銀座や豊洲あたりでよく見る、都営バスの行き先である「豊海水産埠頭」。行先の水産埠頭というのはよくわかるが比較的便数も多く、営業所があるわけでもないので、終点に到着したバスはどのように折り返しているのか。そんな疑問を持ち、終点バス停である「豊海水産埠頭」に行ってみた。
文/写真:小野寺利右
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
よく見るけど豊海水産埠頭ってどこ?
豊海水産埠頭は清澄通りの終点でもあり、東京都中央区勝どき地区の南側に位置する。埋め立てによる造成で水産関係の基地を当地に設置したのが始まりとされている。
昔は多くの船が接岸して海産物の水揚げを行っていたが、200海里漁業専管水域を経て排他的経済水域(EEZ)が設定されたことにより遠洋漁業が著しく制限され水揚げは激減した。
これにより海産物は輸入に頼る割合が大きくなると同時に、輸送形態が海上から陸上にシフトしたた。現在では冷蔵や冷凍倉庫が主業務の地域になっているので「東京の冷蔵庫」と呼ばれることがある。
幻の「直行02」はここから!
豊海水産埠頭を発着する都営バスは主に「門33」系統と「都04」系統だ。門33系統は清澄通りを北上し、亀戸駅前に至る路線。都04系統は晴海通りを経由し東京駅丸の内南口に向かう。
そして、もう一つの幻路線は平日の朝の数本だけだが、水産埠頭の退勤需要により運行されている「直行02」系統がある。直行02系統は東京駅の丸の内ではなく八重洲口行きだ。片道だけの運転であり、豊海水産埠頭行きのバスはない。
勝どき、月島地区を経由し亀島橋停留所から直行で東京駅八重洲口に至る。東京駅八重洲口はターミナルに入らず外堀通りで降車扱いをする。バスファンなら直行02系統は乗りたいとこだが、実際に利用するのは容易ではない幻路線だ。
その回送!どこへ行く?
さて、豊海水産埠頭から最も近い鉄道駅である都営大江戸線の勝どき駅前から乗車して終点まで乗車したが、ただの降車専用停留所でポールが立っているだけだ。
埠頭なので、その先は数百メートルで海になる。降車停留所の向かいには始発の停留所があるのは当たり前としても、予想通りのコンクリートの壁だけの倉庫街であある。
降車扱いをしたバスは回送でどこに行くのだろうと思い見送っていると、すぐ目の前で右ウインカーを出して曲がっていく。よく見ると数台の都営バスが停車しているので、ここで転回することはすぐにわかった。
そばまで行ってみると、大きな駐車場兼転回場があった。駐車場は契約トラック専用のようで、管理しているのは東京都港湾局だから納得。港湾局が管理する都有地に交通局の操車所があるという上手いやり方だ。
大型バスだからこそ必要な転回場やルート
回送バスは降車専用停留所から見て奥側から入り、手前側(始発停留所側)に出庫するスルー形態で、入口と出口の間に詰所があるようだ。終点がターミナルや営業所であれば、バスは入庫したり転回したりできる。
当地のように営業所もターミナルもない場所で便数が多い場所では、転回場や操車所が設けられているケースもある。または道路を右左折を繰り返して結果的に転回するケースもある。
駐車しなくて折り返すだけでも大型バスは相当のスペースを必要とし大変なので、このように転回場を設置したり、回送ルートが決められていたりする。
終点停留所でバスはどこへ行くのだろうと思ったら、しばらく見ていると近くに転回場が設置されているかもしれない。
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