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スピードのためのR: フォルクスワーゲンのSUVであるティグアンとトゥアレグのトップバージョンの比較。VWはティグアンとトゥアレグをシャープなRレーサーとして提供している。我々は、力強い筋肉を持つ2つのSUVを比較してみた。

5メートル級の高級リーグSUVとコンパクトSUVの対決。プレステージボンバーとエブリマンズSUVの比較、そんなところだろうか。乾燥重量はそれぞれ、「トゥアレグR」の2,510kgに対して、「ティグアンR」は1,727kgである。純粋に数値を比較することもできる。あるいは、462馬力と320馬力の比較。果たして、こんな比較テストに意味はあるのだろうか? そして、フェアなのだろうか? もちろん、意味があるし、フェアだ!(笑)

「トゥアレグR」と「ティグアンR」は、それぞれのリーグで、最大の楽しさを表現している。そして、我々は知りたかったのだ。果たして、どれくらいの楽しさなのか(?)を。まずは「トゥアレグ」から。パッケージの折り込みチラシによれば、スポーティな印象はないようだ。プラグインハイブリッドと書いてある。通常は、プラグインハイブリッドモデルは、環境に配慮した車や落ち着いた社用車のイメージの車を指す。しかし、Rモデルにエコノミー技術? フォルクスワーゲンはそれがフィットすると考えている。少なくとも、素の数値はよく訓練されたモデルであることを示唆している。

トゥアレグのドライブデュオによる強烈な加速

電動モーターとV6ターボガソリンエンジンは密接に連携している。VWは「トゥアレグR」のシステム出力を462馬力と発表している。この2基のパワーユニットで最大700ニュートンメートルのシステムトルクを発生するという。むろん、この極限のパワーは、「永遠に」続くわけではない。

パワーハウス: 6気筒と電動モーターにより、700Nmという圧倒的なシステムトルクをトゥアレグRに供給している。

トランクフロアの下にある14.3kWhのバッテリーパックは、最大限の出力を発揮するために中間充電が必要だ。しかし、我々の測定では、「トゥアレグ」のドライビングバリューは良好なものだった。0-100km/hのスプリントは5.1秒、200km/hに到達するまでに18.6秒を要するだけだ。

トゥアレグには、必ずしも曲線は似合わない

コンチドロームのハンドリングコースでは、この加速力と引き込み力を大型SUVにふさわしい性能に変換することができるのだ。しかし、コーナリングでは、強大なVWはそれほど軽やかな動きはできない。重いクルマは、横方向のコントロールに苦労している。遠心力でタイヤがいかに苦しんでいるかがよくわかる。しかし、コーナーにおいては驚くほど傾きを抑えて回ることができる。

ESPによってコース上に保たれ、驚くほど横方向の傾きが少ないトゥアレグは、ハンドリングコースを完走する。

ESPの強い規制により、高速ラップは地味だが安全なものになる。ブレーキは、100km/h時から完全停止まで36m弱と、完璧に機能しているとは言い難いが、間違いなく確実な制動力を提供する。

何周か走っても、(フロントアクスルの)標準のパーフォレーテッドディスクの効果は衰えない。その結果、「トゥアレグR」は適度なスピードでコースを飛び回る。しかし、はっきり言って、テストコースでは「ティグアンR」の方が圧倒的に速く感じた。それはすでに「小さな」SUVの疾走感にも表れている。「ティグアンR」は0から100km/hまでのスプリントタイムを4.8秒で達成した。通常モデルの「ティグアン」も当然より勢いよくカーブに突っ込むことができる。そして、よりタイトなコーナーにアプローチしても、アンダーステア傾向は少ない。

ティグアンは約800kgの軽量化

しかも、「ティグアンR」は、「トゥアレグR」と比べて、約800kg(!)もの重量差もあって、想像できないほど軽く感じられるのだ。また、コンパクトSUVはブレーキング時にも同じような感覚を伝えてくれる。357mmディスクとブルーに塗装された2ピストンブレーキキャリパーを備えたシステムは、とにかく制動力が豊富だ。システムが熱を帯びている状態でも、「ティグアン」は安定した力で減速してくれる。コンパクトSUVは100km/h時から34.2mで完全停止する。

スポーティ。ティグアンRのフロントには、ゴルフRの2リッターTSIが搭載され、このSUVにぴったりだ。

ターボ4気筒でよりスポーツ性を高める

また、小さいVWには主観的なメリットもある。「ティグアン」のエンジンは、よりスポーティなサウンドを奏で、スロットル操作に躍動感があり、レブカウンターのレッドゾーンまで容易に回転させることができる。搭載されたターボチャージャー付き2.0 TSI 4気筒エンジンは、「ゴルフR」にも採用されている。しかし、ドライビングフィールの面では、「ティグアン」は電動モーターとV6をブレンドした「トゥアレグ」のパワフルさには敵わない。

「ティグアンR」のトランスミッションは、変速時にロスなく素早く作動するが、時折、その反応がやや遅れているように感じられることがある。ローリング中にアクセルを踏み切ると、キックダウンの指令が実際に大きな前進力に変わるまでに時間がかかりすぎてしまう。「トゥアレグR」は、パワフルなドライブユニットと、より素早く作動する8速オートマチックの組み合わせにより、これをより確実にこなすことができる。しかし、最終的には軽いほうの「ティグアン」が勝利することになるのは明らかである。

VWティグアンR対VWトゥアレグR

VWは「ティグアン」と「トゥアレグ」をシャープなRレーサーとして提供している。強大な筋肉を持つ2つのパワーSUVを比較してみた。
「トゥアレグ」の乾燥重量2,510kg、426馬力と、ティグアンの1,727kg、320馬力が競い合う。「トゥアレグR」と「ティグアンR」は、それぞれのリーグで最大の楽しさを表現している。
ラグジュアリーSUVは、「トゥアレグ」のインテリアにはっきりと感じられる。ドライビングエイド(オフロードモードなど)は、センターコンソールのロータリーコントロールで設定することができる。
「ティグアン」のコックピットは、ナビゲーションマップの大型ディスプレイを含むドライバーディスプレイが調整可能な、現在典型的なディスプレイデザインとなっている。中央にはマルチメディアディスプレイがあり、ドライバーはここで車両の機能を調整する。一見どっちがどっちだったかと判別が難しいが、センターコンソールまわりがまったく違うデザインなので、ここで判別してほしい(笑)。
「ティグアン」のシートは「e-adjustment」によって横方向のサポートも充実している。
「トゥアレグ」のステイタスにふさわしく、快適なフルレザーシート。質感も大変高いし、十分なスペースを確保することができる。
「トゥアレグ」はパノラミックルーフによる開放感があり、後席の広さも十分だが、「ティグアン」もこのクラスでは最高の広さを誇る。かなり膝まわりやヘッドルームに差があることがわかろう。
「ティグアンR」に搭載されたターボチャージャー付き2.0 TSI 4気筒は、「ゴルフR」にも採用されている。この技術的な関係は、スポーティなコンパクトSUVにとって本当に良いものだ。それはすでに「小さな」SUVの疾走感にも表れている。完全停止状態から100km/hまでのスプリントで4.8秒を記録した。
「eHybrid」の文字がトゥアレグのリアに読み取れる。システム出力は462馬力、電動モーターと内燃機関により、最大700Nmのシステムトルクを発生する。
測定では、「トゥアレグR」のドライビングバリューは良好なものだった。0-100km/hのスプリントは5.1秒で、200km/hに到達するまでに18.6秒を要する。
コンチドロームのハンドリングコースでは、大型SUVはこの加速力あるいは牽引力を適切に変換することができる。カーブでは、強大なVWはそれほど動きません。重いクルマは、横方向のコントロールに苦労している。遠心力でタイヤがいかに苦しんでいるかがよくわかる。
驚くほど横への傾きを抑えてコーナーを回る。ESPの強い規制により、高速ラップは地味だが安全なものになる。
何周か走っても、(フロントアクスルの)標準のパーフォレーテッドディスクの効果は衰えない。その結果、「トゥアレグR」は適度なスピードでコースを飛び回る。
「ティグアンR」はよりタイトなコーナーでも、アンダーステア傾向の少ない走りを提供する。
さらに、「ティグアンR」は、「トゥアレグR」との約800kgもの(!)重量差からは想像できないほど軽く感じられる。
コンパクトSUVは、ブレーキングでも同じような感覚を伝えてくれる。357mmディスクとブルーに塗装された2ピストンブレーキキャリパーを備えたシステムは、十分な制動力を備えている。
システムが熱を帯びている状態でも、「ティグアンR」は安定した力で減速してくれる。100km/h時から34.2mで停止する。
「ティグアンR」のトランスミッションは、変速時にロスなく素早く作動するが、時折、その応答が非常に遅れているように感じられる。ローリング中にアクセルを踏み切ると、キックダウンの指令が実際に大きな前進力に変わるまでに時間がかかりすぎてしまうのだ。
「トゥアレグR」は、パワフルなドライブユニットと、より素早く作動する8速オートマチックトランスミッションの組み合わせにより、これをより確実にこなすことができる。

350点満点中226点で2位: VWトゥアレグR
大きくて上質なクルマほど、自動車としての正解を出しにくい。それでも夢のSUVだ。

350点満点中、251点で1位。VW ティグアンR
軽快さ、楽しさ、軽さ、そしてもちろん「よりお求めやすさ」。「ティグアンR」の走りは、スムーズでスピーディーだ。

結論:
SUV、強力なエンジン、プレミアムガソリン・・・。確かに理不尽だが、エンターテインメントだ。「トゥアレグR」は凛とした速さと軽さで、「ティグアンR」は生き生きとしたパフォーマンスで、楽しませてくれた。それでも2台とも、スポーティな意味でも、よりインテリジェントな、つまり優れたクルマといえるだろう。

【ABJのコメント】
「ティグアン」と「トゥアレグ」、一瞬どっちがどっちだったかわかりにくいネーミングだが、最近のフォルクスワーゲンには、こういう「どっちだったけ」的なラインナップが多くて困る。「T-Roc」と「T-Cross」、「UP!」と「ルポ」、そして今回の「ティグアン」と「トゥアレグ」・・・。瞬間的にわかりにくく、言いにくいことも悩ましい。ちなみに「T-Cross」はフォルクスワーゲンの広報資料によれば、「要領よくてやんちゃな末っ子」(笑)だそうで、つまりポロベースのSUV、「T-Roc」がそれよりもちょっと大きめの「フォルクスワーゲン ゴルフ」をベースとしたSUVである。蛇足ながら「UP!」はもっと末っ子で、「ルポ」はかつて存在していた「ポロ」より、ちょっと下の直列4気筒の3ドアハッチバックモデルだった。

という解説はさておき(笑)、今回は「トゥアレグ」と「ティグアン」、大きいのはさてどっちかというと、「トゥアレグ」のほうで、これが現在のフォルクスワーゲンのラインナップの中で最大のSUVとなる。一方の「ティグアン」は「トゥアレグ」よりも800kgほども軽いミディアムクラスのSUVである。個人的にはSUVは(あまりに重くなければ)、大きいほうが楽だし、環境さえ許せばせせこましい大きさのモデルよりも、大きいほうをチョイスしておいたほうがそれらしく、本来の目的にかなった使い方ができるのではないかと思っている。だがさすがに800kgも重くなっているのは、かなりひっかかる部分だし、これだけ重いとタイヤにもブレーキにも負担がかかるし、維持することに躊躇してしまうほどの重さである。

そしてそれが今回のような高性能なモデルの場合、いったいどれだけのマイナス面として作用するのか、ということを証明したのが今回の結論だったのではないだろうか。様々なデバイス満載で重くなったモデルを早く走らせるために、普段のSUVよりも公正なパワーユニットを積み、高性能なタイヤを履いて対処する・・・。なんだかマッチポンプなような、変なスパイラルに陥っていないか、とこういうモデルを見るたびに思ってしまうのだが、私の感覚が古いのだろうか。(KO)

Text: Jan Horn and Mirko Menke
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de