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 観光地などで見かけるオープントップバス。2階建てバスの上の階に屋根がなく、名所の風景と開放感が楽しめるというものだが、屋根がないと悪天候時は大変なのはオープンカーなどと一緒だ。そこでこれらオープントップバスの構造を写真とともにお見せしよう!

文:古川智規(バスマガジン編集部)


閉めます!

 結論から言ってしまうと、雨天時は基本的に屋根を閉める。屋根が全くないわけではなく、一応折り畳み式の樹脂製の屋根が付いているので、それを引き出して閉めてしまう。

 オープントップバスとは言っても、座席はもちろんだがさまざまな配線や電子機器も積んでいるので雨ざらしというわけにはいかず、もちろん防水でもないのは乗用車のオープンカーと同じだ。ただ屋根の面積がデカすぎるので「ちょっと片手で…」というわけにはいかない。

改造車が主流

 オープントップバスは大きく分けて新造車と改造車がある。主に貸切車で観光バスや観光路線バスとして運用することが多いオープントップバスは、それほど需要が多いわけではないので、メーカーが商品としてラインナップしているケースはほとんどにない。

 よって新造車でもベース車両の完成後に改造して納車している。現行車で新車の代表例は「はとバス」のスカニア・英ライトバス社製のダブルデッカー車ベースのオープントップバスがある。

はとバスのオープントップバス

 しかし日本で走るオープントップバスのほとんどがダブルデッカー車の改造車だ。代表例は三菱ふそうエアロキングを改造したウィラーのオープントップバスで、レストランバスとして東京や京都で走っている。

西鉄はトラックベースで完全特注!

 これまで紹介したのは元々がバスでそれをオープントップに改造したものだが、変わり種もある。かなり背が高く床面はダブルデッカー車と同等だが、2階建てではないオープントップバスだ。これはトラックのシャシーに客室部分を乗せてオープントップバスにしている。

西鉄の完全特注バスは日野プロフィアがベース

 元がトラックなだけに前や中に扉が設置できず、たいていが後方にステップを付けて客室内に乗り込む仕様になっている。言い方を変えればトラックの荷台に客室を乗せていて、そこに乗りこむようなものだ。しかし10トン以上の荷物を積める大型トラックがベースなので、エアサス車のため強度は抜群だ。

 代表例は西鉄の「FUKUOKA OPEN TOP BUS」で、大型トラックである日野プロフィアのシャシーをベースに、日本で初めて完全特注で新造したオープントップバスだ。12m車ながら4軸の姿は圧巻だ。

基本的には2名でガラゴロ

 これらのオープントップバスは雨天に運行する際には、屋根を閉めるのは前述した。代表例であるエアロキング改造車の場合は樹脂製の屋根板が折りたたまれて後方に収納されている。よって最後尾シート部分は常時屋根がありオープントップではない。

日除け装備の車両も!

 そして雨天時や自動車専用道路を走行する際には乗務員1名ないし2名が後方の屋根から引き出してきて2名がかりで前方まで屋根をガラゴロと転がして引っ張っていく。これは雨除けの完全な屋根だが、車両によっては直射日光が強いときに使う日除けを別途装備している場合もある。

 両サイドの窓枠上部にはレールがあり、それに沿って引きずり出せば数秒で屋根が完成するので、降り出しても濡れることはほとんどない。またエアロキングの場合はもともとエアコンが装備されているので、屋根を引き出せば冷房が使える。

夜間はプラネタリウム?

 オープントップバスの魅力は風を感じることができることだ。実はサイドは普通のバスと同じく窓があり空いているのは天井だけだ。よって車窓としてはスーパーハイデッカー車とほぼ同じだ。

並木と東居タワーの組み合わせ

 しかし都会のビル群の中を走るオープントップバスは周囲のビルの高さや並木を風と共に感じることができ、夜間は動く天然のプラネタリウムだ。都会では満天の星空とまではいかないが、下から見上げるビルやタワーと月という組み合わせもなかなか幻想的だ。

 オープントップバスに乗車の際には屋根のことも少し気にして乗車してみてはいかがだろうか。

投稿 屋根なしバスの秘密があった!! オープントップバスは雨の時どうするの?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。