政府は電気料金の抑制や、この夏に予想される電力需給のひっ迫を緩和するため、前年より節電した家庭や企業に対して、ポイントを還元する制度を導入する検討を始めた。毎日新聞などが16日に報じたところによれば、この制度の導入で企業や家庭に節電へのインセンティブを高め、さらに、電気料金高騰の対策という側面もあるのだそうだ。
これまでのポイント事業で最も「筋悪」
このニュースが配信されると、ツイッターでは批判一色だった。
政府にはマジでバカしかいないな
この政府、ポイントやクーポン好きやな。それでまた中抜きするんやろな。
電力ぐらい自由に使わせろ
国民一願となって電力一揆起こすしかない
それにしても、このところの政府は、ポイントが大好きのようだ。マイナンバーカードを普及させるための「マイナポイント」、最大1000円分のポイントが付与される「Go To EATキャンペーン」、キャッシュレス決済をした人にポイントを還元する「キャッシュレス・ポイント還元事業」とここ数年だけでも多くのポイント事業を行っている。中でも、今回の「節電した企業や家庭にポイントを還元する」という案は、最も筋が悪いのではないだろうか。
根本的解決は原発再稼働しかないはずだが…
ウクライナ情勢の見通しが立たない中、日米間の金利差がさらに拡大し、当面は円安基調が続いていくと見られている。円安ドル高が進むことで、今後、原油の輸入価格もさらに高騰する可能性がある。そんな中にあって、電気代の高騰を抑制しつつ安定的に電力を供給するためには、発電に原油を使用しない原発を再稼働させるしかあるまい。
安全が確認できた原発があるにもかかわらず、岸田首相は一向に行動に移そうとしない。電気料金が支払えないから、もしくは少しでもポイントを得たいからと、真夏に無理に節電した結果、死者が出たら誰がどう責任を取るのだろうか。
それに、電気料金抑制のためには、ポイント制度を導入するより時限的にでも電気料金にかかっている消費税を減税する方が、効果が大きいのではないか。岸田首相をはじめ、政府はたびたび、「事務コストの増大」を減税しない理由として挙げている。岸田首相は政調会長時代に出演したテレビ番組で、「税率を変えるだけでかなりの事務コストを社会に与えることになる」と述べた。
「増税する時にも事務コストはかかるはずだが、それは良いのか」というツッコミはさておき、減税よりポイント制度を導入する方が、事務コストが余計にかかりはしないか。さらに、減税をする場合には基本的に出ていくコストはない。
しかし、ポイントを付与する制度を導入するのであれば、ポイントを管理するノウハウを持つ民間企業に委託することになるだろう。当然、委託した企業に費用を支払うことになる。もちろん、この支払費用の原資は税金だが、税金の無駄遣いではないのか。
まだ案の段階だが、このような案が出てくること自体、「絶対に減税だけはしたくない」という岸田政権の本音が透けて見えるようだ。
国民に不公平感を植え付ける可能性も
それに、ネット上で多くのユーザーが指摘していたが、この案は国民の間に不公平感を植え付けかねない。常日頃から節電を意識していた家庭や企業は、さらに節電できる余地が小さい。
しかし、これまでまったく節電していたかった家庭や企業は、節電できる余力があるため、多くのポイントを得やすい。結局、常日頃から節電に協力していた企業や家庭が、割を食う形になってしまうのだ。
岸田首相は、参院選前までは安全運転で何もしないと見られていた。そんな首相を、週刊現代は「何もしない大宰相」とのキャッチコピーを付けた。もしかしたら、参院選後も付け焼刃的な策を弄するだけで「原発再稼働」など、避けては通れないような決断は一切しないつもりなのかもしれない。国民生活を守るための減税など望むべくもない。今回、政府が検討しているという案を見て、強い不安感を覚えた人は少なくないだろう。