数など)、走行する場所の勾配や地形など様々な影響を受けるが、6バッテリーの4×2トラクタの場合、高速道路を平均時速80kmで走行して、1充電につき350kmだ。

 従って、ホームや配達先で計画的な充電が可能な地場輸送や固定ルートの配送が理想的な用途と言える。

 また、ルートの途中に充電施設が整備されている必要はあるが、欧州のトラックドライバーに義務付けられている45休憩(安全のために4.5時間の運転に対して45分の休憩が必要というルールで、4時間につき30分という日本の「430休憩」と同じ趣旨)中に充電できれば、もちろん航続距離はさらに延びる。

 こうした運行が可能であれば、長距離輸送用途も視野に入る。

 スカニアは2020年に「L」「P」シリーズを電動化したほか、2021年にはハイブリッド・プラグインハイブリッドモデルを刷新している。

 「電動製品のオファーという意味では、スカニアは成熟の域に達したと思います。既存のハイブリッドトラックと、2020年に導入した市内配送用のBEVトラック、そして新たに加わった新世代BEVトラックにより、私たちのポートフォリオは持続可能で多面的なゼロエミッション・ソリューションをお客様に提供しています」。
(同氏)

日本への導入はどうなる!? スカニアが大型バッテリーEVトラックを2023年に製造開始!
2020年に導入したスカニア初のBEV大型トラック「25L」。低床キャブの「L」との組み合わせで航続距離は250kmとされた

2023年Q4の製造開始に向けて

 新型スカニアBEVトラックは、最初は4×2トラクタと6×2*4リジッド(2輪駆動・4輪操舵の3軸車=後前軸ドライブ、前軸・後々軸ステア)で注文を受け付ける。

 バッテリーを6機搭載するには、4×2トラクタの軸距(ホイールベース)は4150mm以上が必要となる。したがって欧州における新しい車両寸法規定が適用されている。

 最大64トンの連結総重量(GCW)は、ノルディック・コンビネーションと呼ばれるフィンランドやスウェーデンなど北欧で一般的な総重量規制の典型的な規制値に合わせたものだ。

 充電は375kWとなる。スカニアによれば1時間の充電が270~300kmの航続距離に相当するらしい(ただし、経験則)。スカニア「45R」または「45S」の連続出力は410kW(560hp)。

 製造開始は2023年の第4四半期を予定している。現在、注文するにはスカニア側との交渉が必要とのことで、当面は欧州のみでの展開になる可能性が高い。

 「CO2の削減は全世界が取り組むべき課題であって、私たちも製造や消費の方法を変えて行かなければなりません。リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の『3R』は、スカニアにとって常に重要でした。今、化石燃料フリーの輸送システムの実現の前に立ちはだかる最大の壁は充電インフラの完備です。しかしそちらでも大きな進展が見られます」。
(レビンCEO)

 実際に欧州で大規模にBEVトラックを導入しようと考えている運送会社にとって充電ソリューションの入手性は最重要課題だ。スカニアはグローバルパートナーとチームを組みつつ、スカニアを窓口とした充電ソリューションを提供する。

 これによりBEVトラックを購入した顧客には、将来を見据えたシームレスな体験が保証される。

 なお、充電インフラに関しては、商用車の世界トップ3であるダイムラー、ボルボ、トレイトン(スカニアはここに属する)の3グループが欧州で大型車用の充電ネットワークを整備するために合弁企業を設立することで合意している。

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