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『高く翔べ 快商・紀伊國屋文左衛門』本書は清々(すがすが)しい小説である。快作と言ってもよい。物語の終盤、商売がうまくいかなくなった紀伊國屋文左衛門が、せめて種を蒔(ま)こう、命の種を、と思う場面がある。それまで文左衛門は世の中を動かす、ひいては江戸のためになる仕事をしようと考え…