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 ホンダで一番売れているミニバンといえばフリード。5ナンバーサイズとコンパクトにもかかわらず、3列目シートも必要十分な大きさ。それでいて価格も手ごろとあれば売れないワケがない一台だ。

 でも果たして本当に使えて、オススメできるクルマなのか!? 最大のライバルであるシエンタと比較したうえでフリードを購入した筆者が決め手となったポイントを暴露。今から買う人これマジで必見!!

文/山本晋也、写真/山本晋也、ホンダ

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■モデル末期なのにバカ売れ!! フリードはサイズも走りも文句ナシ

2016年登場のホンダ フリード。筆者は登場直後にオーダー(写真は2016年登場当時)

 世界と比較したとき日本の自動車市場が特異といえるポイントのひとつが、スライドドア車の人気が非常に高いことだ。ホンダ N-BOX、トヨタ ルーミーのような2列シートのコンパクトなモデルから、ショーファードリブンとしてのニーズも増しているトヨタ アルファードのような大型モデルまで選択肢も幅広い。

 そうした中で、3列シートを実現しているスライドドア・ミニバンとして最小サイズといえるのが、トヨタ シエンタとホンダ フリードの2台だろう。そして、このライバルの販売実績を見てみると、フリードがシエンタを上回っている。

 たいがいのカテゴリーにおいてライバルメーカーを圧倒しているトヨタがトップを獲れていない数少ないカテゴリーが、このスモールミニバンなのだ。

 さて筆者は、フリードが現行型にフルモデルチェンジした2016年秋にオーダーを入れている。その理由としては、パッケージと走りの2点において自分のニーズを満たすものであることが大きかった。

■フリードの走りはミニバンにあらず!? 見た目から想像もつかない仕上がりが決め手

 まずは走りの面についてフリードに魅かれた理由をお伝えしよう。

 ご存知のように、フリードは5ナンバーサイズのスモールミニバンだ。つまり全幅は1695mmに制限されてしまっている。それでいて全高は1.7mを超えている。そのシルエットから想像される走りは、高い重心がネガティブの作用した「どっこいしょ」と大きくロールするイメージだろう。

 フリードのハンドルを握って味わった走りは、そうした予想とは大きく異なるものだった。とくにリアタイヤの接地感が高く、60km/h走行でハンドル操作だけでレーンチェンジしたときにボディが揺すられるようなことはなかった。

 185/65R15というタイヤサイズを考えると、けっしてグリップ性能でスタビリティを得ているはずはない。

 じつは初めての手合わせは、仕事柄クローズドコースでの試乗だった。おかげで公道ではちょっと難しいような速度域での安定性も確認することができたが、それは並みのミニバンのレベルじゃないと感じるものだった。

 はっきり言って、同じ系統のプラットフォームを使っているフィットを超えるスタビリティを感じたのだ。

 その秘密は、フリードのリアサスペンションにある。実車を見る機会があれば覗き込んで欲しいのだが、リアのトーションビームを支えているコンプライアンスブッシュが特大サイズで、立派なアルミ製パーツでマウントされている様子が確認できる。

 このパーツだけが走りに効いているとはいわないが、5ナンバーサイズのスモールミニバンとしては考えられないほどリアサスペンションにお金をかけていることは実感できるはずだ。

 こうしたこだわりが、前述した接地感のあるハンドリングにつながっているといえる。それはミニバンでありながら走りが楽しめるということでもあるし、重心の高いミニバンだからといって緊急回避性能が劣っているわけではないということでもある。

 こうして最初に高いコーナリング性能の高さを味わったことが、発売直後にハンコを押そうと自分を決心させたことは間違いない。

■強い横風も余裕!! 先進安全装備の充実も購入した大きな理由

 実際にフリードが愛車となって公道を走るようになるとリアサスペンション由来の高い直進安定性は高速道路での快適性につながっていることも実感した。東京湾を横断するアクアラインで強い横風が吹いているようなシチュエーションであっても、ミニバンだから横風に弱くても仕方がないと感じることは皆無だった。

 さらに先進運転支援システム「ホンダセンシング」も標準装備で、車線を維持するLKASと先行車を追従するACCも備わっているのだから、高速移動が快適なのは言うまでもない。

 ただしACCは全車速対応ではなく、25km/hを下回る渋滞時には機能キャンセルされてしまうのは、2016年時点では十分なものだったが、現在の基準からすれば不満もあるのも事実だ。

■フリードプラスならクルマ椅子を乗せても居住性変わらず

フリードの2列シート仕様「フリードプラス」には車椅子仕様車が用意されている(写真は2016年登場当時)

 さて、シエンタとの比較でフリードを選んだ理由としては、パッケージの違いが大きかったのだが、そこについては、筆者が選んだのが車椅子仕様という特殊な事情があった。

 フリードの2列シート仕様「フリードプラス」はラゲッジフロアが専用品で、斜めになっている。そのためカタログモデルでスロープ内蔵の車椅子仕様が用意されていた。

 さらに車椅子仕様であっても2列目シートから前のエリアは通常モデルと同等の空間を維持しているため、日常的には5人乗りのスライドドア車としてストレスなく使え、車椅子の家人を乗せるときもスムーズに乗り込めるというのは、プライベートの福祉車両としては理想的なパッケージだったのだ。

 というわけで、じつは老親が車椅子を使うようになったため購入したフリードだった。最初は母親、つづいて父親と相次いで車椅子を使っていたため5年ほど所有していたが、残念ながら二人とも故人となったこともあって、じつはフリードはすでに手放している。

 ファミリーカーとしても気に入ってはいたが、車椅子仕様を求めているユーザーに使ってほしいという気持ちもあって福祉車両専門の中古車ショップに買い取ってもらったのだ。

 そのお店の前を走るたびに気にしていたが、1か月もせずに店頭から消えたのを見て、ホッとしたのも事実。いまも、どこかで福祉車両として活躍していることを願わずにいられない。

■ガソリンモデルでも19km/L以上をマーク!! しかも加速はハイブリッドより上!?

筆者が選んだのはガソリンエンジン車だったが、燃費性能は良好。高速道路を中心に300km以上走り、燃費20km/L前後というのも珍しくなかった

 フリードには、1.5L VTECエンジン+CVTのガソリン仕様と1.5Lエンジン+モーター内蔵7速DCTによるハイブリッドという2つのパワーユニットが設定されているが、筆者が選んだのはガソリンエンジン車。

 その理由は、開発エンジニア氏に「ガソリンエンジン車のほうが、じつは加速が速いですよ」と教えてもらったことと、もちろん予算的な問題からの判断だった。そして、ガソリンエンジン車でも燃費性能に不満はなかった。

 とくに高速巡行での燃費は優秀だった。巡行時にエンジン回転数を抑えるというCVTのメリットが活き、高速道路中心に300km以上走っても19km/Lを超える省燃費ぶりを示すことは珍しくなかった。

 さらにいえば筆者が選んだのはFF車だった。前述したコンプライアンスブッシュが立派なアルミ製パーツでマウントされてているのはFF車だけで4WDではリアサスペンションの構造は異なっている。

 降雪地域であれば必然的に4WDを選択することになるだろうが、雪道走行を考慮しなくていいのであれば、ガソリンエンジン車のFFというのが筆者の考える、現行フリードのベストチョイスだ。

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