6月11~12日の週末に、アルゼンチン・サンティアゴに位置する同国が誇る国際トラック、テルマス・デ・リオ・オンドを舞台に争われたスーパーTC2000(STC2000)第5戦は、リバースグリッドの土曜スプリントでプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングのベテラン、ファビアン・シャナントゥオーニ(ホンダ・シビックSTC2000)が、2017年以来約5年ぶりとなる勝利を収めた。
一方、40分+1ラップの通常フォーマットで争われた日曜決勝は、予選でトップ3独占を成し遂げていた新生アクシオンエナジー・スポーツ・STC2000のエース、リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が今季2勝目をマークし、2位にシボレーYPFチームの王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)、3位にマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)が続く結果となった。
10年来の分裂状態にあったカテゴリーが統合され、新たに『TC2000(ツーリスモ・コンペティション)』の名称で再出発を切ったアルゼンチン発の人気選手権だが、この第5戦でも引き続き“旧TC2000”との併催イベントとして開催された。
その土曜公式練習から速さを見せたのはホンダ勢で、当時はルノーのエースとして連覇も経験し、同シリーズがテルマス・デ・リオ・オンドで最後に開催された2018年大会を制しているファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)がタイムボードの最上位に。予選を前にシビックの仕上がりの良さを感じさせた。
しかし現地14時25分に開始されたタイムトライアルで反撃に出たのは古巣ルノー勢で、2019年王者ペーニャが1分45秒195をマークして今季3度目、キャリア通算22回目のポールポジションを獲得。
当時、史上最年長タイトル獲得記録を樹立した46歳のドライバーは、同日併催だったフォーミュラ・ナショナル・アルゼンティーナで息子のチアゴも最前列を獲得したことから、親子揃ってのポールポジションとなり、ペーニャ家にとって「間違いなく、忘れられない土曜日」となった。
さらにフロントロウ2番手には、前戦クオリファイで鮮烈なスピードを披露し、デビュー7戦目にして史上最年少ポールポジションを獲得していた17歳のイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が続き、2列目3番手にも僚友ミラが入るなど、今季からピンク&ホワイトの彩りとなったアクシオンエナジー・スポーツがホンダ勢を退ける結果となった。
その背後となる4番手以降には王者カナピノ、5番手に今季TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアに加入した18歳のホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)のトップ5となり、6番手にホンダのアルドゥソ、7番手に50kgのバラストを搭載するTGRAのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)、そして8番手シャナントゥオーニのオーダーに。
そのまま土曜夕刻に予選トップ8リバースによる12周スプリントが開始されると、逆ポールのシャナントゥオーニは好調シビックのペースを最大限に引き出し、後続のドライバーたちを抑え込む展開となる。
その背後、上位勢で勢いを披露したのは4番手発進だったシボレーのカナピノで、搭載バラストが40kgへと軽減されたディフェンディングチャンピオンは、パンクに苦しんだバリオやサンテロと立て続けに2台のカローラを仕留め、短いスプリントで2位にまで浮上。貴重なポイントを稼いで見せる。
一方、この週末最大となる60kgを積む僚友ベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)は、やはりその重さからかタイヤが音を上げ早々に戦列を去ることに。最後の表彰台となる3位にはアルドゥソが滑り込み、勝者シャナントゥオーニは2017年5月のメンドーサ戦以来の復活勝利を遂げ、ホンダ勢がワン・スリーで土曜を締めくくった。
明けた日曜午前、決勝前の“フルタンクテスト”もアルドゥソが最速を記録し、迎えた40分+1ラップ勝負。ポールシッターのペーニャこそ盤石の蹴り出しを見せたものの、背後に控えたモンテネグロ、ミラと2台のルノーがやや体勢を乱すと、やはりその隙を逃さなかった4番手カナピノが急浮上し、オープニングで一気に2番手へとジャンプアップする。
この瞬間にチャンピオンシップ争いは王者が首位を取り戻すのに充分な展開となり、勝者ペーニャ、2位カナピノ、3位ミラの順でチェッカー。今季2勝目のペーニャが122点でランキング2位に浮上し、132点としたカナピノが僚友ラヴァーに代わるポイントリーダーに返り咲いた。
続くSTC2000第7戦は、コルドバ州アルタグラシアの名物トラック、アウトドローモ・オスカー・カバレンにて7月2~3日の週末に争われる。