1990年代半ばに生まれたZ世代を中心にブームとなっている“昭和レトロ”。オールドファンのなかには「クルマも昭和の時代が良かった」と思っている人も決して少なくないだろう。しかし、現行車のなかにも昭和の香りをプンプン漂わせているモデルはたしかに存在する。
では、昭和の香りとは何かと言えば見た目であったり、コンセプトであったり、メカニズムであったり……各車でそれぞれ異なるが、ここで紹介する5台にも何となく“昭和の香り”が存在するのではないだろうか?
文/FK、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、FavCars.com
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N360やシビック1200RSを思い出させるN-ONE RSは走りも装備も一級品!
日本一売れている軽自動車としておなじみのNシリーズのなかでスポーティなイメージが強いモデルが、半世紀以上前に発売された名車“N360”の意匠を受け継ぐN-ONEだ。
現行の2代目が発売されたのは2020年11月。Nシリーズが提案する“Nのある豊かな生活”という想いのもと、日本の生活と時間を見つめて日々の生活に寄り添いながら長く使えて飽きがこない、末永く愛せるクルマを目指した一台として登場した。
その大きな特徴は丸・四角・台形から構成されるエクステリアと、必要なもの以外を大胆に削ぎ落とすN360から継承したM・M思想から生まれたHonda独創のセンタータンクレイアウトによってミニマルで心地良い室内空間の追求にある。N-ONEのグレード展開は4つだが、最上位となるRSグレードでは軽自動車初のFFターボと6MTの組み合わせを採用。
ボディカラーも1974年に発売されたシビック1200RSの専用色だったサンセットオレンジを現代風にアレンジしたサンセットオレンジIIとブラックのツートーンカラーを導入するなど、昭和チックな雰囲気もプンプンと漂わせている。
その一方で軽自動車の6MT車として初めてアダプティブ・クルーズ・コントロールと車線維持支援システムを採用し、周囲の状況を認識してドライバーをしっかりとサポートする先進の安全運転支援システムの標準装備も見どころとなる。
スイフトスポーツはお値段も走りの良さも昭和チックな現代版ホットハッチの雄!
1980年代に人気を博したホットハッチ。ロープライスでかつ軽量コンパクトなハッチバックボディに小排気量の高性能エンジンを搭載し、数多くの大排気量車をカモったこのカテゴリーには当時、スターレット、マーチ、シビックにCR-X、ファミリア、ミラージュ、ジャスティ、シャレード デ・トマソターボ、カルタス、ジェミニなど枚挙に暇がないほどの個性溢れるモデルが登場。
それから40年近くが経過した現在、ホットハッチと呼べるモデルは皆無に等しいのが実情だが、スイフトスポーツこそ現代版ホットハッチと呼べる唯一無二の一台ではないだろうか。
現行のスイフトスポーツが登場したのは2017年9月。140psの最高出力を発生する1.4リッター直噴ターボエンジンによる力強い走りに加え、ギヤ比のクロスレシオ化とショートストローク化で心地良いシフトフィールが楽しめる6MTや従来のATの概念を覆すスポーティな6AT、旋回時のロール抑制と不快な突き上げ感を解消したモンロー製ストラット&ショックアブソーバーなど走りに特化した装備は魅力十分。
それでいて、車重は基本性能の向上や軽量化に貢献するHEARTECTプラットフォームの採用で1トンを下回り、抜群の加速性能と軽快な走りを両立している。車両本体価格も軽自動車と大差がない約200万円とリーズナブル。お値段も走りの良さも昭和の香りが漂う一台である。
スープラはライバルとの熱い戦いを制することができるのか?
1986年に登場した初代(70型)、1993年に登場した2代目(80型)がともに280psの最高出力を発生する名機を搭載し、1990年代に展開されたパワーウォーズの中心的存在だったスープラ。2002年の販売終了以降は沈黙を守ってきたが、2019年5月に華麗なる復活を遂げてオールドファンを狂喜乱舞させたことはまだ記憶に新しい。
1990年代当時、スープラとしのぎを削ったライバルの代表格といえばGT-Rを思い浮かべる人も多いだろうが、そのGT-Rも今や1000万円超えのスーパースポーツへと進化。おいそれと購入できるクルマではなくなってしまった。
一方のスープラは3.0リッター直6ターボエンジン(最高出力387ps)を搭載するRZ、最高出力197psを発生する2.0リッター直4ターボエンジンを搭載するSZ、RZとSZの中間に位置し最高出力258psを発生する2.0リッター直4ターボエンジンを搭載するSZ-Rの3グレードを展開。車両本体価格はRZが731万3000円、SZ-Rが601万3000円、SZが499万5000円と、スープラのスペックの高さを考えれば比較的リーズナブルな設定と言える。
今夏の発売を予定している新型フェアレディZが最大のライバルになると目されているが、2022年4月の一部改良でスープラも商品力がアップしているだけに……1990年代に繰り広げられたパワーウォーズのような熱い戦いが再び展開されることを期待したい。
売れない理由が見つからない、初代モデルから継承されるジムニーのDNA
土木、建設、林業などの現場で活躍する“プロの道具”として、本格4×4の歴史を切り拓いた初代ジムニー(LJ10型)は1960年に登場。基本骨格に悪路走破性を高めるラダーフレームを採用するとともに、前後にリーフリジットサスペンションを装備。大径16インチタイヤを高・低速2段切り換えの副変速機で駆動させる、まさに実用車としてのスペックを満たした本格仕様だった。
その後、1981年に2代目(SJ30型)、1998年に3代目(JB23型)へと進化を果たし、2018年7月に20年ぶりの全面改良が行われた4代目の現行ジムニー(JB64型)がデビュー。発売から4年が経過したが、今も納車に1年以上を要する現行ジムニーの魅力は初代から受け継がれるエクステリアとメカニズムにある。
昨今のクルマは丸みを帯びた流線的なデザインが主流なのに対し、直線基調のボディ形状を採用した現行ジムニーは5スロットグリルや丸型ヘッドライトなどジムニーの象徴とも言うべきディテールを採用。
また、新開発のラダーフレーム、FRレイアウト、副変速機付のパートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式のサスペンションなど、歴代ジムニーがこだわってきたメカニズムが進化を果たしつつ現行モデルにもしっかり継承されているのだ。そんな本格4×4の車両本体価格が200万円前後となれば……“買い”としか言いようがない。
ハイゼットトラックはビジュアルこそレトロチックながら中身はイマドキ!?
2022年に生誕60周年を迎えたハイゼットは高度経済成長期真っ只中の1960年、当時大ヒットしていたミゼットに続き、ダイハツ初の軽四輪自動車として登場。当時の軽四輪自動車のイメージを刷新する斬新なデザインは積載性だけでなく、居住性にもこだわり、デビュー以来、現在に至るまで農業、漁業、建設業などなど、働く人々の“頼れる相棒”として日本全国津々浦々で日々活躍していることは周知の通り。
そんなハイゼットのトラックが昨年12月にマイナーチェンジを受けたことは大きな話題となったが、話題の中心になったのは商用車初となるDNGA(Daihatsu New Global Architecture)の展開によって一新したプラットフォームの採用と、燃費・静粛性・発進性の向上に貢献するFR用CVTの初採用というふたつ。
加えて、ダイハツ最新の予防安全機能であるスマートアシストの導入で安全・安心も確保されているのだから、用途が限定される2シーターのトラックではあるものの軽乗用車として日常生活の足として、さらにはレジャーでの使用にも対応する高い汎用性も兼ね備えている。
また、初代ミゼットをオマージュしたアイスグリーンのボディカラー採用もオールドファンにはうれしいトピックとなった。これらの要素が奏功し、発売1カ月後の累計受注台数も月間販売目標の約3.5倍となる約2万1000台を記録した。
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投稿 昭和レトロ大ブームの今だからこそ再評価したい!! 昭和の香りがするエモいクルマ5選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。