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<p>京アニ、本格復活へ「6合目」 放火事件3年 人気作続編も制作決定</p><p>京アニ、本格復活へ「6合目」 放火事件3年 人気作続編も制作決定 「10年かかってもおかしくないと思っていた」</p><p>36人が犠牲となった令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件から18日で3年となる。多くの社員を事件で失いながらアニメ制作を進める京アニは、京都・宇治を舞…</p><p>36人が犠牲となった令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件から18日で3年となる。多くの社員を事件で失いながらアニメ制作を進める京アニは、京都・宇治を舞台にした人気作「響け!ユーフォニアム」の続編のテレビ放映を先月決めた。同作の主要スタッフが亡くなり、続編が危ぶまれる中での決定に「本格復活」への期待が高まる。 「10年かかってもおかしくないと思っていた」 「響け!」のファンで、舞台の宇治市を研究した同人誌を作る京都市下京区の公認会計士の男性(39)は驚きの声を上げた。6月に開かれた「響け!」のイベントで、主人公が高校3年に進級した続編が、令和6年に映像化されると発表されたからだ。 事件では「響け!」の総作画監督、池田(本名・寺脇)晶子さん=当時(44)=や楽器設定担当の高橋博行さん=同(48)=ら主軸スタッフを多く失った。2年に劇場版がヒットした「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を筆頭に、京アニ作品の続編は出ていたが、「響け!」の話題はほぼ途絶えていた。 昨年4月、名古屋市のイベントで監督の石原立也さんが「今後の展開を楽しみにしてほしい」と発言していたとはいえ、ファンの想像を上回る早さだった。男性は「前作を下回る作品は京アニのプライドが許さないはず。そこまでの作品をつくる決心がついたのか」と期待に胸を膨らませる。 事件後も年間数作のペースで制作を続ける京アニ。特定の凄腕(すごうで)アニメーターに過度に依存せず、複数のチームでアニメを制作してきた強みがある。アニメーション史が専門の日本大の津堅信之講師は「残ったアニメーターが立て直し、京アニの伝統の目にかなう新人が入れば、再建は十分可能だ」と解説する。 制作スタイルの強みだけでなく、企業としての体力の高さも再建を支える。 帝国データバンクによると、3年3月期の純損益は1億6700万円の黒字で、前年同期の2100万円の赤字から回復。今年4月時点の社員数も事件前(元年5月、155人)を上回る188人に増えた。2年11月には関連会社のアニメーションドゥウを合併し、外注に頼らないアニメづくりをさらに強化した。新型コロナウイルス禍でDVDなどの売り上げが減少した実店舗は今年3月に閉鎖し、ネット販売に注力するなど業態変化も進める。 帝国データバンク大阪支社の昌木裕司情報部長は「もともと堅実経営で業界内のブランドも確立している。事件後も安定した経営を続けている」と指摘する。 京アニは事件後、劇場版に注力してきたが、もともと主戦場とするのはテレビアニメだ。しかし、テレビは多数のスタッフが必要な上に制作費も1話1500万円以上と高額で、劇場版よりもハードルが高い。 津堅氏は「新作テレビアニメシリーズの制作が軌道にのれば、京アニ復活を象徴する」と明言する。ただ、平成30年に制作が発表された新作テレビアニメ「二十世紀電氣目録」もいまだ放映時期が決まっておらず、津堅氏は「まだまだ復活の途上。再建は6合目程度では」とみている。(尾崎豪一)</p>