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<p>【名作インディー振り返り】10年経っても色褪せないトランス体験!『ホットライン・マイアミ』(2012年) | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト</p><p>【名作インディー振り返り】10年経っても色褪せないトランス体験!『ホットライン・マイアミ』(2012年) 過去のインディゲームをルックバック! 名作バイオレンスアクション『ホットライン・マイアミ』の魅力を改めてお届けします。</p><p>過去のインディゲームをルックバック! 名作バイオレンスアクション『ホットライン・マイアミ』をプレイレポ形式でお届けします。</p><p>本作を一言で説明するなら、「サイコパスな主人公を操って敵を皆殺しにしていくゲーム」となります。当然のことながらバイオレンスな描写が山盛り。ドット絵で描かれる、やたらリアルなグロテスク描写で有名です。過激な表現が苦手という方は注意した方がいいかもしれません。 しかし、本作はただグロいだけのゲームではありません。殺人という行為がもたらす精神的ストレスの描写こそ『Hotline Miami』最大のウリといえるでしょう。1989年のマイアミを舞台に、サイケデリックにゆらゆらと揺れる2Dマップで繰り広げられるアンチヒーローの物語。派手に殺して殺される、その中で見えてくる罪の呵責こそ本作の魅力です。 ◆『Hotline Miami』発売年ルックバック【2012年10月Tips】 『ファイアーエムブレム 覚醒』や『アーマード・コアV』。10月には『ブレイブリーデフォルト』がリリースされました。 ●2012年の話題 10月30日にウォルト・ディズニーがルーカスフィルムを買収。同時に映画「スター・ウォーズ」7~9の制作を発表しました。 また、11月にはイーロン・マスク氏が今世紀前半に8万人の移住者を、火星に送る構想も発表しています。「あれからどうなったんだろうか……」と調べたところ、現在も計画は進行中の様子。10年経ったからあと30年以内の話になるはずです。 『Hotline Miami』は、2012年10月23日にWindows用ゲームとしてリリースされた見下ろし型2Dアクションとなります。日本語版は2014年2月21日にリリースされました。 翌2015年には続編『Hotline Miami 2: Wrong Number』とセットになり『ホットライン・マイアミ Collected Edition』としてPS4/PS3/PS Vitaでも発売。こちらで本ゲームに触れた方も多いのではないでしょうか。 ◆『Hotline Miami』は記憶の色あせた今こそ再プレイの価値あり! さて、ここからは本題となる『Hotline Miami』プレイレポになります。前述の通り、筆者は2015年の『ホットライン・マイアミ Collected Edition』で初プレイ。10年越しとはいきませんが、どのような内容だったか記憶の薄れた状態でゲームを開始しました。 初っ端、謎の男が とチュートリアルを開始。なんだろうか、心の奥底に引っ掛かっている男です。後でその理由を思い出し「あーー! 貴方でしたか!」となるのですが、内容にかかわるため割愛します。 本ゲームにおいて、やることは非常にシンプル。ステージにいる敵、つまり 主人公が乱入する建物内にいる人間を「全員殺す」だけです。 アクションも簡単で、自分の向いている方に刃物や銃を撃つだけです。 武器は大雑把に拳・刃物(または鈍器)・銃の3つに分けられます。ステージ開始時には(特殊なマスクを使わなければ)拳のみの状態。そのまま殴ると相手をダウンさせ、無力化することが可能。ただし、完全には死んでいないためトドメを刺さなければ起き上がってきます。そして、この「トドメ」がグロい……!倒れてる相手の顔を地面にたたきつけたり、首を捻ったり、武器を持っていればそれで殴ったり……。 刃物または鈍器であれば、一部の敵を除いて一撃だけで殺害可能。こちらは音もなく殺すことが出来るので便利ではあります。が、相手に真正面から向かってこられた場合、タイミングがずれればこちらが返り討ちに。銃は非常に強力ですが、音で敵が寄ってくることと、弾数制限がネックです。 それで敵を殲滅するのが本ゲーム……といえば簡単に聞こえますが、難易度は結構高め。こちらも一発食らえば敵と同じように死んでしまいます。当然、そうなればマップの最初からやり直し。ちょっとしたダメージも許されません。 ナイフを持っていても、敵が自分より早く攻撃してきたら返り討ちにあいますし、視界外から飛んでくる敵の銃弾に当たってしまえばそれで終わり。基本的には何度もマップをプレイして敵の配置を覚えこみ、順序良く制圧にかかるしかありません。 それに加え、敵も常に同じ動きというわけではなく、様々な要因によって行動ルートが変化していきます。そちらに対応しつつ、先に撃たれないよう射線を管理しながらマップをクリアしていく。 何度も何度も殺されて、試行錯誤の末に敵を全員ぶっ殺す…… この絶妙な難易度が本作の楽しさです。正直、「一度クリアしたゲームなんだから軽くこなせるだろ!」と思っていたのですが、敵の配置や動きのランダム性をすっかり忘れていて……第1ステージで何度も何度も死に戻るという切ない展開となりました。 また、このゲームは演出としてステージ全体がゆらゆら揺れているのですが、ポップで陰鬱なBGMの中で何度も殺したり殺されたりを繰り返すうちに……どことなくトランスしていくような感覚に襲われていきます。 独自のシステムとして、主人公は「マスク」を付け替えることで特殊能力を得られます。パンチ一発で人を殺せるようになったり、一発だけ銃弾に耐えることが出来るようになったり、普段は噛み殺しに来る犬に襲われなくなったりと様々な変化が起こるのです。主人公の内面が、現実の身体能力などに影響を及ぼしているのでしょうか。 本作が人気を博した理由はその難易度高めなゲーム性のみではなく、「マスク」に代表されるその内面世界が絡んだストーリーも大きくあるでしょう。前半は意味も分からず殺してたのですが、後半になると段々と意味が分かっていく楽しさと、辛さ。 しかし元々、「人を殺せ」と突然言われて始まるゲームです。開始段階では主人公の目的・事情などさっぱりわかりません。それどころか、展開されるシナリオが内面世界か現実世界かどうかすらもあやふや……。 幕間で展開する日常パート(?)においても、不気味なまでにフレンドリーな店員たちや、意味深な視線を送る清掃員などが登場。「異常者の日常」という雰囲気をがっつり表現していて、実にいい味を出してます。 本作では「仕事の依頼」を電話越しに受けるのですが、その言い回しも痺れます。殺しの依頼だとわからないように日常的なメッセージに偽装されているのが、怖い。本当に殺しの依頼なのか、自分が暴走してるだけではないか。そんな不安が付きまといます。 あえて難癖をつけるなら、昨今のローグライトブームにハマっている筆者としては、“死に覚え”ゲームだとしても「何度も死んでるんだからちょっと忖度してよ!」と感じてしまいます。マスクの開放などがやりこみ要素となってはいるのですが、そこに辿り着くまでにゲームが単調になっている気もして、ローグ要素欲しいなぁ……という印象も懐きました。もし本作がこの2022年にリリースされていたなら、そんな評価をしてしまうかもしれません。 “トランスな世界観”で、とにかく殺して殺されて……。決して夢の話ではなく、かといって現実の全てを信じてはいけない。再プレイしたかぎり、絶妙に夢と現実のバランスがとれたストーリーは今も色褪せていません。少なくとも筆者は『Hotline Miami』について、 今でもやり直す価値のある名作と感じています。</p>