Porsche Team EBI WAIMARAMA
Super Taikyu RACE REPORT
2022 Round.03 SUGO
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第3戦 スポーツランドSUGO
2022年7月9日(土)〜7月10日(日) 決勝レース結果:2位
スポーツ走行/専有走行
7月7日(木) スポーツ走行 天候:雨〜晴れ 路面:ウエット〜ドライ
7月8日(金)専有走行1回目/2回目 天候:雨〜晴れ 路面:ウエット〜ドライ
第2戦富士NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースでは、優勝に向けてパーフェクトとも言えるレース展開を進めながらも、思わぬトラブルに泣いたPorsche Team EBI WAIMARAMA。迎える第3戦の舞台は、宮城県のスポーツランドSUGO。起伏に富んだ難コースだが、第1戦鈴鹿でも速さがあったように、ポルシェ718 ケイマン GT4 RSにとって決して苦手なコースではない。3戦目を迎え結果が欲しいレース。世界的に物流が厳しい状況ではあったが、しっかりとパーツを間に合わせ、車両を修復したチームは7月7日(木)のスポーツ走行から週末に向けた作業をスタートさせた。ただ、このレースは事前の天気予報から悪天候が予想されており、この日も25分ずつ3本の走行終盤にようやく雨が上がり晴れ間が見えるような状況だった。
明けて走行2日目となる7月8日(金)は、早朝こそ雨があったが、次第に天候が回復。午前9時15分からの専有走行1回目はドライに転じていった。Porsche Team EBI WAIMARAMAは千代勝正からコースに入ると、5周目に1分28秒886を記録し山野直也に交代。さらに大草りき、KIZUNAと交代しながらラップを重ね、41周を走りST-Zクラスの首位につける。
午後も爽やかな晴天のもと午後2時05分から1時間15分の専有走行2回目が行われたが、KIZUNAから走行をスタートさせ、千代がロングランをトライ。さらに大草に交代して走行を終えた。7番手だったが、仕上がりは上々。たしかな手ごたえを得て2日間の走行を締めくくったが、この走行が決勝に活きることになる。
フリー走行/公式予選
7月9日(土) フリー走行 天候:雨 路面:ウエット
7月9日(土) 公式予選 天候:雨 路面:ウエット
予選日は朝から雨模様。午前9時15分からのフリー走行ではKIZUNAと千代が走行し、午後0時50分からの公式予選グループ1に臨んだ。小雨が舞う難しい状況となったが、KIZUNAは2周目に1分31秒948をマーク。クラス6番手につけてみせる。その後、グループX予選ではふたたび雨が強くなり、さらにBドライバー予選でのグループ2は乾くなど、天候は刻一刻と変わる。
Bドライバー予選では、千代はさらなるコンディションの好転を待ったが、今度はまた雨が強くなってきてしまった。急いでアタックを展開するも、こちらも6番手という結果に。ただアタックの感触は悪くなく、続くCドライバーの山野はドライで、Dドライバーの大草はウエットのなかスリックを試したりと、それぞれの時間も有意義に使いながら、決勝に向けた準備を進めた。
決勝レース
7月10日(日) 決勝 天候:晴れ 路面:ドライ
迎えた7月10日(日)の決勝日は、事前の天気予報から好転。やや雲があるものの、晴天のもとで迎えた。前日の予選では、ST-X、ST-1の走行の時間帯で雨が強まったことから、ST-Zクラスとグリッドが“逆転”する珍しい状況となった。Porsche Team EBI WAIMARAMAは、グループ1の総合6番手からスタートした。
今回の決勝は3時間レースということもあり、千代は全体を統括するエンジニアのような立場を務め、スタートをKIZUNA、続いて山野、アンカーに大草を据える作戦を立てた。決勝第1スティントを担ったKIZUNAは、いかに後方から迫り来るST-X勢をうまく先行させつつ、タイムを落とさずに山野に繋げるかが大事なミッションだ。
序盤からKIZUNAは高いペースを保ちながら周回を重ねていくと、少しずつポジションを落としてはしまうものの、大きな差をつけられることなく自らのパートをこなし、クラス3番手につけていた#500 メルセデスがストップしフルコースイエローが入ったタイミングとなった32周を終えピットイン。山野に繋ぐことに成功する。
ここでチームはタイヤ無交換作戦を行い、ピット時間を短縮。山野はそれでも高いアベレージでラップを重ねていくが、ここで思わぬトラブルが。交代時、ピットレーン入口のホワイトラインをカットしてしまっており、ドライブスルーペナルティが課されてしまったのだ。山野はペナルティを消化すると、金曜に千代がロングランを試していた成果もあり、1分32秒台のラップを刻み続け60周目にピットイン。大草に残り1時間20分近いロングスティントを任せさらなる追い上げを期した。
ニュータイヤを履いた大草は期待に応え、交代後すぐに1分29秒972というタイムをマーク。他車のピットインもあり、ジワジワとポジションを上げていく。82周目にはいよいよ#310 GR Supra、#885 GR Supraに次ぐ3番手に浮上し、表彰台圏内を確実なものにしていった。
最後まで1分30秒台から32秒台のラップを刻み続けた大草は、最後は111周を走りきりチェッカー! Porsche Team EBI WAIMARAMAにとって、2021年第1戦もてぎ以来となる表彰台を獲得した。優勝こそ届かなかったが、序盤のKIZUNAの頑張り、中盤の山野の無交換での安定したペース、そして大草の追い上げ、すべてをマネージメントした千代、さらに着実な仕事で応えたチームの頑張りが、ようやく結果に結びついた。
レース後しばらく経ってから、チームにさらに嬉しい報せが届いた。2位でフィニッシュした#885 GR Supraにジェントルマンドライバーの最低義務周回数違反のペナルティが課されることになり、Porsche Team EBI WAIMARAMAの順位はひとつ上がり2位となった。シーズンを考えても大きな結果を残し、波乱に富んだSUGOでの第3戦を終えることになった。
DRIVER COMMENTS
KIZUNA キズナ
「ひさびさに表彰台に乗ることができてすごく嬉しいです。今回、スタートは私が担当することになりましたが、チームも『良くやるな』と思っていましたね(笑)。しかしそこでなんとか頑張ったおかげで表彰台に乗ることができたのではないかと思います。今回の決勝スタートまでにウエットもドライも走れていましたし、そこでだんだん走り方が分かってきた気がします。今回スタートドライバーを担当したことで自信にもなりましたし、次戦も楽しみです。応援いただきありがとうございました」
KATSUMASA CHIYO 千代 勝正
「嬉しいですね。今回はいろいろと考え、タイヤの摩耗なども専有走行からデータをとっていましたし、なんだかエンジニアのような立場でしたが、その甲斐あってレース途中にタイヤ無交換作戦も採ることができました。いま考えられる作戦のなかではベストだったのではないでしょうか。またKIZUNA選手も練習を頑張ってくれて、レース序盤もプロ相手に抑えてくれたのがこの結果に繋がったと思います。次戦は5時間なので自分もドライブしますし、ケイマンはスピードがあるので、また表彰台に乗りたいですね」
NAOYA YAMANO 山野 直也
「昨年の開幕戦もてぎ以来となる、ひさびさの表彰台に乗ることができました。これまで苦労した甲斐がありましたね。優勝ではありませんでしたが、嬉しいです。レースは序盤からKIZUNA選手がかなり良いペースでスティントをこなしてくれたのですが、雨が降る天気予報もあり、タイヤ無交換で走ることになりました。最後に大草選手に交代した後にフルサービスをしてプッシュしてもらう作戦がうまくいきました。昨年苦しんだレースが多かった中で戦えている手ごたえもありますし、次戦以降もすごく楽しみですね」
RIKI OKUSA 大草 りき
「クルマとしても今週はロングランに自信がありましたし、まわりのペースの落ちが感じられる状況だったので、『ひょっとするといけるかも?』という手ごたえがありました。スティント後半を考えてペースをコントロールしながら走ることができましたし、そこがうまくいって良かったですね。表彰台に乗れて嬉しいです。次戦のオートポリスは標高が高く、昨年までは苦しいコースでしたが、パワーアップした今季のクルマで走るのが楽しみですし、しっかりと準備をして臨みたいと思っています」