世間を騒がせた楽天モバイルの価格改定。一番のトピックは0円での運用ができなくなってしまう点だ。乗り換えを検討してるユーザーも多いハズである。
じつは筆者はこれまで乗りバス等の旅行の際に一時的にモバイルルーターの代用として利用してきた。果たして乗り換えなのか追加なのか、その実際をレポートする。
文/古川智規(バスマガジン編集部)、写真/古川智規、AdobeStock(トップ画像=kai@AdobeStock)
旅行時のモバイルルーター代用
出張やプライベートで旅行をする際に鉄道やバス、フェリーを利用し何らかの形でネットを利用する。もちろん航空機も移動に利用するが、これは機内Wifiが提供されていない場合はどうすることもできないので除外する。
新幹線や多くの高速バスにはWIFIがあるので、通信環境を用意する必要はない。一部の船舶や高速バス、あるいは多くの路線バスにはWIFI環境がないので、これは自前で回線を用意するしかない。
もちろんメインで使用するスマホの回線を使用しても良いのだが、PCで仕事をする場合や動画視聴をする際には大量の通信容量を消費する。
そこで通常は通話もネットも利用しないが、メインの回線がダウンした場合や一時的に長時間大容量の通信をする必要がある場合には楽天モバイルの出番だった。その月は料金が発生する可能性があるが、料金に上限があり容量無制限なので当月の支払額がある程度予想できて便利だった。
それが使おうが使うまいが料金が発生するとなると穏やかではない。0円が500円になるのと、500円が1000円になるのとでは心理的に天と地ほどの差があるからだ。
乗り換えか継続かの判断
ここで楽天モバイルから乗り換えるか継続するかの判断が必要になるが。楽天モバイルをメインの回線にしていて電話もデータ通信もある程度使用し、現状でも料金が発ししている場合は無理に乗り換える必要はないだろう。
RakutenLINKアプリで通話料が無料になるのと、いわゆる楽天経済圏を利用する場合はポイントが多くつくので継続利用して損はない。いわゆる0円運用をしている場合は、乗り換えの検討対象になるが、8月いっぱいまでは現状の0円運用ができるので、慌てて乗り換える必要はない。
電話番号が増えても構わないのであれば、乗り換え予定キャリアに新規契約して使い分けをしながら様子を見るのも手だ。特にeSIM端末では複数の回線を内蔵できて切り替えが簡単なので検討の余地はある。
乗りバスや旅先でのモバイルルーター用
さて、WIFI設備のない高速バスとはいえ高速道路を走行する都市間高速バスでは山岳部の一部を除いて圏外はあまりない。鉄道もよほどのローカル線でない限りは電波はつかむ。
問題は長距離フェリーだ。衛星回線や地上基地局との通信を利用してWIFIを提供しているフェリーならばさほど問題はないが、設定航路は多くはないし、通信速度もお世辞にも速いとは言えない。
記者は多くの人が乗り換え先として選択しているであろうpovoを検討対象とした。プランを見るとトッピング方式だ。これは日本では珍しい方式だが海外では普通のことだ。
海外のプリペイドSIMはたいていこの形式で、日数単位や通信容量単位、あるいは特定アプリやサイトのみが無制限等のプランを多数用意してユーザーが必要に応じて選択する。
海外のプリペイド方式と決定的に違うのは、あらかじめ登録したクレジットカードに料金が請求されることだ。海外のプリペイド方式はコンビニや路上でプリペイドカードを購入してチャージし、通話料を含めてそこから差し引く方式だ。
povoはプリペイドではなくポストペイドなので当然と言えば当然だが、プリペイドライクな使用方法が選択できるのは日本では現状でpovoだけだ。海外で現地プリペイドSIMを利用したことのある方なら戸惑うことはないだろう。
新規契約を選択
記者は楽天モバイルの電話番号は他人に教えていないので電話番号を引き継ぐ必要はない。そこで楽天モバイル契約を保持したまま、新規でpovoを導入することにした。
持っている端末は楽天モバイルから1円で購入したRakutenMiniだ。eSIMのみの端末で、かつて黙って「バンド1」を非対応にして世間を騒がせたいわくつきのアレだ。
RakutenMiniはeSIMを複数入れることはできるが、排他利用なので同時利用はできない。どれか1つの回線を選択して使用することになる。とりあえず8月末までは楽天モバイルとpovoのデュアルeSIM運用にしておいて、使い分けをしながら通信回線の良否を確認すればよい。
RakutenMiniはバンド1が使えない端末だが、東京都内で試した限りはKDDIの回線で特に不都合はなかった。地方では事情は異なるので、再確認が必要そうだ。電波をつかみにくい山間部の高速道路や、都市間での鉄道でeSIMを切り替えて確認するのが得策だと考えた。
使用スタイルによるので正解はない
しつこいようだが、デュアルeSIMにしたのは楽天モバイル回線の電話番号を誰にも知らせておらず、後で解約して番号が消滅しても問題がないからで、今までの電話番号がなくなって困る場合は、電話番号引継ぎによる乗り換えを検討すべきだろう。
以上は記事執筆時点で記者が実際にやってた状況で、手続きの詳細(すべて端末上で完結する)は画像ギャラリーに掲載するので参考にしていただきたい。
今後はpovoに限らず他のキャリアもどんどん攻め込む可能性は十分に考えられる。実際に楽天モバイルに真っ向からぶつけるプランを発表したキャリアもある。
個人の使用スタイルで乗り換え・追加契約・継続等が決まるので、正しい答えはないのかもしれない。通話の頻度やネット通信料の多少に合わせて検討材料の一助になれば幸いである。
投稿 【乗りバス好き必見】「0円運用」終了の楽天から移行が正解!? 移動中ネットを格安で楽しむ方法とは は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。